■ 最後のテストマッチの相手はパラグアイロシアW杯の開幕まであと2日。日本代表はオーストリアで南米のパラグアイと対戦した。西野JAPANにとっては最後のテストマッチとなる。FIFAランキングはパラグアイが32位、日本が61位。南米予選は18試合で7勝8敗3分け。7位に終わってW杯出場を逃したが初戦で日本と対戦するコロンビアとの差はわずか「3」。伝統的に守備の堅いチームである。2010年の南アフリカW杯のときはPK戦の末に敗れている。
日本は「4-2-3-1」。GK東口(G大阪)。DF遠藤航(浦和)、DF植田直(鹿島)、DF昌子(鹿島)、DF酒井高(ハンブルガーSV)。MF柴崎岳(ヘタフェ)、MF山口蛍(C大阪)、MF武藤嘉(マインツ)、MF香川(ドルトムント)、MF乾(エイバル)。FW岡崎慎(レスター)。スイス戦から2試合連続スタメンとなったのはDF酒井高のみ。MF香川がトップ下、FW岡崎慎の1トップで、MF山口蛍とMF柴崎岳のWボランチになった。
ベンチスタートになったのはGK川島(FCメス)、GK中村航(柏)、DF酒井宏(マルセイユ)、DF槙野(浦和)、DF吉田(サウサンプトン)、DF長友(ガラタサライ)、MF長谷部(フランクフルト)、MF大島僚(川崎F)、MF本田圭(パチューカ)、MF原口(デュッセルドルフ)、MF宇佐美(デュッセルドルフ)、FW大迫(ケルン)の12名。GK中村航とDF酒井宏の2人は西野JAPANになってからスタメンで出場するチャンスを得られていない。
■ 4対2で逆転勝利を飾る。勝って気持ちよくコロンビア戦を迎えたい試合だったが前半32分にスローインの流れからFWオスカル・ロメロに鮮やかなシュートを決められて失点。3試合連続で0対1のスコアで前半を折り返した。1点を追う日本は後半開始からGK東口とDF遠藤航を下げてGK中村航とDF酒井宏を投入。すると後半6分にMF香川のパスを受けたMF乾が得意の右足で豪快なミドルシュートを決めて1対1の同点に追いついた。
さらに後半18分にはMF武藤嘉が右サイドの裏に抜け出すとバイタルエリアに入ってきたMF香川の落としからMF乾が決めて2対1と逆転に成功する。MF乾は国際Aマッチは通算4ゴール目。アギーレJAPAN時代の2014年11月のホンジュラス戦以来の代表でのゴールとなった。さらに後半32分には右サイドの奥でFKを獲得するとMF柴崎岳の蹴ったボールが相手のオウンゴールを誘って3点目を奪った。
後半45分にセットプレーの流れからMFリチャル・オルティスにミドルシュートを決められて失点。1点差に迫られたが後半46分にFW大迫のパスを受けたMF香川が個人技からコース隅に流し込んでダメ押しの4点目を奪った。8か月ぶりのスタメンとなったMF香川は1ゴール2アシストの活躍だった。結局、後半だけで4ゴールを奪った日本が4対2で逆転勝利。西野JAPANは3戦目にして初勝利を手にした。
■ MF乾が2ゴールの活躍を見せる。西野監督にとっては就任3戦目にして初勝利となった。当然、3連敗あるいは未勝利のままでコロンビア戦を迎えることは絶対に避けたかった。「相手はW杯に出場することは出来ない若手中心のパラグアイだった。」とは言っても西野JAPANにとっては大きな勝利となった。少なくとも最悪のムードでW杯の本番を迎えることだけは避けることが出来た。この勝利がいいきっかけになることが期待される。
当然、「スイス戦のスタメン11人がベース」になるのは間違いないと思うが、パラグアイ戦ではこれまで控えに回っていた選手が躍動した。もちろん、スイスとパラグアイでは総合力が大きく異なる。モチベーションも大きく異なるので単純には比較できないがスイス戦でスタメン出場した選手の多くはあまりいいアピールが出来なかったのに対してパラグアイ戦で出場機会を得た選手のほとんどはいいアピールが出来た。
ここまで2試合連続無得点だったのでとにかく早くゴールが欲しい状況だったが西野JAPANのファーストゴールを奪ったのはMF乾だった。怪我の影響もあってコンディションはあまり良くないが、いいところで2ゴールを奪った。左SHの定位置をMF宇佐美と争っているがMF乾はコロンビア戦までの1週間でさらにコンディションが良くなるはず。コロンビア戦でMF乾がスタメンで起用される可能性が高まった。
■ 2009年のJ2を席巻したゴールデンコンビ2ゴールはいずれもC大阪時代の盟友であるMF香川のパスから生まれた。さらに前半33分に訪れたMF乾の決定機もMF香川のパスから生まれている。同級生となるこの2人は2008年の途中から2010年の途中まで約2年間、C大阪でプレーした。クルピ監督が率いていた頃のC大阪は「1トップ+2シャドー」になるケースが多かったが2009年のJ2でMF香川は44試合で27ゴール、MF乾は47試合で20ゴールを記録した。
J2時代のMF香川とMF乾はキャプテン翼に登場する翼くんと岬くんを連想させる華麗なコンビプレーを頻繁に見せたので「ゴールデンコンビ」と呼ばれて2009年のJ2を席巻した。両選手ともテクニックがあってイマジネーションを持った選手であるがこの2人が近くでプレーしたときは何をするのか分からないので相手は大変である。息が合っているのも2人の特徴で「阿吽の呼吸」でプレーすることが出来る。
コンビネーションというのは「試合を重ねれば重ねるほど熟成される。」と言われるが限界はある。感性が合う人同士は最初から合うし、感性が合わない人同士はたくさん試合をこなしても熟成されて来ないケースが多い。MF香川とMF乾は「ピッチ外ではそこまで仲は良くない。」と言われているがピッチ上では見事なコンビになる。20才そこそこだったC大阪時代の2人を思い出して懐かしく感じた人は多いだろう。
2008/11/24 【C大阪×福岡】 乾貴士と香川真司 二人の未来図 (生観戦記 #5) ■ いいプレーを見せた鹿島のCBコンビその他の選手も総じて出来は良かったがDF昌子とDF植田直のCBコンビもいいプレーを見せた。2失点を喫したがいずれも相手のシュートが上手だった。こちらは鹿島でずっとCBコンビを組んでいるので慣れたコンビである。CBに関してはDF吉田のスタメンは決まりだと思うが、パートナーに関してはまだ不確定である。DF昌子とDF植田直がともにいいプレーを見せたことでスタメン争いは分からなくなってきた。
特にDF植田直の高さとスピードは魅力があるので「DF吉田+DF植田直という組み合わせ」でも面白いだろう。唯一の2試合連続スタメンとなったDF酒井高はこの日は左SBでプレーした。疲労はあったと思うが躍動した。右SBでも左SBでも遜色なくこなせる点が大きな武器となるがMF乾がうまく時間を作ってDF酒井高の積極的な攻撃参加を引き出した。代表でここまで躍動したのは久しぶりのように思う。
先のとおり、スイス戦でスタメン出場した11人が西野JAPANのベースになると思うが、当然、西野JAPANにおいて結果を出せている選手はほとんどない。パラグアイ戦で起用された選手との差は実力的にも評価の上でもごくわずかである。「嬉しい悩み」と言えるほど贅沢な悩みではないが「コロンビア戦でどういう11人を選ぶのか?」は分からなくなってきた。西野監督のスタメン選びが大いに注目される。
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