■ Jリーグデビュー戦で2ゴールを挙げたが・・・。ヴィッセル神戸に加入した元ドイツ代表のFWポドルスキはJリーグでのデビュー戦となった19節の大宮戦(H)で2ゴールを挙げる活躍を見せた。降格圏に位置する大宮に主導権を握られる苦しい流れになったが後半4分に得意の左足で先制ゴールを奪うと、1対1の同点に追いつかれた後の後半17分にはクロスからヘディングで勝ち越しゴールをゲット。3対1の勝利に大きく貢献して千両役者ぶりを発揮した。
初戦の大宮戦(H)は期待通りか、それ以上の活躍を見せたが、20節の柏戦(A)、21節の鹿島戦(H)、22節のFC東京戦(A)はいずれもあまり見せ場を作ることは出来ず。チームも敗れて3連敗となった。FWポドルスキが加入した神戸は後半戦の台風の目になることが期待されていたがここまでの4試合は1勝3敗と低調。優勝争い・上位争いからは取り残されており、どちらかというと降格ゾーンが気になるポジションにいる。
FWポドルスキはここまでの4試合で2ゴール。成績的にはなかなかであるが、とにかく期待値の高かった選手である。Jリーグ史上最高とも言われる年俸を受け取っている選手なので、当然のことながら、周囲の要求レベルは高くなる。チームとしての結果が出ていないこともあってFWポドルスキに対する批判の声も出始めている。歓迎ムード一色だった時期とは明らかに風向きが変わってきているのは間違いない。
■ FWポドルスキ中心のチームにはできない。前のエントリーで記述したとおり、ボールの無い所での動きの量の少なさは気になるところである。90分あたりの走行距離は4試合連続で8キロ台。90分あたりのスプリント回数も4試合連続で10回以下。どちらの数字もフィールドプレーヤーとしては最低レベルになる。もちろん、ドイツ代表として活躍していた頃から運動量やスプリント回数の多さをウリとする選手ではなかったがあまりにも寂しい数字である。
突出した左足を持っており、かつ、ラストパスを出すこともできる選手なので、「FWポドルスキ+10人」という割り切った戦いを選択することもできるが、今シーズンの神戸は何だかんだでタレントは豊富。献身的なプレーができるMF三原雅やMF田中英のような選手もいるが、FWポドルスキとの共存が期待されるFW渡邉千やFWハーフナー・マイクといった選手たちは運動量や献身性をウリとする選手ではない。
結局、FWポドルスキの能力を最大限に生かすためのやり方は他にもあるが、そういうやり方ではJ1の上位を目指すのは難しい。好まれない方法だと思うで、何とかしてネルシーニョ監督は「個の力」を持った選手たちが共存できるやり方を見つけなければいけないがなかなか難しい。オフの大型補強に成功して開幕前は「優勝候補」に挙げられながら9勝11敗2分けの神戸は残念ながら期待ハズレのシーズンになっている。
表1. FWポドルスキの走行距離 (19節~22節まで)
節 | 対戦相手 | H/A | 出場時間(分) | 走行距離(キロ) | スプリント回数 |
(キロ) | 90分換算 | (回) | 90分換算 |
19節 | 大宮アルディージャ | H | 90 | 8.619 | 8.62 | 10 | 10.00 |
20節 | 柏レイソル | A | 90 | 8.742 | 8.74 | 8 | 8.00 |
21節 | 鹿島アントラーズ | H | 76 | 7.126 | 8.44 | 5 | 5.92 |
22節 | FC東京 | A | 90 | 8.795 | 8.80 | 8 | 8.00 |
■ 周りの選手のレベルの問題ではない。ネルシーニョ監督のクビも危うくなってきたが、「周りの選手のレベルが低いのでFWポドルスキの良さが発揮されていない。」という意見には賛同できない。2014年にC大阪に加入したFWフォルランがなかなか活躍できなかった時期も「周りの選手のレベルが低いのでFWフォルランの良さが発揮されていない。」と言われることが多かったが、「周りの選手のレベル」は彼らが活躍できない理由とは言えない。
もちろん、FWポドルスキもFWフォルランもドリブルで局面を打開して自ら決定機を生み出すタイプではない。パサー役になれる選手が必要になってくるが、今のFWポドルスキにしても、2014年のFWフォルランにしても、あれだけ動きの量が少なかったら味方に素晴らしく優秀なパサーがいても無理である。「思うような活躍できないのは周りの選手の責任ではなくて自身に問題がある。」というのが適切である。
当然、攻撃的なポジションの選手と言ってもいろいろなタイプがいる。1人で決定機を生み出すことができるドリブラーのMF齋藤学(横浜FM)のような選手と比べるとFWポドルスキもFWフォルランも周りの選手の質やパフォーマンスに左右されやすいタイプの選手である。これは確なことであるが、それでも絶対的な存在感があってボールはたくさん集まって来る状況。自らの力でどうにでもできる環境である。
加入2年目のFWフォルランは意欲的なプレーを見せてJ2で16試合で10ゴール。ゴールを量産したが彼らクラスに対して「周りのレベルが低いので活躍できていない。」、「活躍できないのも仕方がない。」というのはむしろ失礼である。「年金リーグ」と揶揄されていた頃のJリーグとは状況は全く異なる。FWポドルスキが活躍できるか?否か?は周りの選手のレベルではなくて本人のモチベーションにかかっている。
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