■ J1の90分あたりのドリブル数のランキング鹿島アントラーズがクラブW杯で快進撃を続けているが、Jリーグの2016年シーズンの公式戦はすべて終了しており、すでにストーブリーグに突入しているが、連日のように選手の移籍の噂や移籍確定のニュースが聞こえてくる時期に入っている。例年通りのペースであれば1月8日あたりまでは移籍に関するニュースが途切れることはないので「Jリーグのストーブリーグは中盤戦に突入したばかりである。」と言える。
12月の中旬になって2016年もあとわずか。今シーズンをじっくりと振り返らなければいけない時期になって来たが、12月14日(水)にサッカーダイジェストとエル・ゴラッソの2つから2016年のJリーグの総集編(イヤーブック)が発売になった。定価は前者が1,300円で、後者は1,200円となっているが、前者はJ1とJ2のみならずJ3にも言及している。J3のクラブのサポーターは前者を選ぶのがベターと言えるだろう。
当日に両方を購入したが内容は盛りだくさんである。特に2016年シーズンに選手やクラブが残した数字(=スタッツ)はかなり興味深いものがある。個人スタッツを見比べているだけでもかなりの暇つぶしになるが、この中からドリブルに関する数字を拝借して「J1の90分あたりのドリブル数のランキング」を出してみた。ランキングの対象となるのは「ドリブル数:15回以上の選手」で、該当する選手は154名だった。
■ J1で1位になったのはMF伊藤優(新潟)J2編の上位は1位がMFキム・キョンジュン(徳島)、2位がMF安藤由(山口)、3位がMF吉濱(群馬)、4位がMF村田和(清水)、5位がMF白井康(愛媛FC)だったが、J1編で1位になったのはMF伊藤優(新潟)で13.770回/90分となった。2位のMF森晃太(甲府)が8.045回/90分であることを考えると1人だけ飛び抜けた数値である。キレのあるドリブルをウリとするレフティのMF伊藤優の打開力はJ1でもトップレベルと言える。
→ 【J2】 90分あたりのドリブル数が多かったJリーガーは誰か? (1位から50位まで) (2016年版)2位はMF森晃太(甲府)だったが、高卒1年目であることを考えると物凄いことである。全て途中出場で流れを変える役割を担ったが初ゴールは生まれず。J1初ゴールとU-20W杯のメンバー入りの2つが2017年の大きな目標となる。3位はJリーグを代表するサイドアタッカーのMFミキッチ(広島)。今年の1月で36歳になったので大ベテランの域に入っているがまだまだ元気いっぱい。プレー自体は非常に若々しい。
4位はMF駒井(浦和)で、5位はFWネイサン・バーンズ(FC東京)となった。シーズンの終盤になって出場機会が増えたMF駒井は昨オフに京都から浦和に移籍を果たしたが初年度から存在感を発揮した。MF伊藤優(新潟)とは京都サンガのユース時代のチームメイトで同学年となる。大木監督時代にほぼ同じタイミングでトップチームの試合に起用されるようになったが、2人のドリブラーはいいライバル関係にある。
■ クラブ別で最多となるのは柏レイソル6位は夏の移籍でチームを去ったMFカイオ(元・鹿島)で、7位はMF齋藤学(横浜FM)、8位はFWハモン・ロペス(仙台)、9位はMFマルティノス(横浜FM)、10位はFWドゥドゥ(甲府)となった。このあたりは強烈な「個の力」を持った選手が続いていく。日本代表に復帰したMF齋藤学の202回というのが個人別の最多となる。回数の2位だったMFミキッチ(広島)は177回。2位以下とはかなり大きな差があることが分かる。
11位はMF中野嘉(川崎F)、12位はMF泉澤(大宮)、13位はMFクリスティアーノ(甲府時代)、14位はMFマテウス(大宮)、15位はMF中島翔(FC東京)となった。この辺りにランクインする選手も「ドリブラー」のイメージが非常に強い選手である。MFクリスティアーノは夏に甲府から柏に移籍したが、甲府時代は5.745回/90分で13位、柏時代は4.367回/90分で26位。ドリブルに関しては甲府時代の方が数字は上となる。
以下、16位はMF伊東純(柏)、17位がMF三好(川崎F)、18位がMF柏(広島)、19位がFWウイルソン(仙台)、20位がMF関根貴(浦和)となる。FWウイルソンは2012年が3.74回/90分、2013年が3.54回/90分、2014年が4.64回/90分、2015年が5.48回/90分、2016年が4.90回/90分。仕掛ける能力が非常に高い選手である。甲府への移籍が確定しているが、「彼がどのくらいやれるのか?」は甲府にとって重要である。
表1は1位から50位までを書き出している。クラブ別では柏が6名で最多、続くのは新潟で5名、FC東京・甲府・広島・横浜FMが4名で、浦和・大宮・鹿島・G大阪・神戸が各3名で、川崎Fが2名で、磐田・仙台・鳥栖・名古屋は1名だけ。湘南と福岡の2チームはゼロだった。J2に降格した名古屋が1名で、湘南と福岡はゼロだったというのは興味深いところである。個で仕掛けられる選手の重要性はますます高まっている。
表1. 90分あたりのドリブル数のベスト50 (条件:ドリブル回数が15回以上)
順位 | 名前 | 所属 | 試合数 | 出場時間(分) | ドリブル | ドリブル/90分 |
1 | 伊藤 優汰 | 新潟 | 18 | 366 | 56 | 13.770 |
2 | 森 晃太 | 甲府 | 14 | 358 | 32 | 8.045 |
3 | ミキッチ | 広島 | 27 | 2,033 | 177 | 7.836 |
4 | 駒井 善成 | 浦和 | 23 | 1,144 | 97 | 7.631 |
5 | ネイサン バーンズ | FC東京 | 16 | 818 | 64 | 7.042 |
6 | カイオ | 鹿島 | 16 | 1,123 | 87 | 6.972 |
7 | 齋藤 学 | 横浜FM | 33 | 2,844 | 202 | 6.392 |
8 | ハモン ロペス | 仙台 | 32 | 2,418 | 164 | 6.104 |
9 | マルティノス | 横浜FM | 24 | 1,691 | 114 | 6.067 |
10 | ドゥドゥ | 甲府 | 11 | 897 | 60 | 6.020 |
11 | 中野 嘉大 | 川崎F | 15 | 315 | 21 | 6.000 |
12 | 泉澤 仁 | 大宮 | 30 | 2,022 | 132 | 5.875 |
13 | クリスティアーノ | 甲府 | 17 | 1,504 | 96 | 5.745 |
14 | マテウス | 大宮 | 22 | 676 | 43 | 5.725 |
15 | 中島 翔哉 | FC東京 | 12 | 765 | 48 | 5.647 |
16 | 伊東 純也 | 柏 | 33 | 2,676 | 159 | 5.348 |
17 | 三好 康児 | 川崎F | 15 | 468 | 27 | 5.192 |
18 | 柏 好文 | 広島 | 34 | 2,860 | 162 | 5.098 |
19 | ウイルソン | 仙台 | 23 | 1,469 | 80 | 4.901 |
20 | 関根 貴大 | 浦和 | 32 | 2,465 | 134 | 4.892 |
21 | 清水 慎太郎 | 大宮 | 10 | 371 | 20 | 4.852 |
22 | 阿部 拓馬 | FC東京 | 11 | 925 | 46 | 4.476 |
23 | ペドロ ジュニオール | 神戸 | 29 | 2,398 | 119 | 4.466 |
24 | 宇佐美 貴史 | G大阪 | 17 | 1,370 | 67 | 4.401 |
25 | 山中 亮輔 | 柏 | 13 | 553 | 27 | 4.394 |
26 | クリスティアーノ | 柏 | 17 | 1,484 | 72 | 4.367 |
27 | ラファエル シルバ | 新潟 | 23 | 1,688 | 80 | 4.265 |
28 | 清水 航平 | 広島 | 31 | 1,626 | 76 | 4.207 |
29 | ムリキ | FC東京 | 19 | 1,308 | 60 | 4.128 |
30 | 遠藤 渓太 | 横浜FM | 23 | 954 | 43 | 4.057 |
31 | アダイウトン | 磐田 | 34 | 2,852 | 128 | 4.039 |
32 | ディエゴ オリヴェイラ | 柏 | 30 | 2,482 | 110 | 3.989 |
33 | 河本 明人 | 甲府 | 17 | 993 | 43 | 3.897 |
34 | 端山 豪 | 新潟 | 9 | 401 | 17 | 3.815 |
35 | アデミウソン | G大阪 | 29 | 1,942 | 81 | 3.754 |
36 | 小林 成豪 | 神戸 | 20 | 896 | 37 | 3.717 |
37 | 石津 大介 | 神戸 | 19 | 651 | 26 | 3.594 |
38 | 金崎 夢生 | 鹿島 | 30 | 2,647 | 104 | 3.536 |
39 | 高橋 諒 | 名古屋 | 12 | 868 | 34 | 3.525 |
40 | 梅崎 司 | 浦和 | 19 | 695 | 27 | 3.496 |
41 | 大津 祐樹 | 柏 | 19 | 601 | 23 | 3.444 |
42 | 湯澤 聖人 | 柏 | 11 | 668 | 25 | 3.368 |
43 | ピーター ウタカ | 広島 | 33 | 2,630 | 98 | 3.354 |
44 | 前田 直輝 | 横浜FM | 13 | 649 | 23 | 3.190 |
45 | 鈴木 優磨 | 鹿島 | 31 | 1,103 | 39 | 3.182 |
46 | 倉田 秋 | G大阪 | 34 | 2,201 | 77 | 3.149 |
47 | 山崎 亮平 | 新潟 | 28 | 1,925 | 67 | 3.132 |
48 | アンデルソン ロペス | 広島 | 7 | 461 | 16 | 3.124 |
49 | 白 星東 | 鳥栖 | 11 | 566 | 19 | 3.021 |
50 | 鈴木 武蔵 | 新潟 | 14 | 515 | 17 | 2.971 |
表2. ベスト50に入った選手の所属クラブ
6 | 柏 | | | | |
5 | 新潟 | | | | |
4 | FC東京 | 甲府 | 広島 | 横浜FM | |
3 | 浦和 | 大宮 | 鹿島 | G大阪 | 神戸 |
2 | 川崎F | | | | |
1 | 磐田 | 仙台 | 鳥栖 | 名古屋 | |
0 | 湘南 | 福岡 | | | |
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