■ ラストパスの本数の1位はDF駒野(福岡)J2の33節を終えた時点での「ラストパスの本数のベスト30」を書き出すと表1のようになる。33節の愛媛FC vs 京都は台風の影響で延期になったので愛媛FCと京都は他クラブと比較して1試合だけ消化が少なくなるが元日本代表のDF駒野(福岡)で86本で最多。2位はDF石櫃(京都)とMF小塚(山口)で76本となる。山口は21位と低迷しており、J3降格の危機に陥っているが2列目で起用されているMF小塚は孤軍奮闘している。
4位はFW清武功(千葉)で61本、5位はFWウェリントン(福岡)で59本、6位はMF秋野(湘南)で56本と続いていくが、ベスト10に入った選手の中ではFWウェリントンはかなり異質である。他の9人はパサー系あるいはアタッカー系になるが、FWウェリントンはターゲット系の選手である。空中戦においては無類の強さを発揮する典型的なCFであるが、空中戦で勝利して味方のシュートチャンスにつなげる場面は多い。
パサー系の選手を評価するときの分かりやすい数字というとやはりアシスト数である。Jリーグでは「アシストが付くのか?否か?は主観に左右されるので揉めやすい。」という理由から公式にアシスト数は発表されいていないがアシストの場合はどんなにいいパスを出したとしてもフィニッシャーがシュートを決めてくれないとアシストにはならない。ラストパスの本数の方がパサー系の選手の能力を判断しやすい。
表1. ラストパスの本数のベスト30 (33節を終えた時点)
順位 | 名前 | 所属 | 出場試合数 | 出場時間(分) | ラストパス(本) |
1 | 駒野友一 | アビスパ福岡 | 30 | 2,802 | 86 |
2 | 石櫃洋祐 | 京都サンガ | 31 | 2,969 | 76 |
2 | 小塚和季 | レノファ山口 | 31 | 2,594 | 76 |
4 | 清武功暉 | ジェフ千葉 | 31 | 2,506 | 61 |
5 | ウェリントン | アビスパ福岡 | 29 | 2,773 | 59 |
6 | 秋野央樹 | 湘南ベルマーレ | 29 | 2,536 | 56 |
7 | シシーニョ | FC岐阜 | 32 | 2,885 | 55 |
7 | 島田譲 | V・ファーレン長崎 | 30 | 2,747 | 55 |
9 | 岩尾憲 | 徳島ヴォルティス | 32 | 3,082 | 52 |
10 | 町田也真人 | ジェフ千葉 | 28 | 2,358 | 51 |
11 | 山田直輝 | 湘南ベルマーレ | 30 | 2,330 | 50 |
11 | 杉浦恭平 | ツエーゲン金沢 | 31 | 2,392 | 50 |
11 | 工藤浩平 | 松本山雅 | 32 | 2,571 | 50 |
14 | 石津大介 | アビスパ福岡 | 29 | 1,655 | 49 |
14 | 後藤優介 | 大分トリニータ | 32 | 3,037 | 49 |
16 | 福村貴幸 | FC岐阜 | 32 | 3,081 | 48 |
17 | 橋本晃司 | 水戸ホーリーホック | 29 | 2,100 | 46 |
18 | 鈴木惇 | 大分トリニータ | 31 | 2,915 | 44 |
18 | 渡邉大剛 | カマタマーレ讃岐 | 33 | 2,923 | 44 |
20 | 庄司悦大 | FC岐阜 | 32 | 3,076 | 43 |
20 | 安在和樹 | 東京ヴェルディ | 30 | 2,706 | 43 |
20 | 島屋八徳 | 徳島ヴォルティス | 24 | 2,014 | 43 |
20 | パク・ヒョンジン | ファジアーノ岡山 | 27 | 2,545 | 43 |
20 | イバ | 横浜FC | 33 | 3,052 | 43 |
20 | 宮阪政樹 | 松本山雅 | 22 | 1,867 | 43 |
26 | 馬渡和彰 | 徳島ヴォルティス | 31 | 2,903 | 42 |
26 | 中里崇宏 | 横浜FC | 32 | 3,077 | 42 |
28 | 船山貴之 | ジェフ千葉 | 30 | 1,993 | 41 |
28 | 高木善朗 | 東京ヴェルディ | 31 | 1,973 | 41 |
28 | 安西幸輝 | 東京ヴェルディ | 31 | 2,555 | 41 |
28 | 山崎凌吾 | 徳島ヴォルティス | 27 | 2,134 | 41 |
28 | 渡大生 | 徳島ヴォルティス | 33 | 2,883 | 41 |
28 | 佐藤謙介 | 横浜FC | 31 | 2,963 | 41 |
■ MFレアンドロ・ドミンゲスを抑えて1位になったのは・・・。表2は「90分あたりのラストパスの本数のベスト30」を示している。J2の試合で360分以上プレーしている選手に限るが、事前の予想では今夏に加入して名古屋の5連勝に大きく貢献した新外国人のMFガブリエル・シャビエルが他を圧倒する異次元の数字を叩き出すかと思っていたがMFガブリエル・シャビエルは2.771本/90分でJ2全体で3番目。J2屈指の数字を残しているが図抜けた数字を残しているわけではなかった。
MFガブリエル・シャビエルを抑えて2位になったのは同じく今夏に横浜FCに加入したMFレアンドロ・ドミンゲスで3.168本/90分となる。柏時代は2011年にJリーグのMVPに選出されるなど大黒柱として躍動したが名古屋時代は怪我が多くて全く力を出せなかった。不本意な形で名古屋を去ることになったが新天地の横浜FCでは柏時代に近い輝きを放っている。5位に付ける横浜FCにとっては大きな補強になったようだ。
同じように夏に加入したMFガブリエル・シャビエルの数字をMFレアンドロ・ドミンゲスが大きく上回ったことも結構な驚きだったが、やはり、この2人の数字をプロ2年目で20歳のMF平戸(町田)が上回ったのは大きな驚きと言える。ここまで17試合に出場しているがスタメンでプレーしたのは6回だけ。途中出場で11試合に出場しており、ここ最近はジョーカー役として点が欲しいところで投入されるケースが増えている
■ 正確な右足が最大の武器となる。トータルでの出場時間は823分なので十分なプレー時間を得ているわけではないがプロ1年目の2016年は鹿島で出場機会が無かったことを考えると大きな前進である。昨オフに町田から鹿島に期限付き移籍したが新天地でいい経験を積むことが出来ているのは間違いないところである。17試合で2ゴール6アシスト。出場機会が限られる中、文句なしの結果を残している。6アシストというのはチーム最多となる。
鹿島ユース出身のMF平戸は右足のキックの精度が非常に高い選手である。鹿島ユースの頃から優秀なプレイスキッカーとして評判だったが町田でもプレイスキッカーを任されている。町田というと高さのある選手が多くてセットプレーからゴールを奪う機会の非常に多いチームであるがMF平戸が投入されるとセットプレーの威力はさらに増す。徐々にスタメンの回数も増えてきたので相馬監督からの評価も高まっている。
本来はボランチの選手であるが、町田ではキックの精度など攻撃的な良さを生かすために左右のサイドハーフで起用されるケースが多くなっている。プレーヤーとしての幅を広げつつあるが、才能を高く評価されている選手であっても早い段階から鹿島のトップチームで出場機会を得るのはやはり相当に難しい。相馬監督というと鹿島OBになるが町田への期限付き移籍を選択したのは大成功だったと言える。
飛躍のシーズンになったMF平戸が鹿島に復帰するのか、町田にとどまるのか、別のチームでプレーするのか、オフの選択が注目されるが、1997年生まれなので五輪代表というのも現実的な目標になってくる。これまで年代別の日本代表に呼ばれた経験はなかったと思うが、J2でやれるところを示しており、右足のキックという明確な武器を持っている選手なので中盤の候補の1人に名前が挙がるのは間違いない。
表2. 90分あたりのラストパスの本数のベスト30 (33節を終えた時点)
順位 | 名前 | 所属 | 出場試合数 | 先発出場 | 出場時間(分) | ラストパス(本) | ラストパス/90分 |
1 | 平戸太貴 | 町田ゼルビア | 17 | 6 | 823 | 32 | 3.499 |
2 | レアンドロ・ドミンゲス | 横浜FC | 10 | 10 | 909 | 32 | 3.168 |
3 | ガブリエル・シャビエル | 名古屋グランパス | 10 | 10 | 942 | 29 | 2.771 |
4 | 駒野友一 | アビスパ福岡 | 30 | 30 | 2,802 | 86 | 2.762 |
5 | 石津大介 | アビスパ福岡 | 29 | 14 | 1,655 | 49 | 2.665 |
6 | 小塚和季 | レノファ山口 | 31 | 27 | 2,594 | 76 | 2.637 |
7 | 石毛秀樹 | ファジアーノ岡山 | 23 | 14 | 1,349 | 36 | 2.402 |
8 | 福田健介 | V・ファーレン長崎 | 7 | 5 | 427 | 11 | 2.319 |
9 | 石櫃洋祐 | 京都サンガ | 31 | 31 | 2,969 | 76 | 2.304 |
10 | 金子昌広 | ツエーゲン金沢 | 20 | 2 | 480 | 12 | 2.250 |
11 | エスクデロ競飛王 | 京都サンガ | 19 | 17 | 1,503 | 37 | 2.216 |
12 | 吉濱遼平 | 町田ゼルビア | 19 | 4 | 693 | 17 | 2.208 |
13 | 清武功暉 | ジェフ千葉 | 31 | 27 | 2,506 | 61 | 2.191 |
14 | 宮阪政樹 | 松本山雅 | 22 | 19 | 1,867 | 43 | 2.073 |
15 | フェリペ・ガルシア | 名古屋グランパス | 19 | 2 | 617 | 14 | 2.042 |
16 | 秋野央樹 | 湘南ベルマーレ | 29 | 27 | 2,536 | 56 | 1.987 |
17 | 橋本晃司 | 水戸ホーリーホック | 29 | 26 | 2,100 | 46 | 1.971 |
18 | 風間宏矢 | FC岐阜 | 19 | 15 | 1,372 | 30 | 1.968 |
19 | 町田也真人 | ジェフ千葉 | 28 | 24 | 2,358 | 51 | 1.947 |
20 | 山田直輝 | 湘南ベルマーレ | 30 | 29 | 2,330 | 50 | 1.931 |
21 | 島屋八徳 | 徳島ヴォルティス | 24 | 21 | 2,014 | 43 | 1.922 |
22 | ウェリントン | アビスパ福岡 | 29 | 29 | 2,773 | 59 | 1.915 |
23 | 杉浦恭平 | ツエーゲン金沢 | 31 | 27 | 2,392 | 50 | 1.881 |
24 | 高木善朗 | 東京ヴェルディ | 31 | 21 | 1,973 | 41 | 1.870 |
25 | 梶川諒太 | 東京ヴェルディ | 32 | 16 | 1,685 | 35 | 1.869 |
26 | 船山貴之 | ジェフ千葉 | 30 | 24 | 1,993 | 41 | 1.851 |
27 | 下川陽太 | 松本山雅 | 8 | 7 | 696 | 14 | 1.810 |
28 | 島田譲 | V・ファーレン長崎 | 30 | 30 | 2,747 | 55 | 1.802 |
29 | 神田夢実 | 愛媛FC | 14 | 10 | 754 | 15 | 1.790 |
30 | 工藤浩平 | 松本山雅 | 32 | 28 | 2,571 | 50 | 1.750 |
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2017/09/20 クラブ別エントリー(町田ゼルビア)
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