■ J2の開幕戦J2の開幕戦。2017年は共にプレーオフの準決勝で敗れてJ1昇格を逃した東京ヴェルディとジェフ千葉が味の素スタジアムで対戦した。どちらもオリジナル10のクラブになるが東京Vは2008年、千葉は2009年を最後にずっとJ1の舞台から遠ざかっている。J2に定住しているが今シーズンは久々となるJ1復帰に向けて大きなチャンスを迎えている。昇格候補と言われているチームがいきなり開幕戦で激突した。
ホームの東京Vは「4-1-2-3」。GK上福元。DF田村直、井林、畠中、奈良輪。MF内田達、渡辺皓、梶川。FW藤本寛、ドウグラス・ヴィエイラ、アラン・ピニェイロ。年代別の日本代表で10番を背負って1999年生まれの世代の顔的な存在になっているユース出身のFW藤本寛が開幕スタメンを飾った。五輪代表のMF井上潮はベンチスタート。新加入選手の中ではGK上福元とDF奈良輪が開幕スタメンを勝ち取った。
対するアウェイの千葉は「4-1-2-3」。GKロドリゲス。DF山本真、近藤直、増嶋、高木利。MF熊谷アンドリュー、茶島、矢田。FW町田、ラリベイ、為田。2月4日(日)に行われた柏とのちばぎんカップでスタメン出場した選手が開幕戦でもスタメンで起用された。GKロドリゲス、DF高木利、MF茶島の3人が新加入選手となる。FW指宿、MF小島秀などがベンチスタートとなった。GKロドリゲスはアルゼンチン出身となる。
■ 2対1で東京ヴェルディが競り勝つ試合は開始早々の前半9分にキーパーと1対1に近い決定機を迎えたFWドウグラス・ヴィエイラを倒したDF増嶋が一発レッドで退場。早々に千葉は10人となる。CBのDF増嶋が抜けた千葉はFW町田を下げて大卒ルーキーのDF鳥海を起用。0対0のままで折り返したが後半3分に左サイドに流れたFWアラン・ピニェイロのクロスからFWドウグラス・ヴィエイラがヘディングシュートを決めて東京Vが先制に成功する。
その後は前がかりになった千葉を尻目に東京Vがカウンターから何度もチャンスを作ったが決められず。すると後半41分に右SBに回っていたDF茶島の素晴らしいクロスからエースのFWラリベイが起死回生の同点ゴールを決めて千葉が1対1の同点に追いついた。追いつかれた東京Vだったが直後にCKを獲得すると途中出場したMF井上潮のキックにCBのDF畠中が合わせてすかさず2対1と勝ち越しに成功する。
2対1で競り勝った東京Vが開幕戦を勝利で飾った。あのまま1対1のドローに終わっていたら東京Vにとっては「負けに等しい引き分け」と言えたのでDF畠中に救われた。敗れた千葉は途中出場した大卒ルーキーのDF鳥海が奮闘。80分以上を数的不利の状況で戦いながら僅差の勝負に持っていくことに成功したがあと少しのところで勝ち点を取り逃がした。次節は好スタートを切った水戸とホームで対戦する。
■ 痛すぎた前半9分の退場前半9分という早い段階でのDF増嶋の退場がターニングポイントになった。これだけ早い時間に1人欠けると耐えきるのは難しくなる。その直前にもFWドウグラス・ヴィエイラが裏に抜け出してキーパーと1対1に近い決定機を迎えているが東京Vの選手の裏への飛び出しは立ち上がりから効果的だった。リプレーを見る限りでは「DF増嶋にレッドカードが出るのは仕方がない。」と言える攻防があった。
いきなり大変な状況に陥った千葉だったが数的不利を感じさせない時間帯もあった。数的不利の時間帯がほとんどということを考えると内容的には悪くなかったがあのような形で後ろから倒してしまうと高確率でレッドカードが出る。DF増嶋は経験が豊富な選手なので「レッドカードだけは出されない対応」をしなければいけなかった。前半の開始早々の退場と後半の終了間際の退場の意味は大きく異なる。
敗れたものの粘り強さを発揮して同点ゴールを生み出すことが出来たのは1つの収穫と言える。広島から期限付き移籍のDF茶島が後半の半ば以降は右SBに回っていたが精度の高いクロスを供給した。他のポジションと比べると右SBが充実していないので中盤が本職となるDF茶島が右SBに回ってゴールに絡んだのは千葉にとってはポジティブな要素と言える。早い段階でのFW町田の交代はやはり残念だった。
■ 注目のレフティのFW藤本寛也がデビュー東京Vは白星スタートを切った。早々に相手に退場者が出たことを考えると「もっと楽な展開に持ち込まなければいけなかった。」と言えるがとにもかくにも勝ち点「3」を獲得できたのは大きい。何度もチャンスを逃した後に同点ゴールを許したので極めて嫌な流れだったがセットプレーから決勝ゴールをゲット。ここ数年の東京Vに欠けていた勝負強さを発揮した。劇的な試合を制したことで勢いに乗る可能性はある。
年代別代表の10番として活躍している至宝のFW藤本寛が待望のJ2デビューを飾った。中学生の頃から年代別代表で中心になって活躍してきた選手なので高校在学中にJ2デビューを済ませなかったことが不思議に感じるほど才能に恵まれた選手であるが右ウイングの位置で起用されて何度もチャンスに絡んだ。ゴール前で得たFKの場面では何度かキッカーも任されたがJ2初ゴールはそう遠くないだろう。
下がり目の位置でプレーすることも出来るが、左利きで、テクでニックがあって、キックの精度が抜群に高くて、イマジネーションが豊富。急所を突くスルーパスが一番の魅力と言えるので若い頃のMF中村俊(磐田)によく似ている。MF中村俊は178センチ/71キロで、FW藤本寛は176センチ/66キロ。サイズ的にもよく似ており、年代別代表で10番を背負って活躍した or しているところもこの2人の共通点と言える。
1999年生まれの選手で構成される年代別代の常連で試合数ならびに出場時間は最多となる。今年の秋に行われるU-19アジア選手権で主力として活躍することが期待されているが、当然、2020年の東京五輪も狙える選手である。この世代は「左利きのアタッカー」が豊富でMF堂安(FCフローニンゲン)、FW久保建(FC東京)、MF三好(札幌)がいるがこの競争に割って入っても何ら不思議はないタレントである。
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