■ 5チーム以外で自動昇格争いに絡んでくる可能性があるのは?(
前編)で述べた通り、「ここまでの戦いぶり」と「クラブとしての総合力」と「これからの日程」を考えるとJ2の自動昇格争いは横浜FC・名古屋・湘南・福岡・松本山雅の5チームが中心になって進んでいくと考えられる。近年の最終成績を見ると自動昇格争いに参加するためには1試合平均で「2.00」程度の勝ち点が必要となるが、42節を6つの期間に分けて考えると各々の7試合を4勝1敗2分けで乗り切る必要がある。
これは大変な話である。昨シーズンのJ2の戦いを振り返ってみると秋あたりまでは札幌・清水・松本山雅・C大阪の4チームが自動昇格争いに絡んでいるが終盤戦に入ってC大阪が脱落。4位でプレーオフに回ることになった。最後まで自動昇格争いに加わるためには相当な頑張りが必要となるが、横浜FC・名古屋・湘南・福岡・松本山雅の5チーム以外で自動昇格争いに絡んでくる可能性があるのはどこだろうか?
最初に名前が浮かんだのは徳島である。ここまで6勝4敗2分けで勝ち点「20」。7位なのでプレーオフ圏外となるが首位の横浜FCとの差は「4」のみ。12試合で15得点/13失点なのでチャンスをたくさん作っている割にはゴール数が少ないが、スペイン出身のリカルド・ロドリゲス監督の下、非常に魅力的なサッカーを見せている。2013年はプレーオフを制してJ1昇格を果たしたが、十分に自動昇格を狙える戦力がある。
徳島にはいくつかの強みがあるが伸びしろの大きい若手が多い点がまず挙げられる。彼らはタフな試合をこなすことで短期間で身心ともにレベルアップすることができる。また、リカルド・ロドリゲス監督がMF前川やMF小西やGK梶川などJリーグでの実績がほとんど無かった若手を抜擢している関係で昨シーズンまでの主力選手が出番を失っているが、経験のある選手が控えている点もポジティブ要素に挙げられる。
怪我を抱えている選手も含まれると思うが、GK長谷川徹、MF木村祐、MF大崎淳、FW佐藤晃などが出場機会に飢えている状況である。若手の勢いが止まったときに彼らの経験が役に立つのではないか?と考えられる。また、鳴り物入りで加入したFWニコラ・アシチェリッチも5試合に途中出場したのみ。期待に応える働きが出来ていないが、チームを上のレベルに導くことができるキーパーソンだと考える。
■ 堅守が武器となる東京ヴェルディロティーナ監督が就任した東京Vも自動昇格争いに加わっても不思議はない状況である。ここまで7勝4敗1分けで勝ち点「22」。12試合で17得点/9失点と攻守のバランスが取れている。攻撃陣に関しては12試合で7ゴールを挙げているFWアラン・ピニェイロの勢いがどこまで継続されるのか?が注目点になる。このままのペースを維持できると20ゴールを超える計算になるが現時点ではやはり出来過ぎ感はある。
FWアラン・ピニェイロがこのままのペースでゴールを量産することは考えにくいので誰が代わりとなってゴールゲッターの仕事をするのか?守備に関してはチームとして相当な手ごたえをすでに掴んでいるので大きく崩れることはなさそうだ。攻撃陣がしっかりと結果を出すことが出来れば自動昇格の争いに加わり続けることが可能となる。高木兄弟やFWドウグラス・ヴィエイラあたりにかかる期待は非常に大きい。
12節を終えた時点で6位とプレーオフ圏の長崎はここまでは申し分ない成績である。長崎というと2013年と2015年にプレーオフに進んでいるので「典型的な隔年チーム」と言えるが、今シーズンは『良い番』である。2013年も2015年もいずれは落ちてくるだろうと思われていたが、結局、最後までペースはあまり落ちなかった。8試合で7ゴールを挙げているFWファンマという絶対的なエースを擁しているのは大きい。