■ サプライズ招集となったMF加藤恒(PFCベロエ・スタラ・ザゴラ)6月7日(水)に行われる親善試合のシリア戦(H)と6月13日(火)に行われるロシアW杯のアジア最終予選のイラク戦(A)に挑む日本代表メンバー25名が発表された。ブルガリアでプレーするMF加藤恒(スタラ・ザゴラ)が日本代表に初めて選出されたのが最大のトピックスと言える。ハリルホジッチ監督はMF加藤恒については「ボールを奪う人」、「しっかりと組み立てをすることも出来る。」と高く評価している。
日本代表のレギュラー格の選手であるGK西川(浦和)とDF森重(FC東京)とMF清武(C大阪)の3人が漏れたのは驚きだったが、3月末の試合でUAEとタイに勝利してW杯の本大会出場が見えてきたのでハリルホジッチ監督も精神的な余裕が出てきたのでは?と推測する。3人ともJリーグでどうしようもないほどの低調な出来というわけではない。「このタイミングで刺激を与えたい。」という考えなのでは?と思われる。
今回、メンバーに選ばれなかったことでGK西川とDF森重とMF清武の3人はこれまで以上に高いモチベーションでJリーグの試合に臨むことになるだろうし、引き続いて選出された他の常連組にも大きな刺激になるだろう。次の次のイラク戦(A)が大事な試合であることは言うまでもないがすでにイラクは脱落しかけている。イランのテヘランの開催になるのでアウェイ戦とは言っても実際には中立地での開催になる。
■ C大阪の快進撃の立役者の1人であるMF山村和也「本大会の切符をつかんだ後のことを考えて策を講じてきた。」と言えるが、GK中村航(柏)、DF宇賀神(浦和)、DF三浦弦(清水)、MF加藤恒(PFCベロエ・スタラ・ザゴラ)が選出されているので顔ぶれはかなりフレッシュである。会見の席でハリルホジッチ監督がコメントした通り、「誰にでもチャンスがある状態」であるが、個人的に代表入りを期待したいのはロンドン五輪代表だったMF山村和(C大阪)である。
関塚JAPANのときはボランチで起用されるケースがほとんど。鹿島ではCBの位置でプレーする機会が多かった。2016年にC大阪に移籍したが大熊監督の下、開幕からMFソウザとWボランチのレギュラーを任されたが、夏にMF山口蛍がチームに復帰するとサブに回る機会が多くなった。後半戦は出番が激減したがそれでもJ2で34試合に出場して6ゴール2アシスト。C大阪のJ1復帰に大きく貢献した。
今シーズンも引き続いてMF山口蛍とMFソウザのWボランチがファーストチョイスになっているので当初はバックアッパーだった。「ボランチの3番手」という立ち位置だったが、プレシーズンの頃から試して来たトップ下起用がハマりにハマった。3節の札幌戦(A)から「4-2-3-1」のトップ下でスタメン起用されているが、11試合に出場して4ゴール。12節を終えた時点で6勝2敗4分けと好調のC大阪の立役者になっている。
■ MF山村和(C大阪)を日本代表に召集したら・・・。186センチ/80キロという恵まれた体格で身体的な能力も高い。4ゴールのうち3ゴールは得意のヘディングでゴールを奪っているが、足元のテクニックもある。柔らかいボールタッチを駆使してスルスルとドリブルでボールを運ぶことも出来るし、相手CBを背負ったときのプレーも精度が高い。12試合で6ゴールを挙げているFW杉本健も187センチの長身。「FW杉本健とMF山村和のツインタワー」が輝きを放っている。
攻撃的なポジションでプレーしていた選手がCBやSBにコンバートされて新境地を開拓するケースは少なくない。2010年の南アフリカW杯にフォワードで出場しているDF矢野貴(新潟)が典型例に挙げられるが、守備的なポジションでプレーしていた選手が攻撃的なポジションにコンバートされて、かつ、新しいポジションで成功を収めるのは相当に珍しい。MF山村和という選手のポテンシャルの高さを示している。
長身の割には走力もあって90分あたりの走行距離は11.775キロ/90分でJ1で48位、90分あたりのSP回数は23.28回/90分で37位。流通経済大の学生だった2010年1月6日のイエメン戦で当時の岡田JAPANのメンバーに選出されて国際Aマッチのデビューを飾っているがフル代表でプレーしたのはこの1試合のみ。キャップ数は「1」のままで止まっているが、代表入りを期待する声は日増しに高まっている。
言うまでもなく、これだけサイズのあるトップ下というのは日本では珍しい。得点力の高さやボールを収める技術の高さは大きな武器になっているが、当然、高さ対策を含めた守備力アップを期待して後半途中にトップ下に投入することもできるし、パワープレー要因としてピッチに送り出すことも出来るし、本職であるボランチやCBのバックアッパーとしても期待できる。たくさんの役回りを1人でこなすことができる。
日本代表はこれまでは試合ごとに「現時点でのベスト」と思われる23人を選出して試合に挑んできたがW杯の本大会になると多芸な選手の価値は増す。186センチというサイズ、高い身体能力、空中戦の強さ、得点力の高さ、運動量の多さ、柔軟なテクニック、ボールを収める技術の高さ、ボランチやCBでもプレー可能なポリバレント性などなど多くの武器を持つMF山村和は日本代表の大きな武器になる可能性がある。
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