キーパー編近年のJリーグのトレンドと言えるのは「外国人キーパーの獲得」になる。かつては「言葉の問題がある。」という理由から外国人キーパーの補強を躊躇するクラブが多かったがGKキム・ジンヒョン(C大阪)やGKオ・スンフン(徳島など)やGK李昊乗(札幌など)などが活躍した結果、韓国人キーパーが激増した。さらにGKカミンスキー(磐田)やGKビクトル(FC岐阜)など欧州系のキーパーもここに来て増えてきた。
J1とJ2を合わせた40クラブの中で外国人キーパーが定位置を掴んでいるクラブが1/3ほどある。今年のロシアW杯のときは正キーパーを務めたGK川島のパフォーマンスが話題になったので「Jリーグは外国人キーパーを制限すべきなのでは?」、「このままだと日本人キーパーが育たなくなるのでは?」という声は大きくなっているが、現状では外国人キーパーに関するルール変更等の大きな動きは見られない。
しかも、2019年から外国人枠の拡大が濃厚となっており、外国人キーパーはさらに増える可能性が高い。ただ、韓国人キーパーについてはすでにGKキム・スンギュ(神戸)やGKキム・ジンヒョン(C大阪)やGKチョン・ソンリョン(川崎F)やGKクォン・スンテ(鹿島)やGKク・ソンユン(札幌)といった代表クラスの実力を持ったキーパーの多くが日本でプレーしている。今後、劇的に韓国人キーパーが増えることは考えにくい。
韓国人キーパーについては、今後、増えたとして数名程度だと思うが、欧州系のキーパーになるといくらでも人材がいる。GKランゲラック(名古屋)ほどの実績を持ったキーパーを連れてくるのはなかなか難しいと思うが、GKカミンスキー(磐田)のような経歴のキーパーであれば十分に獲得は可能で、スペインの3部リーグが主戦場だったGKビクトル(FC岐阜)のよう経歴の選手であれば欧州の中にはいくらでもいる。
表1は年度別にJリーグに新規登録された外国人キーパーの数を示しているが2015年あたりから一気に増えている。2009年のGKキム・ジンヒョンの活躍で韓国人キーパーに注目するクラブが増えてきて、2015年のGKカミンスキーの活躍によって欧州系のキーパーに注目するクラブが一気に増えたことが表からもよく分かる。今回の外国人枠の増加は「外国人キーパーの増加」の流れを加速させる可能性は高い。
「外国人キーパーを規制すべきなのか?否か?」はJリーグの未来を考えるときの大きなテーマの1つになるが、ルール変更等が行われないままであったならば外国人キーパーがさらに増えていくのは間違いない。そうなると日本人の有力なキーパーが所属クラブで出番を失って外国人キーパーに押し出される形で出場機会を求めて規模的に下のクラブへの移籍を検討するケースが増えていくだろう。
もちろん、GK西川(浦和)やGK中村航(柏)やGK権田(鳥栖)やGK林彰洋(FC東京)やGK東口(G大阪)といった日本代表クラスの実力を持ったキーパーは安泰と言えるが、その次にランクされるGKシュミット・ダニエル(仙台)やGK六反(清水)やGK飯倉(横浜FM)やGK秋元(湘南)あたりになると場合によってはチーム内で微妙な立ち位置になる可能性もある。外国人キーパーに押し出される可能性は無いとは言えない。
表1. 新規登録された外国人キーパーの数
年度 | 人数 | 主な選手 |
1993 | 2 | シジマール、ミロ |
1995 | 1 | ジルマール |
2000 | 1 | ヴァン・ズワム |
2001 | 1 | ピント |
2007 | 1 | ジウバーニ |
2009 | 1 | キム・ジンヒョン |
2010 | 1 | オ・スンフン |
2011 | 1 | 李昊乗 |
2012 | 1 | 朴一圭 |
2013 | 2 | アレックス・サンタナ、ク・ソンユン |
2014 | 1 | ヴコヴィッチ |
2015 | 4 | カミンスキー、アブラモフ |
2016 | 5 | キム・スンギュ、チョン・ソンリョン |
2017 | 10 | クォン・スンテ、ビクトル |
2018 | 7 | ランゲラック、ロドリゲス、カルバハル |
J1の残留争いに巻き込まれている柏や鳥栖がJ2降格となった場合、GK中村航やGK権田の去就は大きな注目を集めると思うが、柏の下部組織出身のGK中村航が他クラブに移ることは考えにくい。その一方で生え抜きではないGK権田に関しては移籍の可能性が大きくなる。新生・日本代表に召集されて出場機会を得ているが完全に森保JAPANに定着したわけではないのでJ2でのプレーはハンディになる。
仮にGK権田クラスのキーパーが市場に流れるようだと「玉突き移籍」に発展する可能性が高まる。2013年-2014年のオフにGK西川が広島から浦和への移籍を決断したときにかつてないほどのキーパー大移動が起こったが、GK権田がきっかけになって似たような事態に陥ることはあり得る。鳥栖がJ1に残留することが出来ればそのまま鳥栖に残ると思うが、J2降格となった場合、周囲は騒がしくなるだろう。
外国人キーパーの加入によって出番がなくなってしまった実力者の動向も気になるところである。42才になったGK楢崎(名古屋)は名古屋に加入して20年目になるがGKランゲラックの加入によって出番を失った。名古屋への愛着は相当に強いと思うが「主力としてプレーしたい。」という強い思いがあるのであればクラブもサポーターも強く引き止めることはないだろう。本人の希望次第で電撃移籍もありえなくもない。
京都からの期限付き移籍となるGK菅野(札幌)もGKク・ソンユンの壁に阻まれた。京都のキーパー争いはGK清水圭とGK若原が中心になっているが京都に戻るのか?他クラブに移るのか?豊富な経験を持っているGK菅野に興味を示すクラブは少なくないはず。また、現状はサブに甘んじているがGK八田(磐田)、GK大久保(FC東京)、GK中林(広島)あたりはJ2であれば大きな存在感を発揮できるかもしれない。
近年はJ3で評価を高めた選手の個人昇格が目立っているが、J3でプレーするキーパーの中で個人昇格があり得る選手というとGK松本(秋田)やGK永井堅(富山)あたりになる。GK永井堅はJ2の松本山雅からの期限付き移籍となるが松本山雅にはGK守田がいるので松本山雅に戻る可能性は低い。他には五輪代表の正キーパーのGK小島亨(早稲田大)が加入した大分のGK高木駿(大分)の動向も気になるところである。
動向が気になる選手 (GK編) ・GK 権田修一 (サガン鳥栖) ・・・ 降格の場合は
・GK 中村航輔 (柏レイソル) ・・・ 降格の場合は
・GK 楢崎正剛 (名古屋グランパス)
・GK 菅野孝憲 (コンサドーレ札幌) ・・・ 期限付き移籍
・GK 八田直樹 (ジュビロ磐田)
・GK 大久保択生 (FC東京)
・GK 中林洋次 (サンフレッチェ広島)
・GK 永井堅梧 (カターレ富山) ・・・ 個人昇格
・GK 松本拓也 (ブラウブリッツ秋田) ・・・ 個人昇格
・GK 高木駿 (大分トリニータ)
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