■ ここまで2勝2敗3分けで13位アルゼンチン出身のフアン・エスナイデル監督が就任したジェフ千葉はここまで2勝2敗3分け。開幕3試合は2勝1分けと好スタートを切ったが4節から4試合勝ちなし中。3節が名古屋戦(H)、4節が松本山雅戦(A)、5節が湘南戦(A)、6節が京都戦(H)ということで上位候補との対戦が続いたことも大きく関係していると思うが最初の壁にぶち当たっている。全日程の1/6が消化した時点で13位と不本意な順位になっている。
開幕6連敗の群馬をフクダ電子アリーナに迎えた7節のホーム戦は絶対に勝たなければいけない試合だったが1対1の引き分けに終わった。前半の早い段階で大卒ルーキーのFW高井に超・ロングシュートを決められてあっさりと失点。後半に高卒ルーキーのMF高橋壱のプロ初ゴールが生まれて1対1の同点に追いついたが逆転ゴールを奪うことはできなかった。群馬は今シーズン初めて勝ち点を得ることが出来た。
ここまで1勝のみとなるのは18位の讃岐、19位の山口、20位の熊本、21位の京都の4チームで、22位で最下位の群馬だけがJ2の22クラブの中で未勝利となる。早く初勝利を手にして落ち着きたいところであるがとにもかくにも群馬は連敗を「6」で止めることが出来たのは良かった。今度は初勝利が目標となるが、ここまでに群馬が挙げた3ゴール全てをマークしているスーパールーキーのFW高井にかかる期待は大きい。
■ 1試合平均で7.4回の奪オフサイド4月8日(土)に行われた千葉 vs 群馬は非常に興味深い展開になった。最終のスタッツを見ると群馬がかかったオフサイド数は何と13回。これはこれまでに行われたJ2の試合(=7節×11試合)の中では最多の数字となる。逆に言うと千葉は13回も相手をオフサイドに引っ掛けたことになるが異常なほどの多さである。1トップの位置でプレーするFW高井などが積極的に裏に飛び出したが何度か掻い潜って決定機を作った。
7節終了時点でのJ2全体のオフサイド数(=奪オフサイド数)の1試合の平均値は2.2回。千葉を除くと1.9回となる。表1はJ2の22クラブの奪オフサイド数を示しているが千葉は7.4回。2位の町田は4.4回、3位の岡山は3.4回、4位の熊本は2.6回なので断トツの数字である。逆に最も少ないのは讃岐で0.7回。2位は大分で0.9回、3位は福岡で1.0回。このあたりのチームのライン設定はかなり低めであることは予想できる。
今さら言うまでもない話であるが近年のサッカー界はプレーを流す傾向が強いのでオフサイドだったケースでもプレーを止めずにそのまま流すケースが多い。結局、実際にオフサイドに引っ掛けた回数というのはこの数字よりもはるかに多いと考えられる。ここまで高いライン設定を行ってオフサイドを取りまくるチームは世界中を探してもなかなか見つからないのでは?と考えられる。極めて特殊である。
表1. 奪オフサイドの回数(平均値)
クラブ名 | 平均値 | 1節 | 2節 | 3節 | 4節 | 5節 | 6節 | 7節 |
ジェフ千葉 | 7.4 | 8 | 6 | 4 | 5 | 6 | 10 | 13 |
町田ゼルビア | 4.4 | 4 | 5 | 3 | 2 | 7 | 3 | 7 |
ファジアーノ岡山 | 3.4 | 5 | 4 | 5 | 4 | 4 | 2 | 0 |
ロアッソ熊本 | 2.6 | 1 | 3 | 1 | 3 | 4 | 3 | 3 |
湘南ベルマーレ | 2.4 | 1 | 3 | 1 | 1 | 5 | 3 | 3 |
V・ファーレン長崎 | 2.3 | 2 | 2 | 5 | 1 | 4 | 0 | 2 |
徳島ヴォルティス | 2.1 | 0 | 2 | 2 | 2 | 4 | 2 | 3 |
ザスパクサツ群馬 | 2.1 | 2 | 4 | 3 | 2 | 0 | 1 | 3 |
モンテディオ山形 | 2.1 | 2 | 1 | 3 | 3 | 1 | 3 | 2 |
名古屋グランパス | 2.1 | 1 | 3 | 2 | 2 | 3 | 2 | 2 |
東京ヴェルディ | 2.1 | 1 | 3 | 1 | 6 | 1 | 3 | 0 |
ツエーゲン金沢 | 2.0 | 3 | 3 | 1 | 3 | 2 | 1 | 1 |
愛媛FC | 1.9 | 2 | 4 | 0 | 0 | 2 | 3 | 2 |
京都サンガ | 1.9 | 3 | 1 | 2 | 0 | 3 | 2 | 2 |
水戸ホーリーホック | 1.9 | 3 | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 | 0 |
FC岐阜 | 1.3 | 2 | 0 | 0 | 2 | 2 | 3 | 0 |
松本山雅 | 1.1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 3 | 2 |
横浜FC | 1.1 | 1 | 2 | 1 | 0 | 2 | 2 | 0 |
レノファ山口 | 1.1 | 2 | 3 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 |
アビスパ福岡 | 1.0 | 2 | 2 | 0 | 1 | 0 | 1 | 1 |
大分トリニータ | 0.9 | 1 | 0 | 1 | 1 | 1 | 2 | 0 |
カマタマーレ讃岐 | 0.7 | 0 | 1 | 0 | 0 | 3 | 0 | 1 |
■ 対戦相手のパス成功率は55.7%でリーグ最低表1の千葉の奪オフサイドの回数は非常に興味深い数字となるが、今度の表2は「対戦相手のパス成功率と平均値」になる。J2全体の平均値は69.6%となるが千葉は55.7%でリーグ最低。最高値でも3節の名古屋戦(H)の66%なのでかなり低めの数字となる。7節の群馬戦(H)に至っては46%。この数字はここまでに行われたJ2の全試合(=77試合)の中で最も低い数字になる。とにかくこの日の群馬の攻撃はシンプルだった。
今シーズンの群馬の平均のパス成功率は68.0%でJ2の中では13番目。極端に数字が低くなった7節の千葉戦(A)を除くと71.7%でJ2の中では9番目。細かいパスをつなぐことは決して苦手なタイプのチームではないが千葉戦(A)は徹底して相手の高いラインの裏を突いてきた。結局、開始早々のFW高井の先制ゴールは前に出てきたGK佐藤優の頭上を越すループシュートだったが徹底したことが実を結んだと言える。
千葉の対戦相手のパス成功率の推移もなかなか興味深い。2節の山形戦(H)と3節の名古屋戦(H)は60%を越えたが、4節以降は全て55%以下。すでに千葉のやり方が広く知れ渡っており、余計なことはせずに「千葉用のサッカー」で挑んでくるチームがほとんどになった。6節で対戦した京都も同様に徹底して裏のスペースを突いてきたが京都のパス成功率は53%。シーズン平均が68.4%なので普段よりも15%ほど低かった。
千葉は4試合勝利なしと最初の壁にぶち当たっているがこのままのやり方でシーズンを乗り切れるとは考えにくい。キーパーならびに最終ラインの選手の負担は大きいが、さらに群馬戦(A)のようなあっさりとした失点が増えるとサポーターからの疑問の声は大きくなるだろう。基本的なやり方は変わらないと思うがうまくブラッシュアップできるのか?改善型あるいは発展型を示すことが出来るのかか?が焦点となる。
表2. 対戦相手のパス成功率について (7節終了時点)
順位 | クラブ名 | 平均 | 1節 | 2節 | 3節 | 4節 | 5節 | 6節 | 7節 |
1 | ジェフ千葉 | 55.7% | 53% | 64% | 66% | 55% | 53% | 53% | 46% |
2 | 町田ゼルビア | 60.3% | 68% | 54% | 53% | 56% | 54% | 79% | 58% |
3 | FC岐阜 | 61.7% | 61% | 75% | 58% | 55% | 72% | 60% | 51% |
4 | ザスパクサツ群馬 | 63.4% | 56% | 64% | 62% | 53% | 70% | 62% | 77% |
5 | ツエーゲン金沢 | 65.4% | 69% | 59% | 73% | 63% | 58% | 76% | 60% |
6 | 湘南ベルマーレ | 68.1% | 62% | 75% | 58% | 66% | 75% | 58% | 83% |
7 | アビスパ福岡 | 68.4% | 80% | 80% | 76% | 64% | 66% | 59% | 54% |
8 | 徳島ヴォルティス | 70.0% | 75% | 65% | 66% | 71% | 68% | 66% | 79% |
9 | V・ファーレン長崎 | 70.1% | 75% | 62% | 78% | 64% | 73% | 77% | 62% |
10 | 京都サンガ | 70.3% | 65% | 77% | 62% | 75% | 66% | 80% | 67% |
11 | ファジアーノ岡山 | 70.4% | 82% | 66% | 61% | 74% | 78% | 71% | 61% |
12 | 名古屋グランパス | 71.4% | 78% | 84% | 75% | 68% | 64% | 72% | 59% |
13 | 横浜FC | 71.6% | 68% | 70% | 70% | 87% | 76% | 63% | 67% |
14 | カマタマーレ讃岐 | 72.0% | 68% | 58% | 81% | 75% | 68% | 79% | 75% |
15 | モンテディオ山形 | 72.3% | 71% | 74% | 72% | 72% | 70% | 69% | 78% |
16 | ロアッソ熊本 | 72.6% | 68% | 67% | 73% | 65% | 80% | 80% | 75% |
17 | 愛媛FC | 72.7% | 68% | 70% | 70% | 76% | 66% | 87% | 72% |
18 | レノファ山口 | 74.0% | 85% | 68% | 71% | 75% | 72% | 68% | 79% |
19 | 水戸ホーリーホック | 74.3% | 73% | 67% | 82% | 83% | 75% | 71% | 69% |
20 | 松本山雅 | 74.6% | 60% | 66% | 88% | 78% | 76% | 76% | 78% |
21 | 東京ヴェルディ | 75.6% | 77% | 78% | 72% | 80% | 86% | 66% | 70% |
22 | 大分トリニータ | 75.9% | 77% | 78% | 84% | 76% | 70% | 74% | 72% |
関連エントリー
2017/04/05 「国内屈指のスピードを持つJリーガー」というと誰になるだろうか。
2017/04/05 「Jリーグ屈指のプレイスキッカー」というと誰になるだろうか。
2017/04/05 「ボール奪取力が高いJリーガー(ボランチ限定)」というと誰になるだろうか?
2017/04/06 「ポストプレーの上手なJリーガー」というと誰になるだろうか?
2017/04/06 「ファンタジスタと呼ぶことが出来るJリーガー」というと誰になるだろうか?
2017/04/07 「ビルドアップ能力の高いJリーガー(CB限定)」というと誰になるだろうか?
2017/04/08 「空中戦に強いJリーガー(フォワード限定)」というと誰になるだろうか?
2017/04/08 「ゴール前でのポジショニングに優れたJリーガー(フォワード限定)」というと誰になるだろうか?
2017/04/11 【Jリーグ】 「守備力の高いサイドバック」というと誰になるだろうか?
2017/04/12 【Jリーグ】 「クロスの精度が高いサイドバック」というと誰になるだろうか?
2017/04/14 J3+(アンテナ)・・・注目サイトの最新記事 (4つ)
- 関連記事
-