■ 2度目のリーグ連覇は絶望的2015年のCSを制してクラブ史上3度目となる年間王者に輝いたサンフレッチェ広島は2度目のリーグ連覇を目指して開幕を迎えたが1stステージは8勝4敗5分けで4位。2ndステージも5勝4敗2分けで8位と苦しんでいる。2ndステージ制覇は絶望的。年間3位以内も難しくなっているのでCSに進めない可能性が高い。9節は甲府、11節は大宮にともにホームで0対1で敗れるなどホーム戦での取りこぼしが目立つ。
とにかく怪我人の多さに悩まされた。主力クラスの選手で大きなトラブルなく年間を通して試合に出続けることができた選手は数えるほど。中でもDF佐々木翔の長期離脱は痛かった。その他にもDF塩谷はオーバーエイジでリオ五輪に参加してFW浅野拓は夏にアーセナルに移籍した。MF茶島やMF宮原やFW宮吉の台頭など明るいニュースもいくつかあったがチームとしては大きな目標を達成することは難しくなっている。
■ 90分あたりの反則数が歴代で1位となる可能性ACLもGLを突破できなかったのでやや不本意なシーズンになっているが、近年の広島の大きな特徴を挙げると「反則数」ならびに「警告数」の少なさである。表1は「1999年以降のJ1で90分あたりの反則数の少なかったチーム」を1位から30位まで書き出しているが2016年の広島は「10.82」で歴代1位となる。2015年の広島が「11.50」で歴代1位に躍り出たが、翌シーズンに自ら記録を更新する可能性が高まっている。
当然、「(ファールなどの)反則が多いからダメ」とは言えないし、「反則が少ないからOK」とは言えないが、近年の広島がフェアでクリーンなサッカーをしているのは間違いないところである。「無駄なファール」がたくさんあってそのたびにプレーが止まるようだと観ている側にとっては結構なストレスになるが広島の試合はプレーが止まるケースが非常に少なくてアクチュアル・プレイング・タイムは長い。
表1. 90分あたりの反則数のベスト30 (1999年-2016年)
チーム名 | チーム名 | 年度 | 試合 | 時間 | 反則 | 反則/90分 |
1 | サンフレッチェ広島 | 2016年 | 28 | 2,520 | 303 | 10.82 |
2 | サンフレッチェ広島 | 2015年 | 34 | 3,060 | 391 | 11.50 |
3 | 名古屋グランパス | 2014年 | 34 | 3,060 | 413 | 12.15 |
4 | サンフレッチェ広島 | 2013年 | 34 | 3,060 | 414 | 12.18 |
5 | ヴァンフォーレ甲府 | 2015年 | 34 | 3,060 | 415 | 12.21 |
6 | サンフレッチェ広島 | 2014年 | 34 | 3,060 | 416 | 12.24 |
7 | 名古屋グランパス | 2011年 | 34 | 3,060 | 427 | 12.56 |
7 | ベガルタ仙台 | 2013年 | 34 | 3,060 | 427 | 12.56 |
9 | 川崎フロンターレ | 2015年 | 34 | 3,060 | 430 | 12.65 |
10 | 名古屋グランパス | 2015年 | 34 | 3,060 | 432 | 12.71 |
11 | 川崎フロンターレ | 2016年 | 28 | 2,520 | 361 | 12.89 |
12 | ガンバ大阪 | 2016年 | 28 | 2,520 | 370 | 13.21 |
13 | 徳島ヴォルティス | 2014年 | 34 | 3,060 | 452 | 13.29 |
14 | 川崎フロンターレ | 2014年 | 34 | 3,060 | 461 | 13.56 |
14 | 清水エスパルス | 2014年 | 34 | 3,060 | 461 | 13.56 |
16 | 横浜F・マリノス | 2015年 | 34 | 3,060 | 464 | 13.65 |
17 | 大宮アルディージャ | 2016年 | 28 | 2,520 | 384 | 13.71 |
18 | 横浜F・マリノス | 2014年 | 34 | 3,060 | 468 | 13.76 |
19 | 横浜F・マリノス | 2011年 | 34 | 3,060 | 469 | 13.79 |
19 | ガンバ大阪 | 2015年 | 34 | 3,060 | 469 | 13.79 |
19 | 浦和レッズ | 2012年 | 34 | 3,060 | 469 | 13.79 |
22 | サンフレッチェ広島 | 2012年 | 34 | 3,060 | 470 | 13.82 |
23 | 横浜F・マリノス | 2016年 | 28 | 2,520 | 388 | 13.86 |
24 | コンサドーレ札幌 | 2012年 | 34 | 3,060 | 477 | 14.03 |
25 | モンテディオ山形 | 2009年 | 34 | 3,060 | 485 | 14.26 |
25 | 大宮アルディージャ | 2011年 | 34 | 3,060 | 485 | 14.26 |
27 | ガンバ大阪 | 2007年 | 34 | 3,060 | 491 | 14.44 |
28 | 柏レイソル | 2016年 | 28 | 2,520 | 405 | 14.46 |
29 | 横浜F・マリノス | 2009年 | 34 | 3,060 | 494 | 14.53 |
29 | 大宮アルディージャ | 2013年 | 34 | 3,060 | 494 | 14.53 |
■ 突出して警告の少ないチームと言える近年の広島今度は「90分あたりの警告数のベスト30」を示しているが、2016年の広島は「0.71」となる。この数字は2014年の広島の「0.65」に次ぐ歴代2位となる。表2のとおり、歴代3位となるのは2015年の広島で、歴代5位となるのは2013年の広島なので、近年の広島はJリーグ史を振り返ってみても突出したレベルで警告の少ないチームと言える。(※ 森保監督になって1年目となる2012年も歴代10位に入っている。)
ファールなど反則に関しては「してもいいエリア」がある。(時と場合にもよるが)相手のゴール前であればファールを冒してFKを献上したとしても何ら問題はないので「きっちりとファールで止める。」というのもクレバーな方法と言えるが、警告に関しては(反則数以上に)少ないに越したことはない。2015年の甲府や横浜FM、2016年の浦和も警告の少ないチームと言えるが、広島の凄さは際立っている。
表2. 90分あたりの警告数のベスト30 (1999年-2016年)
チーム名 | チーム名 | 年度 | 試合 | 時間 | 警告 | 警告/90分 | 退場 |
1 | サンフレッチェ広島 | 2014年 | 34 | 3,060 | 22 | 0.65 | 0 |
2 | サンフレッチェ広島 | 2016年 | 28 | 2,520 | 20 | 0.71 | 0 |
3 | サンフレッチェ広島 | 2015年 | 34 | 3,060 | 26 | 0.76 | 0 |
4 | 浦和レッズ | 2016年 | 28 | 2,520 | 26 | 0.93 | 1 |
5 | サンフレッチェ広島 | 2013年 | 34 | 3,060 | 32 | 0.94 | 1 |
5 | ヴァンフォーレ甲府 | 2015年 | 34 | 3,060 | 32 | 0.94 | 1 |
7 | 清水エスパルス | 2008年 | 34 | 3,060 | 33 | 0.97 | 0 |
7 | 横浜F・マリノス | 2015年 | 34 | 3,060 | 33 | 0.97 | 1 |
9 | 清水エスパルス | 2000年 | 30 | 2,844 | 32 | 1.01 | 1 |
10 | サンフレッチェ広島 | 2012年 | 34 | 3,060 | 36 | 1.06 | 0 |
10 | ベガルタ仙台 | 2014年 | 34 | 3,060 | 36 | 1.06 | 0 |
10 | 横浜F・マリノス | 2014年 | 34 | 3,060 | 36 | 1.06 | 1 |
13 | サガン鳥栖 | 2016年 | 28 | 2,520 | 30 | 1.07 | 0 |
13 | 川崎フロンターレ | 2016年 | 28 | 2,520 | 30 | 1.07 | 1 |
15 | 浦和レッズ | 2014年 | 34 | 3,060 | 37 | 1.09 | 2 |
15 | サガン鳥栖 | 2015年 | 34 | 3,060 | 37 | 1.09 | 1 |
15 | ガンバ大阪 | 2015年 | 34 | 3,060 | 37 | 1.09 | 2 |
18 | ガンバ大阪 | 2007年 | 34 | 3,060 | 38 | 1.12 | 2 |
19 | ベガルタ仙台 | 2013年 | 34 | 3,060 | 39 | 1.15 | 0 |
19 | 松本山雅FC | 2015年 | 34 | 3,060 | 39 | 1.15 | 0 |
21 | FC東京 | 2005年 | 34 | 3,060 | 40 | 1.18 | 1 |
21 | モンテディオ山形 | 2010年 | 34 | 3,060 | 40 | 1.18 | 0 |
21 | アルビレックス新潟 | 2014年 | 34 | 3,060 | 40 | 1.18 | 1 |
21 | 川崎フロンターレ | 2014年 | 34 | 3,060 | 40 | 1.18 | 3 |
21 | 名古屋グランパス | 2015年 | 34 | 3,060 | 40 | 1.18 | 3 |
26 | サンフレッチェ広島 | 2010年 | 34 | 3,060 | 41 | 1.21 | 1 |
26 | モンテディオ山形 | 2009年 | 34 | 3,060 | 41 | 1.21 | 0 |
26 | ガンバ大阪 | 2010年 | 34 | 3,060 | 41 | 1.21 | 1 |
26 | 徳島ヴォルティス | 2014年 | 34 | 3,060 | 41 | 1.21 | 0 |
26 | 川崎フロンターレ | 2015年 | 34 | 3,060 | 41 | 1.21 | 2 |
■ サンフレッチェ広島の年度別の成績最後の表3は1999年以降の広島の年度別の成績を示している。J2で戦った2003年と2008年の2シーズンは除外しているが、こうして見ていくと2012年に森保監督が就任してから反則の数や警告の数が目に見えて少なくなっており、退場者に関してはここ5年間でわずか1人だけ。「フェアプレーを心掛ける。」というのは森保監督も意識して取り組んでいるというが、その成果は数字ではっきりと表れている。
「できるだけ反則は取らずにプレーを流そう。」というのは世界的な流れで、Jリーグも世界の流れに沿ったジャッジ基準になりつつあることは試合を観ていると明らかであるが、1999年の広島の90分あたりの反則数は「25.25」なので、2016年シーズンと比較すると約2.35倍の数字である。当時の試合を見返してみると「審判の笛が鳴り過ぎてイライラする。」という状況に陥るのは間違いないところである。
表3. サンフレッチェ広島の年度別の成績 (J1に所属したシーズンのみ)
チーム名 | 年度 | 試合 | 時間 | 反則 | 反則/90分 | 警告 | 警告/90分 | 退場 |
サンフレッチェ広島 | 1999年 | 30 | 2,780 | 780 | 25.25 | 51 | 1.65 | 0 |
サンフレッチェ広島 | 2000年 | 30 | 2,840 | 713 | 22.60 | 66 | 2.09 | 3 |
サンフレッチェ広島 | 2001年 | 30 | 2,765 | 647 | 21.06 | 49 | 1.59 | 6 |
サンフレッチェ広島 | 2002年 | 30 | 2,883 | 658 | 20.54 | 65 | 2.03 | 4 |
サンフレッチェ広島 | 2004年 | 30 | 2,700 | 663 | 22.10 | 52 | 1.73 | 3 |
サンフレッチェ広島 | 2005年 | 34 | 3,060 | 588 | 17.29 | 53 | 1.56 | 2 |
サンフレッチェ広島 | 2006年 | 34 | 3,060 | 618 | 18.18 | 64 | 1.88 | 4 |
サンフレッチェ広島 | 2007年 | 34 | 3,060 | 588 | 17.29 | 65 | 1.91 | 1 |
サンフレッチェ広島 | 2009年 | 34 | 3,060 | 537 | 15.79 | 53 | 1.56 | 2 |
サンフレッチェ広島 | 2010年 | 34 | 3,060 | 539 | 15.85 | 41 | 1.21 | 1 |
サンフレッチェ広島 | 2011年 | 34 | 3,060 | 497 | 14.62 | 60 | 1.76 | 3 |
サンフレッチェ広島 | 2012年 | 34 | 3,060 | 470 | 13.82 | 36 | 1.06 | 0 |
サンフレッチェ広島 | 2013年 | 34 | 3,060 | 414 | 12.18 | 32 | 0.94 | 1 |
サンフレッチェ広島 | 2014年 | 34 | 3,060 | 416 | 12.24 | 22 | 0.65 | 0 |
サンフレッチェ広島 | 2015年 | 34 | 3,060 | 391 | 11.50 | 26 | 0.76 | 0 |
サンフレッチェ広島 | 2016年 | 28 | 2,520 | 303 | 10.82 | 20 | 0.71 | 0 |
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