■ タイ人ブームの到来今オフのJリーグの移籍市場で話題になったのは
・タイ人ブームの到来。
・外国人キーパーの増加。
の2点である。「タイ人ブーム」に関しては昨夏に札幌に加入したMFチャナティップ(札幌)が火付け役になった。「3-4-2-1」のシャドーの位置で起用されて札幌にとっては「16年ぶりとなるJ1残留」の立役者の1人になった。16試合で0ゴール1アシスト。数字を残すことは出来なかったが高度なテクニックと豊富な運動量で攻撃の中心として大きな存在感を発揮した。彼の活躍によってタイ人への評価が急上昇した。
昨シーズンはMFシティチョーク・パソ(鹿児島)、MFチャナティップ(札幌)、MFジャキット(FC東京)という3人のタイ人がJリーグでプレーしたが、今オフ、FWティーラシン(広島)とDFティーラトン(神戸)とMFチャウワット(バンコク・グラス)が新たに日本にやってきた。MFチャナティップとMFジャキットは引き続いて2018年もJリーグでプレーするので今年は合計で5人のタイ人が日本でプレーすることになる。
表1. 日本でプレーするタイ人プレーヤー (2018年)
名前 | 所属 | 生年月日 | 身長 | 体重 |
ティーラシン | サンフレッチェ広島 | 1988/6/6 | 181 | 76 |
ティーラトン | ヴィッセル神戸 | 1990/2/6 | 171 | 62 |
チャナティップ | コンサドーレ札幌 | 1993/10/5 | 158 | 56 |
チャウワット | セレッソ大阪 | 1996/6/23 | 171 | 63 |
ジャキット | FC東京 | 1997/1/26 | 173 | 70 |
■ 2018年は5人のタイ人がJリーグでプレー当然のことながら、過去最多の人数になるがMFジャキット(FC東京)とMFチャウワット(C大阪)の2人はU-23タイ代表となる。MFジャキットは1月に行われたU-23アジア選手権のメンバーに選ばれてGLの2試合目の日本戦でもプレーしている。一方のMFチャウワットはC大阪のキャンプに(遅れることなく)合流するためにC大阪側の要請で代表入りを断ったため、U-23アジア選手権には参加しなかったと言われている。
いずれにしてもMFジャキットもMFチャウワットもタイの中では期待度の高い若手である。昨夏にFC東京に加入したMFジャキットはJ3で11試合で1ゴール。最終節のC大阪U-23戦(H)の開始22秒で決めたゴールが記念すべきタイ人にとってのJリーグ初ゴールになった。アタッカー系の選手であるがシーズンの終盤は右WBで起用された。Jリーグに慣れてきて徐々に攻撃の部分で良さを出せるようになってきた。
MFチャウワットは左利きのボランチとなる。バンコク・グラスFCからの期限付き移籍となるが2012年3月にC大阪とパートナーシップを締結しており、過去にはDF茂庭(C大阪)やDF池田(愛媛FC)がバンコク・グラスFCでプレーしている。早い段階からC大阪はアジアの市場を開拓しようと躍起になっていたがようやくタイ人選手の獲得にこぎつけた。MFジャキットもMFチャウワットもまずはU-23が主戦場になるだろう。
■ タイ代表の主力となる2人当然のことながら、若手コンビがどのくらい出来るのか?も興味深いが、やはり、より大きな注目が集まるのはDFティーラトン(神戸)とFWティーラシン(広島)の2人である。左SBのDFティーラトンは国際Aマッチは49試合で5ゴール。ACLでは通算すると42試合で6ゴール。ブリーラムUならびにムアントンUの一員として何度もJリーグ勢とACLで対戦しており、正確無比な左足のキックでJリーグ勢を苦しめた。
一方のFWティーラシンは国際Aマッチは91試合で42ゴール。タイの英雄と言われている。FW三浦知(横浜FC)が89試合で55ゴールということを考えるとFWティーラシンが国民的なスーパースターであることはすぐに理解できる。こちらもACLの舞台で何度も日本勢を苦しめたので日本サッカーファンにもお馴染みの選手である。川崎Fや磐田も獲得に乗り出す争奪戦になったが広島への加入を決断した。
MFチャナティップが札幌で活躍した後、「次にJリーグにやってくるタイ人は誰だろう?」という話題になった時は必ず名前が挙がったのがDFティーラトンとFWティーラシンの2人である。DFティーラトンに関してはC大阪も獲得に興味を示すなど動向が注目されていたが神戸を選択した。タイ人プレーヤーは「提携枠」になる。外国人枠ならびにアジア枠にはカウントされない点が1つの大きな魅力と言える。
■ アジア各国のスターが集まるリーグに・・・。昨今のタイブームがさらに過熱するのか?否か?はDFティーラトン(神戸)とFWティーラシン(広島)の2人にかかっていると言っても過言ではない。当然、このクラスの選手がJリーグでプレーすることになったらタイのサッカーファンは大きな期待を持って母国のスターに注目する。日本のサッカーファンがMF本田圭(パチューカ)やMF香川(ドルトムント)やDF長友(ガラタサライ)に注目するのとまったく同じである。
Jリーグはタイの国内リーグなど東南アジアの各リーグと比べると規模やレベルは少し上になるがスペインやドイツなど欧州の主要リーグよりはランクが落ちる。MFチャナティップも「いずれは欧州でプレーしたいという希望を持っている。」と言われているがJリーグの方が欧州のスカウトの注目を集めやすい。「Jリーグでトップクラスの活躍を見せた選手は欧州に旅立つ。」という流れはすでに確立されている。
欧州や南米の人にJリーグに興味を持ってもらうのはほぼ無理である。日本国内には新たなファンを開拓できる余地はあると思うが限界はある。より魅力的なのはタイを含めた東南アジアの国々である。「Jリーグが発展するためには東南アジアを巻き込んでアジア各国のスターが集まるアジア最高のリーグにならなければいけない。」ということは10年ほどずっと前から言われてきたがようやく形になり始めている。
タイ人以外ではベトナム代表のFWレ・コン・ビン(元札幌)、インドネシア代表のMFイルファン(元札幌など)、カンボジアの英雄と言われるFWワタナカ(元藤枝MYFC)などがJリーグでプレーした。「アジア各国を代表するスター選手がJリーグで活躍することを夢見て日本にやってきて母国のファンが彼らに注目してJリーグを楽しむ。」と流れが出来上がったらJリーグはもっと面白いリーグになるだろう。
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