■ J2ライセンスを取得できなかったブラウブリッツ秋田2017年のJ3を制したのは秋田だった。最終成績は2位が栃木SCで、3位が沼津となったが1位の秋田と3位の沼津はいずれもJ2ライセンスを取得できなかったので昇格条件の1つである「2位以内」をクリアしたとしてもJ2に昇格することはできなかった。4位以下との差は大きかったのでJ2で自動降格圏となる21位になった熊本は救済されてJ3の最終節が行われる前にJ2残留が確定した。熊本は他力でJ2に生き残った。
秋田がJ3を制覇しながらJ2に昇格できなかったことでJリーグのライセンス制度が大きな注目を集めたがライセンスの部分で各クラブの大きな障害になるのは「スタジアムの入場可能人員」と「クラブハウスや練習場などの施設面」の2つである。他にはトイレの数、観客席を覆う屋根の割合などもチェック項目になるが話がなかなか進まずに上位のライセンスを取得できないときに問題になるのは最初に挙げた2つである。
スタジアムの入場可能人員に関してはJ1ライセンスとJ2ライセンスとJ3ライセンスで大きく異なるがライセンスを取得するために必要な人数は以下のとおりである。
J1ライセンス:15,000人以上
J2ライセンス:10,000人以上
J3ライセンス:5,000人以上
■ スタジアム問題を抱えているチームは・・・。2017年の審査で「J2ライセンス止まりでJ2で好成績を残したとしてもJ1には昇格できない。」というJ2のチームは水戸・町田・讃岐の3チームとなる。また、「J3ライセンス止まりでJ3で好成績を残したとしてもJ2には昇格できない。」というJ3のチームは秋田・盛岡・福島・YS横浜・SC相模原・藤枝MYFC・沼津の7チームとなる。(※ U-23の3チームは2位以内に入ってもJ2に昇格することは出来ない。)
結局、J2の中でJ1ライセンスを取得できなかったチームは3チーム、J3の中でJ2ライセンスを取得していないチームはU-23を除いても7チームある。秋田・盛岡・福島・YS横浜・SC相模原・藤枝MYFC・沼津に関しては複数の問題を抱えているので「スタジアムの問題さえ解決できればJ2ライセンスを取得できる。」というわけではないと思うがこの点がJ2昇格のための最大の障壁になっているのは明らかである。
秋田は「J3を制覇したのにJ2に昇格できなかった。」という悲劇が行政の重い腰を動かす原動力になって2018年にJ2ライセンスを取得できるように行政が動き始めているが「2014年のJ2でプレーオフ圏に入った。新スタジアム建設の落札者も決定している。」という段階でありながらJ1ライセンスを認められなかった2014年の北九州の例を考えると早い段階で秋田がJ2ライセンス取得する可能性は高くはない。
■ 「秋田にとって追い風」と報じられているが・・・。つい先日、
・翌シーズンの広告料収入確定額が1億円以上
・1試合平均入場者数が3,000人以上
という2つの規定がなくなって
・J2ライセンスを取得していること。
・J3で2位以内という成績を残していること。
の2つにJ2昇格条件が変更されたことが発表された。「J2昇格を目指す秋田にとって追い風となる既定の変更」と報じられたが平均入場者数に関してはタダ券をバラまくことで平均値を大きく引き上げることが可能。2017年の秋田の平均観客動員数は2,364人なので無関係というわけではないが状況的にさしたる変化はない。収容人数の問題が最大の障壁なので追い風と表現するのは全く適当できないだろう。
あきぎんスタジアムの収容人数は4,992人となっている。平均が2,364人なので集客率は50%弱である。昇格条件の1つとしてこれまで規定されていた3,000人と仮定すると60%の入りとなる。「そういうクラブに(J2ライセンスを取得するために)1万人規模のスタジアムを要求するのはどうなのか?」という意見もあるが個人的にはJ1で1万5,000人以上、J2で1万人以上という条件をなくすのは適切とは言えないと思う。
もちろん、MF乾が所属するエイバルのように5,000人規模のスタジアムでありながらスペインリーグで存在感を発揮しているクラブもある。エイバルのホームのエスタディオ・ムニシパル・デ・イプルーアの収容人数は5,250人なのであきぎんスタジアムと同じくらい。エイバルの頑張りは称賛に値するが特殊な例である。「5,000人規模で十分にやれているクラブがあるから5,000人規模でもOK」というのは乱暴である。
■ 日本国内のサッカーの地位を考えると・・・。頻繁にサッカー観戦に行く人であれば自明の話になるが収容人数の7割くらいのお客さんが集まると席を確保するのは大変になる。8割程度になるとボッチ観戦であっても座れないことを覚悟しなければいけなくなる。また、平均が3,000人であっても等しくどの試合も3,000人前後のお客さんが集まるわけではない。「平均観客動員数が3,000人のクラブは5,000人規模のスタジアムで十分」とはとても言えない。
入場料収入はクラブの財政を支える根幹の1つなので5,000人のスタジアムで昇格して苦労するのはクラブ自身である。運よく上のカテゴリーに定着できて、かつ、ほとんどの試合でチケットがソールドアウトするようなフィーバーが起こったとしても「5,000人規模のスタジアムでOK」という規則であったならばよほどのことがない限り新スタジアムの建設やスタジアムの拡張の話は出てこないだろう。
現在の日本国内のサッカーの地位を考えると数年前の長野や今の秋田のように「○○がダメなので好成績を残しても昇格することは出来ない。何とかしてください。」と行政に頼み込まないとハード面を改善させるのは相当に難しい。市や県など行政といい関係を築いてハード面を着実に充実させているクラブがたくさんある中、条件を緩くして低い方に合わせることは現時点では選択すべきではないだろう。
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