■ 最も勢いに乗っているクラブJリーグの移籍市場は中盤戦に突入しつつある。FWダビド・ビジャ(ニューヨーク・シティFC→神戸)、MF山口蛍(C大阪→神戸)、FW杉本健(C大阪→浦和)、FWレアンドロ・ダミアン(インテルナシオナル→川崎F)などの移籍が話題の中心になっている。浦和や川崎Fや札幌や大分などが積極的な動きを見せているが磐田や横浜FMや広島や鳥栖あたりは大きな動きを見せておらず。今のところは静かなままである。
J1でクラブ史上最高となる4位に輝いた札幌はオフも精力的に動いており、今、Jリーグの54クラブの中で最も勢いに乗っているクラブと言えるが、サッカーだけでなく他のスポーツにも分野を広げており、単なるサッカークラブではなくて総合スポーツクラブになりつつある。公式サイトを見るとバドミントンチームも「コンサドーレ札幌」という名前で活動を行っている。バドミントン部門には4人の選手を抱えている。
他には「男子のカーリング」の活動もスタートさせた。カーリングというと平昌五輪で女子のカーリング(LS北見)が銅メダルを獲得。大フィーバーが起こったが男子のカーリングも両角・兄を中心にSC軽井沢クラブが20年ぶりに五輪出場を果たすなど競争力を高めている。平昌五輪での躍進もあって空前のブームが巻き起こっている中、こちらも「コンサドーレ札幌」という看板を背負って活動をスタートさせた。
→ 2018/12/17 【移籍市場】 理解に苦しむFW都倉賢の移籍(コンサドーレ札幌→セレッソ大阪?)
■ 軽井沢国際カーリング選手権で準優勝FC東京はバレーボールチームを有しており、アルビレックス新潟はバスケットチームを有している。サッカー以外の競技にも参戦しているJリーグのクラブが増えてきたが、コンサドーレであったり、FC東京であったり、アルビレックスなどの看板を背負って戦っているので、そのチームの熱心なサポーターはほぼ無条件で応援しているだろうし、他のクラブのサポーターもチームや競技に注目するだろう。
お互いにメリットのある話だと思うのでコンサドーレがカーリングチームを立ち上げたことは注目すべき出来事になるが、カーリングはメンバーを集めるのが大変である。競技人口は少なくて、たくさんのプレーヤーを抱えているのは北海道の北見市周辺と長野県の軽井沢周辺くらいである。「一定以上のレベルを持った選手」となると本当に限られるので「日本一を目指せるメンバー」を集めるのがとにかく大変である。
コンサドーレ札幌のカーリングチームはメンバーを集めるところからスタートしているが基本的にはチーム北海道(4REAL)をチームごと移管する形になった。チーム北海道の主要メンバーはそのままコンサドーレに移ったが、SC軽井沢クラブでサードを務めていた五輪戦士の清水徹郎を獲得。以下の5人で活動を行っているが、先日行われた軽井沢国際カーリング選手権に出場して準優勝。いきなり好成績を残した。
・阿部晋也
・松村雄太
・谷田康真
・相田晃輔
・清水徹郎
■ 「凄いメンバーが集まった。」発足して間もないチームであることを考えると快挙達成と言える。BS朝日で軽井沢国際カーリング選手権の模様は連日中継されていたので視聴していたがコンサドーレ札幌のメンバーを見て改めて「凄いメンバーが集まった。」と思う。清水徹郎は平昌五輪に出場したSC軽井沢クラブでサードを務めていた選手である。阿部晋也はトリノ五輪とバンクーバー五輪のときに女子の日本代表チームの監督を務めている。
中心となる29才の松村雄太は左利き。LS北見の吉田知那美は義理の姉になる。40代になっても普通にトップレベルで活躍できるほどカーリングは競技生活が長いスポーツなので29才というのは若手になる。イケメンとしても知られているので、今後、クローズアップされるのは間違いないと思われるが、何と言っても驚いたのは平昌五輪のメンバーだった清水徹郎を引き抜いたことである。衝撃度の高いニュースだった。
カーリングは1チーム4人で構成されるがそれに加えてリザーブが1人。少なくとも5人の選手を集める必要があるが競技中に怪我をすることはほぼあり得ない競技なので4人いれば何とかなる。(※ リザーブはすでに第一線から退いている選手に期間限定でチームに加わってもらうケースも珍しくない。)4人もしくは5人で活動することになるが優秀な選手が限られる分、有力な選手を確保するのは大変である。
Jリーグの移籍市場も選手の取り合いが激しいがいい選手はいくらでもいる。仮に代表クラスの選手を引き抜かれたとしてもリカバーできる可能性は高い。代表クラスが抜けたとしてもチームがガタガタになることは考えにくいがカーリングははるかにシビアである。サードを務めていた清水徹郎を引き抜かれる形になった五輪代表のSC軽井沢クラブはメンバーが大きく入れ替わった。再スタートを切らざるえなくなった。
■ 五輪に出場したSC軽井沢クラブは解体チームの顔だった両角・兄は今シーズンは選手としてはプレーせず。中部電力のコーチに就任した。セカンドを務めた山口剛史はチームに残ったが、リードの両角・弟はチーム東京に移った。藤澤が中心となる女子のLS北見は引き続いて同じメンバーで再スタートを切ったが男子のSC軽井沢クラブはメンバーが一新。SC軽井沢クラブというチームや名前は残っているが選手たちは「解散」という表現を使っている。
この4人でチームを組んでいた時期が長かったので念願の五輪出場という目標を達成して「変化が必要な時期だった。」と言えるのは間違いないが、新チームを立ち上げるに当たってコンサドーレ札幌がSC軽井沢クラブの清水徹郎の引き抜きを画策したことがそもそものきっかけだと言われている。「SC軽井沢クラブの解散のきっかけを作ったのはコンサドーレ札幌だ。」と一部では批判をされている。
近年の男子のカーリング界を引っ張ってきたのはSC軽井沢クラブである。「男子のカーリング=SC軽井沢クラブ」というイメージになる人が多くなると思うので「解散」の引き金になったコンサドーレ札幌の引き抜きを快く思わない人が少なくないのも理解できるが今後の人生や収入面などを考えた上で清水徹郎も決断しているはず。「ひと区切りがついて4人が別々の時期を進むべきタイミングだった。」というしかない。
先のとおり、Jリーグのクラブであれば1人の選手が抜けたとしてもチームの存続自体が危ぶまれる事態になることはあり得ないがカーリング界は切実である。サッカー界とカーリング界では移籍や引き抜きに関する考え方が大きく異なるのは理解できるが「いい選手をチームに加えたい。」と思うのはチームを運営する上では当たり前の考え方である。コンサドーレ側を批判するのは筋違いではないか?と個人的には思う。
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