■ 7位に転落したプレーオフ出場はならず・・・。攻撃的なサッカーでJ2を盛り上げた徳島ヴォルティスは最終節を前にした段階で5位。最終節は6位の東京Vとの直接対決だったが得失点差ではプレーオフ争いに参加した4チームの中で圧倒的に優れているので「最終節の東京V戦(A)は引き分けでもプレーオフ出場が確定する。」という極めて有利な状況だった。2月末の開幕戦で圧倒した東京Vが相手なので自信をもって試合に入ったと思うがまさかの展開になった。
同時刻キックオフで行われた最終節は東京V vs 徳島も、千葉 vs 横浜FCも1対1のまま後半の終盤を迎えた。「徳島のプレーオフ出場は濃厚」という状況になっていたが2試合ともに後半の終了間際に決勝ゴールが生まれた。千葉が奇跡の大逆転でプレーオフに進んだが徳島は悲劇的な形でプレーオフ出場を逃した。スペイン系の監督を招聘した3チームの中では徳島だけがプレーオフに進めなかった。
徳島のラスト10試合は4勝2敗4分け。10試合で勝ち点「16」を稼いでいるので決して悪い成績ではないが10試合で8勝2敗の千葉、同じく10試合で6勝2敗2分けの東京Vと比べると勝ち点は伸び悩んだ。今シーズンの徳島は42試合で71得点を挙げるなど爆発的な攻撃力が魅力のチームだった。大量得点を奪う試合が多かったが試合を優位に進めながら決定力を欠いて勝ち点を取りこぼす試合も非常に多かった。
■ 大変な顔ぶれになりそうな2018年リカルド・ロドリゲス監督の続投が決まったので2018年も同じ体制で挑むことができるのは大きいが2018年のJ2は今シーズン以上に大変な混戦になることが予想される。すでに新潟のJ2降格が決定しているが、17位の大宮も降格を回避するのは難しい状況である。降格枠のあと1つが清水になるのか?広島になるのか?甲府になるのか?は分からないが、仮に広島が降格となった場合はさらに混沌とした状態になる。
今シーズンのJ2が稀に見る大混戦になった理由としては「大本命と言われるチームが1つもなかった点」が挙げられる。もちろん、クラブ規模では名古屋が頭2つほど抜け出しているがオフにいろいろなゴタゴタがあったので「ぶっちぎりの優勝候補」ではなかった。多くのチームにJ2昇格の可能性があるチャンスのシーズンだったので徳島も2014年以来のJ1復帰に向けて気合が入っていたがここで脱落となった。
言うまでもなくプレーオフで名古屋が敗れてJ2に留まるようだと2018年のJ2の昇格争いはなおさら大変になる。例えば広島がJ2に降格して東京Vがプレーオフを制してJ1に昇格するとしたら「広島・大宮・新潟・福岡・名古屋・千葉・松本山雅」が一同にJ2に揃うことになる。他にも大分や横浜FCや京都や山形や岡山などもいるのでこの中で徳島が2位以内あるいは6位以内に入るのは相当に大変なことである。
■ 主力の大量流出の危険性J2の中に突出した戦力を持つチームがいなくて、かつ、十分にJ1昇格を狙えるだけの戦力を整えることができた2017年は徳島にとって大きなチャンスだったが物にすることはできなかった。主力の入れ替えが少ないプロ野球の場合、好成績を残したシーズンの後は「来年こそは!!!」とポジティブに考えることができるが選手の入れ替えが激しいJリーグの場合、簡単には気持ちを切り替えることはできない。
今シーズンの徳島は攻撃的で魅力的なサッカーを披露して注目を集めたが「個人が輝くサッカー」を見せたチームはその年のオフ期間が大変になる。無事にACLの出場権獲得やJ1昇格などクラブとしての大きな目標を達成することができたならば問題は小さくなるが「攻撃的でかつ魅力的なサッカーを披露しながら目標としていた結果を残すことができなかった。」というケースはハイエナどもの餌食になってしまう。
その典型的な例は、やはり、2016年の山口である。J3からの昇格1年目ながら面白いサッカーを見せて他クラブのサポーターからも高い評価を受けた。シーズン中は楽しい日々が続いたが一転してシーズン終了後はつらい日々が続いた。攻撃的なサッカーを支えたMF庄司、MF福満、MF島屋、DF小池龍など主力の流出が相次いで今シーズンは20位。シーズン途中に上野監督が退任するなど激動のシーズンになった。
■ 魅力的なサッカーで旋風を巻き起こしたが・・・。好成績を残したチームであっても守備重視のサッカーでしぶとく勝ち点を積み上げてきたチームの主力は意外と流出はしない。2016年の町田も主力の流出はほぼなかった。やはり、他クラブのターゲットになりやすいのは攻撃的なキャラクターの選手なので攻撃的なサッカーを披露したチームは大変である。昨今のJリーグはどのチームも生き残るのに必死。格下のクラブに良い選手がいる場合、容赦なく群がってくる。
山口と比べると資金力のあるチームなので幾分かはマシだと思うがFW渡、FW山崎凌、MF岩尾、DF馬渡といった選手にはJ1のクラブならびにJ2の上位クラブからたくさんのオファーが舞い込むことが考えられる。当然、期限付き移籍中のMF杉本太とMF前川の2人の去就がどうなるのか?も分からない状況。GK長谷川徹も相変わらず評価の高いキーパーなので山口のようにメンバーが様変わりする可能性はある。
サッカー人生は短いのでカテゴリーが上のクラブからいいオファーが届いた場合、オファーを拒むのは相当に難しい。「主力の流出が多いチーム」というとJ1では広島や新潟の名前を挙げることができるが「いい選手、特に若くていい選手」が定期的に出てくるチームは選手の流出が自然と多くなる。若くて魅力的な選手が非常に多かったことの証明と言えるが今オフの徳島は大変なオフになる可能性が高い。
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