■ バックパスが禁止になる。一昔前のキーパーになると「サイズがあってセービング技術は高いが足元の技術は低い。」、「ロングキックがどこに飛んでいくのか分からない。」という選手が少なくなかった。1992年のアジアカップの優勝メンバーで、ドーハの悲劇のときはGK松永(横浜M)に次ぐセカンドキーパーだったGK前川(広島など)が典型例に挙げられる。キーパーとしての能力は相当に高かったが足元の技術が低くてフィードが苦手だった。
ただ、それは致し方ない話である。1992年にサッカーのルールが変更になって「味方からのバックパスを手で扱うこと」が禁止となった。それ以前はキーパーは手でボールを扱うことができた。ゴールキックを蹴る機会は当然あったがキックや足元の技術はそれほど重要な要素ではなかった。いきなりのルール変更に戸惑ったキーパーは少なくなかった。この時期のキーパーはアジャストが求められて大変だった。
あれから26年が経過しているので「以前のルール」でプレーした経験のある現役のキーパーは少なくなった。1975年生まれのGK川口(SC相模原)や1976年生まれのGK楢崎(名古屋)は高校時代にルール変更に直面しているので影響を受けたキーパーになるが大半のキーパーは「ルール変更以降」にサッカーを始めているはず。「そういう時代があったことすら知らない。」という現役のキーパーがいても不思議はない。