■ 2017年は最悪のシーズンになったロアッソ熊本ロアッソ熊本にとって2017年は最悪に近いシーズンとなった。開幕3試合は1勝2分けとまずまずのスタートを切ったが4節から4連敗。またしても残留争いに巻き込まれて終わってみると9勝23敗10分けで21位。自動降格となる21位で全日程を終えたにもかかわらず、J2ライセンスを取得できなかった秋田がJ3を制したことで熊本は引き続いて2018年もJ2で戦う権利を得たが他力で生き残った形になる。
途中就任した池谷監督もシーズン終了後に退任。危機的な状況だったが広島で手腕を発揮した織田GMを招聘。大宮で実績を積んだ渋谷監督の招聘にも成功してチームは蘇った。オフ期間にはまずまずの補強ができたがちょうど全日程の1/6を消化した7節を終えた時点で4勝3敗。白星が先行している。開幕前は「降格候補の1つ」と言われていたことを考えると7試合で勝ち点「12」というのは十分な数字である。
上位候補を相手にホーム戦で強さを発揮しているのが今シーズンの熊本の特徴といえる。2節は徳島に逆転で勝利して、5節も大宮を相手に逆転で勝利した。さらに7節は初対戦となる新潟に3対1で大勝。侮れないチームになっている。前年度の順位が21位のチームなので「とにかくJ2に生き残ること」が今シーズンのまず最初の大きな目標だったが上方修正をしてもいいくらいここまでは順調に勝ち点を積み上げている。
■ 昨シーズンと比較して激増したクロス数実績のある渋谷監督を招聘した熊本に対する期待値はまずまず高かったがここまでは予想以上と言える。サプライズの1つに挙げられるが単に結果を残しているだけでなく内容的にもかなり優れている。ボールがうまく回るようになったので観ていても面白いサッカーになっている。当然、結果を残して勝ち点を積み上げていくことが1番大事なことであるが、やはり、エンターテイメント性も追い求める必要がある。
オフに監督が交代してチームが一新されてチームがいい方向に大きく変わったが表1が各種スタッツの2017年と2018年の比較になる。2017年は42試合で36得点/59失点だったが、2018年はここまで7試合で11得点/11失点。慢性的な課題と言える得点力アップに成功している。先のとおり、ボールが回るようになったがパス数は392.83本から479.50本に増加しており、シュート数も10.64本から11.83本に増えている。
一番の違いはクロス数になる。11.90本から18.17本に激増している。2017年は22クラブの中で21番目だったが、2018年はここまで19.33本の千葉に次いで2番目の多さとなる。右WBにコンバートされたMF田中達が右サイドを得意のドリブルとスピードを生かして切り裂きまくっていて、左WBで起用されているMF黒木晃も効果的な攻撃参加を見せている。サイドからのクロスが新生・熊本の大きな武器になっている。
表1. 2017年と2018年のスタッツの比較
クラブ名 | 2017年 | 2018年 |
シュート | 10.64 | 11.83 |
枠内シュート | 3.21 | 3.67 |
パス | 392.83 | 479.50 |
クロス | 11.90 | 18.17 |
直接FK | 11.07 | 12.67 |
間接FK | 1.74 | 3.33 |
CK | 3.76 | 6.00 |
スローイン | 24.38 | 22.83 |
ドリブル | 10.21 | 14.17 |
タックル | 20.83 | 17.67 |
クリア | 29.83 | 25.67 |
インターセプト | 2.29 | 2.17 |
オフサイド | 1.50 | 1.00 |
警告 | 1.50 | 0.50 |
30mライン進入 | 32.21 | 35.83 |
枠内シュート | 30.2% | 31.0% |
■ 失点数の多さは課題と言えるが・・・。ドリブル数も10.21回から14.17回に増えており、CK獲得本数に至っては3.76回から6.00回に大幅にアップしている。ここ最近のJリーグのトレンドになりつつあるツインタワー(FW安柄俊&FW皆川)に生きたボールをたくさん供給できているので自然と得点シーンも増える。清川監督時代は守備を重視した受け身のサッカーになることが多かったが渋谷監督になって雰囲気がガラッと変わった。いい流れになっている。
問題点を挙げると失点の多さになる。7試合で11失点というのはやはり多い。下の表2はペナルティエリア進入回数の±の数値を示しているが熊本は「-7.17」でJ2ワーストとなる。渋谷監督になってボールを保持して攻め込む機会は増えているが現状はそれ以上に攻め込まる機会が多い。元日本代表で経験豊富なDF青木剛を3バックの中央に据えて彼を中心に懸命に守っているが打ち破られる場面は少なくない。
守備的なポジションの選手のタレント力はJ2の中でも下のレベルになるので「個の力」で防ごうとしても難しい。大きな課題と言えるがそれでも攻撃的なサッカーを志向するようになったので「もっといい攻撃をして守備にかかる負担を減らす。」というマインドで戦うのがベターと言える。MF中山雄、MF八久保、MF米原で組む中盤は試合を重ねるごとに熟成されているので熊本がJ2の中で台風の目になる可能性がある。
表2. ペナルティエリア進入回数 (6節終了時点)
チーム名 | ± | 自チーム | 相手チーム |
(回) | 順位 | (回) | 順位 |
徳島ヴォルティス | 7.33 | 18.00 | 1 | 10.67 | 1 |
栃木SC | 5.83 | 16.67 | 2 | 10.83 | 2 |
モンテディオ山形 | 4.83 | 16.67 | 2 | 11.83 | 6 |
アビスパ福岡 | 2.83 | 14.33 | 11 | 11.50 | 5 |
愛媛FC | 2.17 | 16.67 | 2 | 14.50 | 12 |
ツエーゲン金沢 | 1.83 | 13.00 | 13 | 11.17 | 4 |
横浜FC | 1.67 | 15.00 | 8 | 13.33 | 8 |
東京ヴェルディ | 1.67 | 16.50 | 5 | 14.83 | 15 |
レノファ山口 | 1.33 | 16.17 | 6 | 14.83 | 15 |
ジェフ千葉 | 1.17 | 15.67 | 7 | 14.50 | 12 |
町田ゼルビア | 0.83 | 14.50 | 10 | 13.67 | 9 |
大宮アルディージャ | 0.83 | 15.00 | 8 | 14.17 | 10 |
アルビレックス新潟 | -1.50 | 9.50 | 21 | 11.00 | 3 |
京都サンガ | -1.50 | 11.33 | 19 | 12.83 | 7 |
松本山雅 | -1.67 | 13.33 | 12 | 15.00 | 18 |
ファジアーノ岡山 | -2.33 | 12.17 | 16 | 14.50 | 12 |
ヴァンフォーレ甲府 | -2.50 | 11.83 | 17 | 14.33 | 11 |
大分トリニータ | -3.00 | 11.83 | 17 | 14.83 | 15 |
水戸ホーリーホック | -3.17 | 12.33 | 15 | 15.50 | 20 |
FC岐阜 | -5.83 | 10.50 | 20 | 16.33 | 21 |
カマタマーレ讃岐 | -6.50 | 8.50 | 22 | 15.00 | 18 |
ロアッソ熊本 | -7.17 | 12.83 | 14 | 20.00 | 22 |
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