■ 6試合連続で無失点という快挙達成U-19アジア選手権の決勝戦は0対0のままでPK戦にもつれ込む死闘となったが5人全員が確実に決めた先攻の日本に対して後攻のサウジアラビアは4人目のキッカーがシュートミス。最後に登場したエースのFW小川航が確実にネットを揺らした瞬間、日本の初優勝が決定した。U-19アジア選手権はこれまで6度も決勝に進出していたがいずれも決勝戦で敗戦。準優勝に終わっていたので7度目の正直で初優勝を飾った。
4年後に迫った東京五輪のことを考えても大きな優勝になった。1997年・1998年生まれの世代はタレントが不足している世代ではないがタレントが豊富な世代というわけでもない。各ポジションに優秀な選手が揃っていてアジア制覇が期待されていたU-16日本代表と比べると期待度は下だった。「とにかくU-20W杯の出場権を獲得すること」が求められていたチームなのでアジア制覇という結果は見事と言うしかない。
終わってみるとGLの2戦目のイラン戦と決勝のサウジアラビア戦は0対0だったが、それ以外の4試合は3対0、3対0、4対0、3対0なので勝利した試合は全て大差が付いた。結局、6試合すべてが無失点ということで守備の堅さが目立った。決勝のサウジアラビア戦こそGK小島亨の仕事量は多かったが、準決勝までの5試合に関してはGK小島亨やGK廣末の見せ場はほぼ無かった。危ないシーン自体が少なかった。
■ 大会MVPに最もふさわしいのはDF中山雄(柏)日本はチームとしてはフェアプレー賞を受賞して、大会のMVPにはMF堂安(G大阪)が選ばれた。右サイドハーフで起用されたMF堂安はU-19アジア選手権の中で「一番大事な試合」となる準々決勝のタジキスタン戦で1ゴール1アシストの活躍を見せたのが印象深い。前半8分に完璧なクロスでFW小川航の先制ゴールをお膳立てすると前半19分には自ら左足でコース隅にシュートを決めて貴重な2点目のゴールを決めた。
高いキープ力や右SBのDF藤谷の攻撃参加を引き出すプレーでも目立っていたので、当然のことながら、MVPにMF堂安が選ばれても全く不思議はないが、彼の持っている力がフルに出し切れた大会だったかと言うと「No」だろう。もっと凄いプレーが出来る選手であり、もっと違いを出せる選手であり、もっと正確にプレーをし続けることができる選手である。本大会ではもっと上のプレーを見せてくれるだろう。
今大会のMVPに関してはやはりCBのDF中山雄(柏)が最もふさわしかったと思う。前述のとおり、守備陣は全試合で無失点と素晴らしい成績を残したがDF中山雄は守備の要として活躍した。CBのポジションの選手で18歳や19歳の段階からJリーグのクラブでスタメン級で活躍できる選手はほとんどいないのでCBのポジションがU-19日本代表の弱点になることが多かったが今回のCBコンビはむしろ強みになった。
温存される形になった準決勝のベトナム戦を除く5試合でスタメン起用されたがやられるシーンはほぼ無かった。守備の時のポジショニングのミスや対応のミスというのはほぼ無かったように思う。空中戦に関しては相方のDF冨安(福岡)が競って跳ね返すことが多かったが、DF中山雄が競ったときもほぼ負けなかった。CBコンビの安定感というのは歴代のU-19日本代表の中でも屈指と言えるのではないか。