■ 上位候補が軒並み苦戦今年のJ2は開幕前の評価が高かった上位候補のチームが軒並み苦戦を強いられている。「優勝候補の筆頭」と言われた大宮は10節終了時点で3勝5敗2分け。15位と苦しいスタートになっている。他にも徳島が16位、甲府が17位、千葉が19位。5勝2敗3分けで5位とプレーオフ圏の福岡はまずまずの位置に付けているがその他の上位候補はほぼ全滅と言っても過言ではない状況になっている。まさかの展開になっている。
新潟も同様である。ここまで3勝5敗2分けで勝ち点「11」。14位と苦しんでいる。開幕4試合は2勝2分け。まずまずのスタートを切ったが5節以降は1勝5敗。7節から4連敗中とトンネルの出口が見つからない状況である。幸か不幸か、自動昇格候補と言われたチームが軒並み低調なので取り残されているわけではないがそれでも2位に付ける岡山との差は早くも「10」。簡単には追いつくことは出来ない差になっている。
東京Vは開幕から10試合負けなしで突っ走っており、首位の大分と2位の岡山はわずか1敗のみ。好スタートを切ったが独走しそうなチームは見当たらず。混戦になることは間違いないがそれでも徐々に上位と中位と下位の差が広がりつつある。下位候補だった山口や熊本などが上位争いに参加しており、大宮・甲府・千葉・徳島・新潟など自動昇格を狙うチームは降格ゾーンも意識した戦いにならざる得ない状況である。
■ 問題なのは得点力不足これだけ開幕前に上位候補と言われたチームが低迷するのはJ2の長い歴史の中でも初めてと言える。イレギュラーなシーズンになっているが新潟がここまで苦しむとは予想できなかった。クラブ規模的にはJ2の中では最上位クラスである。ホーム戦では多くのサポーターの後押しを受けることができる恵まれた環境なので順調に勝ち点を積み上げるかに思えたがここまでは低調。厳しい戦いを強いられている。
10試合で10失点。DFソン・ジュフンを中心とした守備陣はまずまず頑張っている。問題は攻撃陣である。10試合で9得点というのは下から6番目。寂しすぎる数字である。4節の横浜FC戦(A)で3ゴールを挙げているがそれ以外の9試合は全て1点以下。複数得点を奪った試合はここまで1つしかない。1得点の試合が6つ、無得点の試合が3つ。開幕前から不安視されていた攻撃陣が本来の力を出し切れていない。
誤算は外国人選手になる。得点源として期待されたFWターレスはなかなかコンディションが整わずに開幕から途中出場が続いた。10節の大宮戦(H)でようやくJ2初スタメンを飾ったがまだノーゴール。開幕直前に獲得したMFブルーノ・メネゲウは10節の大宮戦(H)でようやくベンチ入りを果たしたがまだ出場機会なし。契約問題がこじれたMFホニは一応は選手登録をされているが「契約解除か!?」と報じられている。
■ シュート数がJ2ワースト3人の外国人選手が全く働いていないのは大きな誤算と言える。表1はシュートに関するスタッツを示しているが1試合平均のシュート数が9.44でJ2最少。枠内シュート数も3.33で17位となる。その一方で枠内シュート率は35.3%で5位。点が取れておらず、あのシュートが決まっていたらという場面は少なくないが、「決定力不足」というのは適切ではない。「シュートチャンスが少ない点」が根本的な問題と言える。
パス数は8位、ボール支配率は5位なのである程度はボールを保持することが出来ている。30mライン進入回数は6位なのでJ2の中では上の方になるがペナルティエリア進入回数が21位とブービー。ある程度のところまでボールを運ぶことは出来ているがその先のアタッキングサードを攻略することができていない。ドリブル数が15位で、クロス数が11位。仕掛けの部分に大きな課題を抱えているのは明らかである。
MF加藤大、MF小川佳、MF高木善などが2列目で頻繁に起用されているがここまではかなり物足りない。外国人選手の巻き返しに期待したいが日本人の若手の台頭も不可欠である。ともに大卒ルーキーとなるFW渡邉新とMF戸嶋はまだ十分なプレー時間を得ていないがインパクトは残している。流れが非常に良くないので大卒ルーキーコンビに多くのチャンスを与えるのも打開策の1つと考えられる。
表1. シュートに関するスタッツ (10節終了時点)
クラブ名 | シュート | 順位 | 枠内シュート | 順位 | 枠内シュート率 | 順位 |
松本山雅 | 15.78 | 1 | 4.44 | 6 | 28.2% | 17 |
横浜FC | 15.44 | 2 | 6.44 | 1 | 41.7% | 1 |
アビスパ福岡 | 15.33 | 3 | 4.56 | 5 | 29.7% | 13 |
モンテディオ山形 | 14.11 | 4 | 3.67 | 12 | 26.0% | 19 |
徳島ヴォルティス | 13.89 | 5 | 4.67 | 4 | 33.6% | 8 |
大分トリニータ | 13.78 | 6 | 4.78 | 3 | 34.7% | 7 |
東京ヴェルディ | 13.44 | 7 | 2.89 | 20 | 21.5% | 22 |
ジェフ千葉 | 13.33 | 8 | 4.11 | 8 | 30.8% | 11 |
栃木SC | 13.11 | 9 | 4.11 | 8 | 31.4% | 10 |
レノファ山口 | 13.00 | 10 | 5.22 | 2 | 40.2% | 2 |
愛媛FC | 12.67 | 11 | 3.67 | 12 | 28.9% | 15 |
ツエーゲン金沢 | 12.56 | 12 | 4.44 | 6 | 35.4% | 4 |
ファジアーノ岡山 | 12.11 | 13 | 3.44 | 16 | 28.4% | 16 |
大宮アルディージャ | 11.89 | 14 | 3.56 | 15 | 29.9% | 12 |
ロアッソ熊本 | 11.89 | 14 | 3.22 | 19 | 27.1% | 18 |
水戸ホーリーホック | 11.67 | 16 | 3.67 | 12 | 31.4% | 9 |
FC岐阜 | 11.33 | 17 | 3.33 | 17 | 29.4% | 14 |
町田ゼルビア | 11.11 | 18 | 3.89 | 11 | 35.0% | 6 |
京都サンガ | 10.89 | 19 | 2.44 | 22 | 22.4% | 21 |
ヴァンフォーレ甲府 | 10.67 | 20 | 4.00 | 10 | 37.5% | 3 |
カマタマーレ讃岐 | 10.22 | 21 | 2.56 | 21 | 25.0% | 20 |
アルビレックス新潟 | 9.44 | 22 | 3.33 | 17 | 35.3% | 5 |
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