■ 運命の昇格プレーオフの決勝戦 昇格プレーオフの決勝戦。年間4位のセレッソ大阪と年間6位のファジアーノ岡山がキンチョウスタジアムで対戦した。プレーオフの決勝戦は今シーズンからリーグ戦で上位だったチームのホームスタジアムで開催されることになったが、準決勝の松本山雅 vs 岡山で6位の岡山が勝ち上がったことでC大阪は決勝戦もホームで戦うことが出来るようになった。岡山はクラブ史上初となるJ1昇格まであと一歩に迫っている。
ホームのC大阪は「4-2-2-2」。GKキム・ジンヒョン。DF松田陸、山下、藤本康、丸橋。MF山口蛍、ソウザ、清原、杉本健。FW柿谷、澤上。スタメン11人は準決勝の京都戦(H)と同じとなった。この試合で先制ゴールを決めたFW柿谷は怪我の影響が心配されたが無事にスタメン出場を果たした。終盤になってスタメンが増えてきた大卒ルーキーのFW澤上と2トップを組むことになった。FW田代有らがベンチスタート。
対するアウェイの岡山は「3-4-2-1」。GK中林。DF篠原、岩政、片山。MF矢島慎、関戸、澤口、三村、豊川、伊藤大。FW赤嶺。準決勝の松本山雅戦(A)で先制ゴールを決めたMF押谷は体調不良のためベンチ外。スーパーサブとして10ゴールを挙げたMF豊川がスタメンで起用された。1トップのFW赤嶺は準決勝の松本山雅戦(A)で劇的な決勝ゴールを決めてチームを勝利に導いた。元日本代表のMF加地はベンチスタート。
■ 降格2年目でつかんだJ1復帰 試合はC大阪が優勢。ボランチのMFソウザが積極的にミドルシュートを放っていく。しかしながら、なかなかGK中林を脅かすシーンは作れない。0対0で迎えた後半2分に岡山はMF矢島慎のパスを受けた左WBのMF三村がキーパーと1対1に近い決定機を迎えるがニアサイドをしっかりと固めたGKキム・ジンヒョンが好セーブ。後半4分のFW豊川のヘディングシュートもGKキム・ジンヒョンがしっかりとキャッチした。
すると後半7分にC大阪は右サイドでCKを獲得するとDF丸橋の蹴ったボールをMFソウザが頭でつないでゴール前のスクランブル状態を生み出すと混戦からMF清原が左足で押し込んでC大阪が貴重な先制ゴールを奪った。レギュラーシーズンは3ゴール5アシストだったMF清原は大一番で結果を残した。鋭いボールが入って来たので岡山は十分なクリアが出来ずに最後はMF清原の反応が少しだけ優っていた。
J1昇格のためには2ゴールが必要となった岡山はMF藤本佳、MF酒井宣、DF竹田忠を投入。終盤はロングボールからゴール前のシーンを何度も作り出したが186センチのMF山村和を投入するなどしっかりとした対応を見せたC大阪が守り切った。1対0で勝利したC大阪が昇格プレーオフを制して2014年以来となるJ1復帰を決めた。岡山はクラブ史上初となるJ1昇格はならず。来シーズンもJ2で戦うことになった。
■ クラブ史上初の「J1昇格」はならず・・・。 雨が降り続く中、17,086人という大入り満員となったキンチョウスタジアムは緊迫感が漂っていたがC大阪が昇格の切符を勝ち取って、岡山はあと一歩のところで昇格を逃すことになった。CSの決勝戦やJ2・J3の入替戦よりも後に試合が行われるのでJリーグの公式戦としてはプレーオフの決勝戦がシーズンのラストゲームとなるが勝者と敗者のコントラストは鮮明であり、ある意味では残酷なステージでもある。
岡山は「前半は0対0でもOK。後半に勝負をかける。」というプランだったと思うが、前半は0対0のままで終了。後半開始から明らかにギアチェンジを行って攻め込むようになった。後半2分のMF三村の決定機はこの試合における岡山の最初の決定機であり、最大の決定機だった。ニアサイドに蹴るのか、ファーサイドに蹴るのか、2つの選択肢があったが、強烈なシュートを防いだGKキム・ジンヒョンが1枚上手だった。
悲願のJ1昇格の可能性はなくなったが岡山にとっては大きな1年になった。プレーオフに出場した経験がなかったチームなので「プレーオフに出場することができた。」というだけでも大きな前進であるが、その上、準決勝を勝ち上がって決勝まで進んだ。レギュラーシーズンも終盤戦はスタジアムが1万人を超えるサポーターで埋まることは珍しくなかったが、認知度や知名度を飛躍的に向上させることができた。
来シーズンは「J1昇格」が現実的な目標となるが、期限付き移籍のMF矢島慎、MF豊川、FW赤嶺が中心を担っていたチームであり、ベテランのDF岩政の去就も微妙。チームがガラッと変わる可能性が高まっている。プレーオフでも立派な戦いを見せたことでチームに対する地元の人の期待は一層高まったと思うが「次にJ1昇格のチャンス」を迎えるまでにちょっと時間がかかることも十分に考えられる。
■ 苦しみながらもようやくJ1復帰 一方のC大阪は苦しみながらもようやくJ1復帰を勝ち取った。準決勝で3位の松本山雅が敗れたことで決勝戦をホームで戦えることになったのは非常に大きかった。40節の愛媛FC戦(H)からFW柿谷が復帰してきたが、この試合以降のラスト5試合は4勝1分け。そのうちの4つがホーム戦ということも関係しているが、FW柿谷が戻ってくるとチームに芯が出来る。準決勝の京都戦(H)の先制ゴールも価値が高い。
もちろん、開幕前の期待値を考えると4位というのは非常に物足りない成績で大熊監督に対する批判の声は大きかったが、難しい状況の中、プレーオフを勝ち抜いて昇格の切符を勝ち取ったこと仕事ぶりに関しては正当に評価されるべきである。J2は10数クラブが本気でJ1昇格を目指している状況なのでC大阪のような「巨大戦力」と言われるようなチームであっても簡単には勝ち点を積み上げることは出来ない。
大一番で決勝ゴールを決めたのはMF清原だったがこういう試合で結果を出せる選手は価値がある。165センチとひときわ小さいMF清原がゴール前のこぼれ球に真っ先に反応したが、こういう形のゴールは金沢時代からよく見られた。最も得意とする形のゴールと言えるだろう。金沢時代と比べるとゴール数は伸び悩んだが彼のハードワークは今シーズンのC大阪にとって欠かせない大きな武器だった。
守護神のGKキム・ジンヒョンとボランチのMF山口蛍という現役の日韓の代表プレーヤーがここぞのところでところで違いを見せたのはさすがだった。また、CBのDF山下の頑張りも目立った。今シーズンのC大阪は後半の終盤に失点をして勝ち点を取りこぼす試合が多かったが、この日のDF山下の集中力は見事だった。C大阪には華のある選手がたくさんいるが、スター選手を支える選手たちの働きが目立った。
C大阪は苦しんだ末にJ1復帰を決めることができたが、メンバー的にはJ1で1年目から好成績を残しても不思議はない。ジェットコースタークラブと言われるほどの浮き沈みの大きいところがC大阪の特徴であり、ハマったときの爆発力はクラブの魅力の1つであることは間違いないが、この苦しみはもう味わいたくない。振り返ったときに「2年間のJ2生活があったればこそ」と言えるような思い出に昇華させたい。
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