■ 苦しい戦いが続くガンバ大阪U-2323歳以下のチームで構成されるガンバ大阪U-23はJ3に参戦して1年目となる2016年は10勝12敗8分けで9位。21試合で10ゴールを挙げたMF堂安、11試合で7ゴールを挙げたFW呉屋などの活躍によって中位グループで初年度のシーズンを終えることになった。10位のFC東京U-23、12位のC大阪U-23を上回ってU-23の3チームの中では最高の成績を残したが、一転して今シーズンは苦しい戦いを強いられている。
25節を終えた時点で5勝18敗1分で勝ち点「16」。24試合で16得点/50失点と散々な成績となる。8勝11敗4分けで勝ち点「28」のFC東京U-23(11位)、4勝10敗8分けで勝ち点「20」のC大阪U-23(15位)よりも悪い成績になっている。U-23の3チームの得失点差に注目するとFC東京U-23は「-12」、C大阪U-23は「-8」であるのに対してG大阪U-23は「-34」。総得点も総失点も共にJ3の中でワーストとなる。
G大阪U-23を率いるのは元日本代表のキャプテンで2002年と2006年のW杯に出場している宮本恒靖監督になる。就任1年目で指導者になってから本格的にチームを任されるのは初めてとなるので注目度は非常に高かったが「出鼻をくじかれた。」と言うしかない。トルシエJAPANのときに3バックの中央のポジション争いをした森岡監督が率いるガイナーレ鳥取と下位を争う形になっているのは興味深いところである。
■ 考慮すべき点はある。結果を残すことができていないので宮本監督に対する風当たりも強くなってきた。G大阪のサポーターに限らず、FC東京のサポーターも、C大阪のサポーターも「U-23に関しては結果よりも育成が大事」ということは理解していると思うが、やはり、お金を払って試合を見に行く以上、勝利を願うのは当たり前の心境である。今シーズンのG大阪U-23は大量失点で敗れる試合が多くなっているので印象は良くない。
2016年が9位、2017年がここまで17位。宮本監督の指導力不足を指摘する声が挙がるようになってきたが、大前提としてG大阪U-23が置かれている状況が昨シーズンと比べて大きく異なる点は留意すべきである。昨シーズンはMF堂安、MF高木彰、MF市丸、DF初瀬といった5月のU-17W杯の本大会に出場したU-20日本代表組がG大阪U-23を主戦場として戦ったが、今シーズンはトップチームの活動に専念している。
代わってユース所属の選手が多くG大阪U-23の試合で起用されている。高校生のMF芝本、DF足立、MF岩本翔、MF河井、FW白井などが積極的に抜擢されているが、高校生の割合が高くなると戦力はガクッと落ちる。加入1年目となるMF食野、MF高江、MF高宇洋、DFペ・スヨンなどがG大阪U-23の主力を担っているが、チームを引っ張って勝利に貢献する大活躍を期待するのはまだまだ難しいレベルである。
■ 監督やコーチ向きではないのか・・・。このあたりの年代の選手の「1才差」や「2才差」というのは相当に大きい。その上、今シーズンのG大阪はトップチームにケガ人が続出しているのでG大阪U-23で目立った活躍を見せた選手がトップチームの練習に参加するケースも珍しくない。トップチームの状態にも大きく左右される難しい環境になっているので、今シーズンの成績不振の原因を「宮本監督の指導力不足にある。」と結論付けるのは早計である。
気の毒に思う部分は多いが、一方でMF堂安やMF高木彰やMF市丸やDF初瀬などU-20日本代表の選手を使えないとしても、それでもなお、ユースを含めたG大阪の若手には結構なタレントがいる。DF野田裕やFW一美もU-20日本代表の候補であり、昨オフに加入したMF中原彰とMF森勇人とFW郡大夢の3人については明らかに(トップチームのための補強ではなくて)G大阪U-23を強化するための補強である。
名前から「メッシ」に例えられることもある19才のMF食野はドリブラーとして相当なポテンシャルを秘めており、相手が1人だけであれば簡単にかわしてゴール前に突進することができる。東福岡高出身のMF高江、市立船橋高出身のMF高宇洋なども面白いプレーのできる選手なので(いろいろと難しい環境になっているが)「ここまで勝てないのは指導者としていかがなものか?」と思わずにはいられない。
宮本監督というと現役時代はG大阪でも日本代表でもリーダーシップを発揮してきた選手である。チームをまとめるのが得意な選手だったが「監督に必要とされるリーダーシップ」と「選手(キャプテン)に必要とされるリーダーシップ」は同じように思えるが同じではない部分も多い。監督という立場になると時には「非情さ・冷徹さ」が必要になってくるが、スマートな宮本監督にはこの点が欠けているような気はする。
当然、プレーヤーとしてこれほどのキャリアを持った人物なので監督やコーチといった指導者として大成することも期待される。現役時代さながらのクレバーさをチーム作りの部分で発揮できると面白くなるが、これまでの言動を振り返ってみると監督やコーチとして手腕を発揮するよりも日本サッカー協会やJリーグのトップ(会長やチェアマン)のような組織をまとめ上げる仕事の方が向いているように感じるが・・・。
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