■ FC東京への復帰が決定的ちょうど1年前にエールディビジのフィテッセに完全移籍した日本代表のDF太田宏が古巣であるFC東京に復帰する可能性が高まった。2015年の末にフィテッセへの移籍が決まったとき「FC東京とは2017年末までの契約を残していた。」と報じられており、「フィテッセは満額の違約金を払っている。」とも報じられたので、当時、DF太田宏を獲得するためにフィテッセが結構な額の移籍金を払っているのは確実である。
改めて言うまでもない話ではあるが、契約期間が残っているときの移籍金の額は選手の能力や将来性が最も大きく関係してくるが、「選手の年齢」と「元クラブとの間に残っている契約期間」も大きく関係してくる。「フィテッセとの契約は2020年夏まで。4年半という異例の長期契約」と当時は報じられているので、今回、DF太田宏を呼び戻すためにFC東京も結構な額の移籍金を支払うことになる可能性が高い。
結局のところ、「FC東京との契約期間が2年残っている28歳のDF太田宏」と「フィテッセとの契約期間が3年半残っている29歳のDF太田宏」の比較になるので、普通に考えるとFC東京が1年前にフィテッセから受け取った額以上の移籍金を払ってDF太田宏を再獲得することになる可能性の方がやや高いが、もちろん、ケース・バイ・ケースである。移籍金の額がディスカウントされることも十分に考えられる。
■ FC東京にとって大きな戦力になるのは確実近日中に正式に発表される可能性が高まっているが、DF太田宏が戻ってくるのはFC東京にとっては大きい話である。昨オフに後釜候補として元日本代表のDF駒野を獲得したが怪我の影響もあってほとんどチームに貢献できず。夏以降はリオ五輪代表のDF室屋が右SBに入ってDF徳永が左SBでプレーすることが多かったが、DF徳永というとどちらかというと守備型のSBなので攻撃面での貢献度は限定的だった。
右SBの控えにはU-20日本代表候補のDF柳がいて、左SBの控えには手倉森JAPANにも召集されたレフティのDF小川諒がいることを考えると(他のほとんどのクラブと比較すると)左右のSBは質も量も充実しているがDF駒野とDF室屋の2人が同時期に離脱した2016年の序盤にSBのやり繰りで苦労したことを考えるとDF室屋とDF徳永とDF小川諒とDF柳の4人では(FC東京U-23のことも加味すると)心もとないとも言える。
移籍金が発生して、かつ、1年前に受け取った額以上のお金が必要になるとしても日本代表クラスの左SBであるDF太田宏を再獲得できるチャンスがあるのであればFC東京としては躊躇する必要は全くない。2016年の1stステージは主に若手のDF小川諒が左SBで起用されて結構な存在感を発揮していたが攻撃力のある左利きの左SBは本当に貴重である。DF小川諒にとっても身近に最高のお手本がいる環境というのは悪くない。
■ 現状ではJリーグの方がアピールしやすい。ストーブリーグの早い段階から「FC東京がDF太田宏の再獲得を狙っている。」という話は出ていたが、フィテッセでレギュラーを奪回しつつあった時期であり、かつ、いくつかのTV番組でオランダでの生活が充実していることや海外移籍の利点をアピールしていたことを考えると「Jリーグ復帰の可能性は低い。」と思っていた。なので極めて意外な選択と言えるが、悩んだ末の結論であれば尊重されるべきである。
決断の理由については、今後、いろいろなメディアで取り上げられると思うが、「日本代表に定着して2018年のロシアW杯に出場することを最優先に考えたときにエールディビジよりもJリーグの方がハリルホジッチ監督にアピールしやすい。」というのがJリーグ復帰を決めた最大の理由だと思う。古巣のFC東京が熱心に誘ったことも大きな理由だと考えられるが、独身なので家族のことが理由ではないはず。
南アフリカW杯以降、海外組の数が激増したのでストレートに言うと「DF太田宏クラスの選手だとエールディビジで活躍してもなかなか日本では大きく取り上げられない。」と言える。現状ではFW武藤嘉(マインツ)やFW浅野拓(シュツットガルト)やFWハーフナー・マイク(デンハーグ)やMF乾(エイバル)やFW久保裕(ヤングボーイズ)やFW南野(ザルツブルク)あたりでも日本のメディアでは大きくは取り上げられない。
結局、海外組の中で頻繁に情報が入って来るのはMF本田圭(ACミラン)、MF香川(ドルトムント)、DF長友(インテル)、MF原口(ヘルタ)、FW岡崎慎(レスター)、MF清武(セビージャ)、DF内田篤(シャルケ)くらい。MF長谷部(フランクフルト)やDF吉田(サウサンプトン)でさえ、地味な扱いになる。『海外組であれば大きく取り上げられる時代』ではなくなっており、Jリーグで活躍した方がはるかに大きなアピールになる。
■ 行ってみないと分からないことは多いはず。ナイーブな人が多い日本代表サポーターからはFC東京への復帰報道が出た瞬間からDF太田宏に対して批判の声が集まっているが、「何を優先して自分の所属クラブを決めるのか?」は本当に人それぞれであり、優秀な選手であればあるほど選択肢が広がっていくので難しい判断を迫られることになる。すでに記述した通り、悩んだ末にFC東京への復帰を決断したのであればその選択を最大限に尊重したいと思う。
ちなみに今シーズンのDF太田宏は17節が終了した時点でスタメン出場が7試合、途中出場が3試合。13節以降は5試合連続でスタメンフル出場中なので(序盤にスタメンから外れる試合が続いた時期もあったが)ようやく監督やスタッフに実力を認められていい流れになって来たと思われていたので「なぜ、このタイミングなのか?」という気持ちもあるが、やはり、表には出てこない問題もいくつか抱えているだろう。
最近で言うと2016年の夏にハノーファー96からC大阪への復帰を決断したときのMF山口蛍も大きな批判を浴びたが、行ってみないと分からないことはたくさんある。また、MF名波(元磐田)やMF小笠原(鹿島)などの例を思い出すと分かる通り、仮に半年や1年程度の短期間であったとしても得られるものは多い。引き続きJリーグでプレーしていた時に得られたもの以上のものを同期間の海外生活で得られてる可能性は高い。
もちろん、海外でプレーする日本人選手には「欧州の4大リーグやCLなどで活躍して日本サッカー界ならびに日本人選手の価値を高める。」という役割も担っている。日本代表の顔となるような選手、少し前のMF本田圭(ACミラン)、MF香川(ドルトムント)、DF長友(インテル)あたりは海外でプレーし続ける必要があると思うがそれ以外の選手はそこまでの使命は与えられていない。いろいろな選択肢があって良い。
『欧州リーグで成功するまでは絶対にJリーグに戻ってこない。』と強い覚悟を持って欧州に旅立っていくことは決して悪いことではないが、個人的には日本サッカー界は「欧州のクラブに移籍すること」と「欧州のクラブから日本に戻ってくること」を重く考えすぎているのでは?と思う。『気軽に』というと語弊があるかもしれないが、海外クラブも1つの選択肢と考えてもっと自由に行き来できても良いのでは?と思う。
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