■ 影山雅永監督率いるU-19日本代表恒例のトゥーロン国際が開幕。昨年度の大会にはリオ五輪の本大会を間近に控えた手倉森JAPANが参加して1勝3敗に終わったが今年はU-19日本代表が参加した。1998年1月1日以降に生まれた選手が対象となる。2010年~2014年まで5シーズンに渡ってJ2のファジアーノ岡山を指揮した影山雅永監督が今年の1月にU-18日本代表の監督に就任したが、今回は1つ上の世代となるU-19日本代表を託された。
日本は「4-2-2-2」。GK大迫(広島ユース)。DF田中康(立命館大)、DF中川創(柏U-18)、DF立田(清水)、DF三国スティビアエブス(順天堂大)。MF住永(明治大)、MF伊藤洋(磐田U-18)、MF吉尾(横浜FM)、MF針谷(磐田)。FW安部裕(鹿島)、FW小松蓮(産業能率大)。冬の高校選手権で頂点に立った青森山田高の主力メンバーであるDF三国スティビアエブスとMF住永が揃ってスタメン出場。どちらも大学に進学した。
ベンチスタートになったのはGK沖(鹿島ユース)、DF麻田(京都)、DF橋岡(浦和ユース)、DF杉山弾(市立船橋高)、MF佐々木匠(仙台)、MF金子大(神奈川大)、MF田中陸(柏U-18)、MF黒川(大宮)、FW安藤瑞(長崎総合科学大附属高)の9名。ボランチのMF金子大は市立船橋高出身。DF杉岡(湘南)やMF原輝綺(新潟)と同学年となる。メンバー20名の内訳は1998年生まれが10人、1999年生まれが10人となる。
■ MF伊藤洋(磐田U-18)のゴールで先制したが・・・。試合は技術と連動性で優る日本が優勢。準備期間が少なくて急造チームであることを感じさせないほど流動的な攻撃を見せる。前半26分にはダイレクトでパスがつながって最後はMF吉尾のスルーパスを受けたFW安部裕がシュートを放ったがポスト直撃。日本は右SBのDF田中康と右SHのMF吉尾の連携から何度もチャンスを作ったがシュート精度を欠いて先制ゴールを奪うことは出来ず。前半は0対0で折り返す。
後半開始から両SBのポジションをそっくり入れ替えて、右SBがDF三国スティビアエブス、左SBがDF田中康という配置になる。後半はDF田中康のいる左サイドからの攻撃が主体となる。0対0で迎えた後半16分に相手のクリアボールを拾ったボランチのMF伊藤洋が得意の左足で無回転気味のシュートを決めてようやく日本が先制に成功する。その後もFW小松蓮などが決定機を迎えたが決めることはできない。
すると後半32分にロングボールから抜け出したMFバルデスに決められて1対1の同点に追いつかれる。終了間際にはゴール前の絶好の位置でFKを獲得するがMF針谷のシュートはキーパーが好セーブ。キューバのキーパーのGKディアスが好セーブを連発して勝ち越しゴールを奪うことはできなかった。試合は1対1のままで終了した。2戦目はアフリカのアンゴラ、3戦目は欧州のイングランドと対戦する。
■ 野球大国として知られるキューバだが・・・。キューバと言うと野球大国として知られている。また、(近年は低迷しているが)女子バレーの強豪国としても知られている。その一方でサッカーの印象は全くない。「キューバのサッカーに関する印象やイメージや情報はほぼゼロ」という人がほとんどだと思うが、近年はサッカーにも力を入れ始めているという。技術レベルは日本の方がはるかに高かったが身体的な能力が高くてサイズのある選手が多かった。
日本もキューバも共にU-19代表だったので条件的には同じだったが日本は「B代表」と言える。韓国で開催されているU-20W杯に出場しているMF堂安(G大阪)、DF冨安(福岡)、FW岩崎(京都)、DF舩木翔(C大阪)、GK波多野(FC東京)、DF杉岡(湘南)、MF原輝綺(新潟)などは1998年生まれなのでU-19日本代表の対象になるが日程がバッティングしているので当然のことながらトゥーロン国際には招集されていない。
また、1999年生まれの選手が主体となるU-18日本代表の主力であるFW田川(鳥栖)もU-20W杯のメンバーに選ばれているので不在。エースストライカーのFW中村駿(柏U-18)やレフティのMF藤本寛(東京Vユース)なども不在。年代別代表でプレーした経験がほぼ無い選手が少なくないので相当にフレッシュなメンバー構成になったが、先のとおり、急造チームとは思えないほどコンビネーションから崩す場面は多かった。
課題は決定力。キューバのキーパーが乗ってきて特に後半はビッグセーブで防がれる場面がたくさんあった。どの世代でも決定力は課題になるが特にこの試合は決定機に決められない場面が目立った。ドロー発進となったが「力の差を考えると勝たなければいけない試合だった。」と言える。3戦目の相手は強豪のイングランド。2連勝してイングランドと対戦したかった。決勝トーナメント進出が遠のくドローと言える。
■ 攻撃的なセンスが光るSBのDF田中康介(立命館大)「結果は不満足」と言えるが、出場機会を与えられた選手の多くが持ち味を発揮した。一番目立ったのはDF田中康(立命館大)だろう。前半は右SB、後半は左SBでプレーしたが、日本の攻撃は前半は右サイド、後半は左サイドが主体になった。結局、DF田中康のいるサイドから攻撃がスタートしてチャンスを演出する場面が多かった。攻守に精彩を欠いたDF三国スティビアエブスとは対照的な出来だったと言える。
DF田中康は京都の下部組織出身。「98ジャパン」でもプレーしており、年代別代表の経験は豊富。当時から高い将来性を感じさせるプレーを見せていたがSBながら攻撃的なセンスがあって組み立てに貢献できる。また、自らドリブルで仕掛けることもできる。攻守両面でアグレッシブにプレーできる点も大きな武器と言える。京都U-18から立命館大に進学したが大学に進んだのが勿体なく感じるほど輝きを放った。
前半はDF田中康と右サイドで縦の関係を築いたMF吉尾(横浜FM)も目立った。横浜FMユースからトップチームに昇格してプロ1年目。ルヴァン杯で結構な出場機会を得ているがキレのあるドリブルとセンスの良さを感じさせるパスで攻撃にアクセントを加えた。また、2シャドーの一角でプレーしたFW安部裕(鹿島)も好プレーを見せた。鹿島OBで現在はJ3の北九州でプレーするMF本山に例えられるケースが多い。
FW安部裕は高卒1年目ながら早くもJ1デビューを済ませるなど順調なプロ生活を送っている。「何をするのか分からない面白いさ」を持っている。技術が高くてアイディアが豊富でトリッキーなプレーができる。ただ、(MF吉尾にも同じことが言えるが)いいプレーを見せたのは間違いないがより大事なのは結果を残すことである。決定機には絡めているのでゴールやアシストといった分かりやすい形で貢献してほしい。
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