■ J1第20節降格圏内に位置する大宮アルディージャが、ホームでヴィッセル神戸と対戦したミッドウィークのJ1第20節。大宮は、再開直前になってロバート監督を解任し、佐久間新監督を迎えて巻き返しを図る最中であり、再開初戦で、清水エスパルスにドロー。
大宮は、<4-4-2>を採用。GK江角。DFラインは、田中・レアンドロ・冨田・波戸。斉藤・片岡・藤本・小林大の中盤で、デニス・マルケスと吉原の2トップ。
対する神戸も、<4-4-2>。GK榎本達。DFラインは、石櫃・北本・河本・茂木。ボッティ・酒井・大久保・朴の中盤で、レアンドロと近藤の2トップ。
■ 逆転勝利試合は、暑さもあって、両チームとも、低調な出来。なかなか、効果的に中盤が作れず。パスミスが目立つ展開となる。そんな中、前半20分に、FWデニス・マルケスのパスを受けたFW吉原のシュートで大宮が先制する。
これで、優位に立った大宮だったが、前半30分に、MFボッティのCKからFWレアンドロがヘディングで合わされて同点に追いつかれると、後半28分にも、カウンターから再び、FWレアンドロに決められて逆転を許す。
大宮は、何度も決定機を作りながらも、フィニッシュの精度を欠く。試合終了間際にも、大久保にPKを決められて、万事休す。結局、神戸が3対1で勝利し、2連勝となった。
■ 鋭いカウンターを見せた神戸神戸は、右サイドバックに石櫃、左サイドバックに茂木を起用し、攻撃的に戦おうとする意思は見えたが、肝心の中盤が作れずに、両サイドバックの攻撃力を生かせる場面はほとんど無く、消化不良に終わった。ただし、大宮が人数をかけて攻めにきたことで、得意のカウンターが機能し、多くのチャンスを作った。
神戸のカウンターアタックが機能する理由としては、前線にスピードのある選手が多いことに加えて、守備のときの約束事が徹底されているので、ボールを奪う位置が明確で、守から攻への切り替えが非常にスムーズであることが理由に挙げられる。
■ オシム監督の目に留まったのは誰か?この試合は、日本代表のオシム監督が視察に訪れていた。そんな中で、一番目に付いたであろう選手を推測すると、神戸のFW近藤だろうか。
すでに、代表候補合宿に呼ばれた経験を持つ近藤は、日本人離れしたパワフルなプレーが持ち味のストライカーであるが、この試合でも、レアンドロとのコンビで再三、DFラインを突破し、決定的なシーンを作った。フィニッシュの精度を欠き、ノーゴールに終わったが、屈強なDFを相手にしながら、それをものともしないパワーは、十分に魅力的に感じたのではないだろうか?
神戸は、1トップあるいは3トップシステムが多かった昨シーズンまでと比べて、今シーズンは、ほとんどの試合で2トップを採用している。したがって、孤立することも少なくなかった前線のフォワードの近藤が、2トップになって、相方と非常にいい関係を築けている。得点数もさることながら、アシスト数も多いのが、今シーズンの近藤の充実振りを示しているだろう。
■ 大久保は代表の救世主となるか?結果だけ見ると、1ゴール1アシストをマークした大久保だった、試合後に、本人が語っていたように、プレー自体は低調だった。実際、なかなか、ボールに触れる機会も無く、シュートシーンもほとんどなかった。
右の朴のところで、ほとんどキープ&突破が出来ず、かといって、逆サイドの左の大久保が、ドリブルで仕掛けて相手DFを崩すシーンも見られなかった。試合全体を通して、レアンドロあるいは、近藤に対して、直接ボールが渡ることが多く、また、そのときのほうが、効果的な攻撃につながっていた。
FWの一角で起用されるのか、中盤の一人として起用されるのかは不明だが、日本代表に復帰したことで、カメルーン戦は大きな注目を集めることが予想される大久保だが、やはり過剰な期待は禁物である。ただ、彼の持つ、がむしゃらさがチームに好影響を与える可能性は、低くはないだろう。
■ デニス・マルケスは期待に応えられるのか?大宮の新外国人のFWデニス・マルケス。見た目は元神戸のFWオゼアスにそっくりである。
かつてのオゼアスはゴール前で仕事をする得点感覚に優れたストライカーであったが、デニス・マルケスは、もっとオールラウンドなタイプで、1トップタイプではなく、1.5列目タイプの選手のようだ。実際、先制点につながった吉原に通したスルーパスは、見事だった。
この時点では、デニス・マルケスにどれほどの得点能力があるのかは分からないが、どちらかというと、チャンスメーカータイプのようで、そうなると、もともと、チャンスメーカータイプが多く、フィニッシャー不足に悩んでいた大宮にとっては、やや当てが外れた感じになるが、どうなのだろうか。気になる部分である。
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