■ 10月12日に退任の発表川崎フロンターレは10月12日(水)に契約満了に伴って風間八宏監督との契約を更新しないことを発表した。同時に「後任監督は現時点では未定」ということも発表しており、「川崎Fの後任監督が誰になるのか?」が注目されているが、2ndステージの14節が終了した時点で年間順位では2位。2ndステージも3位。天皇杯もベスト16まで勝ち残っていることを考えると監督退任のニュースは大きな驚きと言える。
J1のリーグ戦に限定すると直近の7試合は3勝4敗と失速気味。しばらくの間、年間1位をキープしていたが、年間順位で浦和に抜かれて2位に転落した。チーム状態が下降線であることは間違いないが、それでもすでに「年間3位以内」を確定させているのでCS出場は決めている。悲願の初タイトルに向けて大きなチャンスを迎えており、「ここからが本当の勝負」と言えたのでこのタイミングでの発表はびっくりだった。
2012年の春に川崎Fの監督に就任した風間監督は「Jリーグのクラブを率いた経験のない指導者」ということで当初は不安視された。初年度は実の息子であるFW風間宏矢(FC岐阜)やMF風間宏希(北九州)を積極的に起用するなど選手起用が「身内をひいきしているのではないか?」と批判されたが、2013年は3位になってACLの出場権を獲得すると、2014年は6位で、2015年も年間で6位と安定した成績を残している。
■ 若手や中堅だけでなくベテランを成長させた手腕「タイトルを狙える戦力がある。」と言われながらなかなか初タイトルに手が届かない点を批判されることもあったが、選手ならびにサポーターからの支持は絶大。結果もさることながら、『Jリーグの全53クラブの中でもっと面白いサッカーをするのが川崎Fである。』と言われることが多い点からも分かる通り、結果を残しつつ、内容面にもこだわった魅力的なサッカーを志向し続けた点も支持を集める理由である。
川崎Fというともともとは「MF中村憲→FWジュニーニョのホットライン」を中心とするカウンター型のチームだった。関塚監督のときも爆発的な攻撃力が魅力のチームだったが風間監督になってからはショートパスを主体にコンビネーションで崩すサッカーにシフトチェンジした。「クラブとしてのスタイル」を見つけられないままのチームは少なくないが、確固たるスタイルをチームに植え付けた点も高評価に値する。
当時は若手に分類されたMF小林悠やMF大島僚、風間体制になってから新卒で獲得したDF谷口彰やDF車屋などを日本代表クラスの選手にまで育て上げた実績も見逃せないが、それ以上に見事だったのは日本代表として長らく活躍してきて「すでにサッカー選手としてのピークの時期は過ぎている。」と思われていたMF中村憲とFW大久保という2大スターの(眠っていた)潜在能力を引き出した点である。
若手から中堅の年代の選手が新しい監督との出会いによって才能が開花するケースは決して珍しくない。むしろ、一定以上の期間、チームを率いていたらそういう選手が何人か出てくるのが当たり前と言えるが、30歳を超えている選手が新監督との出会いによって一段とレベルアップするケースは相当に珍しい。百戦錬磨のベテラン選手を成長させることが出来る監督というのは本当にごくわずかである。
■ 後任監督選びは難しい・・・。これほどの実績を残した監督なので今後は新監督を探しているJ1の有力クラブの多くが「新監督候補の1人」としてリストアップをすることになると思う。監督としてそれだけの実績を残したが、以前から風間監督は2020年の東京五輪のときの日本代表の監督候補として名前が挙がっていた。このタイミングでフリーの立場になったことで「東京五輪代表チームの監督就任」を期待する声はより一層大きくなるだろう。
手倉森監督が正式にリオ五輪代表チームの監督に就任したのは2013年10月のことだったので同じようなタイムスケジュールであったならば約1年後。来シーズン、どのチームとも契約をせずに解説者等の仕事をして過ごすのであれば最有力候補であることは間違いないところである。本人にその気があるのかどうなのか?は分からないが、自国開催の五輪で代表チームを率いるというのは相当に名誉なことである。
風間監督については今後の活躍も注目されるが難しいのは川崎Fである。当然、早い時期に退任を発表したのでどのクラブよりも早く後任監督探しに取り掛かることができる。言うまでもなく、優秀な日本人監督の数は限られるのでこの点はアドバンテージになるが、これだけの結果を残した監督であり、かつ、確固たるスタイルを持った監督なので、どんな監督を連れてきてもしっくりくることはないだろう。
その上、クラブに関係するほとんどの人から支持をされた監督なのでなおさら難しい作業になる。当然、クラブとしてスタイルは継続するつもりだと思うが、あまりにもキャラクターの強い指導者を監督に据えるとせっかく築き上げてきたスタイルがあっさりと無くなってしまう危険性もある。当然、キャラクターの薄い監督というのもいろいろな意味で難しい。外国人監督が無難だと思うが、誰に託すのか?は興味深い。
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