■ 怪我人続出でプランが狂った手倉森JAPAN(
上)では「オーバーエイジの選手を選考するときのいくつかの条件」を記述したが、手倉森監督に誤算だったのはCB陣ならびにSB陣に怪我人が続出したことである。怪我人の多さがオーバーエージの人選に大きな影響を及ぼした。U-23アジア選手権の優勝メンバーであるDF奈良(川崎F)が怪我のため本大会出場は絶望的となって、同じく優勝メンバーのDF山中(柏)も度重なる怪我に苦しんでいる。
さらにはトゥーロン国際大会のときにDF岩波(神戸)とDF亀川(福岡)が怪我をして戦線を離脱。DF岩波とDF亀川に関しては最終的には問題なく五輪の本大会に間に合ったがオーバーエイジの3人を決めなければいけない段階のときは「本当に大丈夫なのか?」の不安はあった。CBに関してもSBに関しても人材がたくさんいるわけではないので手倉森監督は安全策を取ってDF塩谷とDF藤春を招集することを決断した。
DF奈良、DF山中、DF岩波、DF亀川あたりの怪我がなければオーバーエイジの人選は大きく変わっていた可能性が高い。他にはオーバーエイジ候補としてFW大迫(ケルン)、FW大久保(川崎F)、MF清武(セビージャ)、MF柴崎岳(鹿島)、DF昌子(鹿島)あたりの名前がメディアには登場したが、今大会に関しては「本当に選びたかった選手を招集した。」というよりは「怪我人のことを考えた選考になった。」と言える。
■ アタッカーやCBやSBは人材が豊富手倉森JAPANに関してはやや例外と言えるが、「弱点となるポジションをオーバーエイジで補強する。」というのがセオリーである。東京五輪のオーバーエイジ候補を考えるときは「東京世代はどのポジションの人材が豊富で、どのポジションの人材は不足しているのか」を真っ先に押さえておく必要があるが、現時点での東京世代の顔ぶれを見るとアタッカーは豊富で一番のストロングポイントと言えるだろう。
東京世代の中で一番上の学年となる「1997年の早生まれの選手」でもプロ2年目。「プロキャリアは始まったばかり」という選手と「高校や大学で頑張っている。」という選手たちになるので将来を予測するのは簡単なことではないが、MF堂安(G大阪)、MF邦本(福岡)、MF三好(川崎F)、MF増山(神戸)、MF杉森(名古屋)などはすでにJ1の舞台を経験しており、J2の京都入りが決まったFW岩崎(京都橘高)も評価が高い。
さらには(2001年生まれなので厳密には東京世代ではないが)FW久保建(FC東京U-18)が飛び級で選ばれる可能性があることを考えるとアタッカーのポジションにオーバーエイジを採用する必要性はあまり感じない。同様にCBも豊富と言える。DF中山雄(柏)はすでにJ1の柏でレギュラーに近い立場になっており、DF町田(鹿島)、DF野田裕(G大阪)、DF冨安(福岡)なども評価が高い選手なのでCBで困る可能性は低い。
他には左右のSBもDF柳(FC東京)、DF小島雅(仙台)、DF初瀬(G大阪)、DF藤谷(神戸)、DF舩木翔(C大阪U-18)など評価の高い選手が何人もいる層の厚いポジションである。なので、アタッカーとCBと左右のSBに関しては人材が豊富なので「オーバーエイジで補強する必要はないのでは?」と考えられる。その一方でキーパー・ボランチ・CFに関しては有力選手は何人かいるが選手層という意味では決して厚くない。
■ 具体的なオーバーエイジ候補の名前を挙げると・・・。CFに関してはFW小川航(磐田)、ボランチに関してはMF坂井大(大分)やMF市丸(G大阪)、キーパーに関してはGK小島亨(早稲田大)やGK波多野(FC東京U-18)やGK大迫(広島ユース)などが高い評価を受けているが、アタッカーやCBやSBと比べると手薄感は否めない。特にキーパーは過去にオーバーエイジを採用するケースが多かったポジションなので「オーバーエイジの1枠はキーパー」となる可能性はある。
4年後なので日本代表のGK西川(浦和)やGK東口(G大阪)は34歳になっている。キーパーの選手寿命は長いのでおそらくは4年後も浦和あるいはG大阪の守護神として活躍しているだろう。特に五輪やW杯を経験している国際経験の豊富なGK西川というのはあり得るオーバーエイジ候補と言える。さらに若い世代のキーパーではリオ五輪を経験中のGK中村航(柏)も面白い。4年後にはフル代表に定着しているだろう。
ボランチはロンドン世代のMF山口蛍(C大阪)やMF柴崎岳(鹿島)、リオ世代のMF遠藤航(浦和)やMF大島僚(川崎F)あたりがオーバーエイジ候補か。トレーニングパートナーとしてチームに帯同したMF冨安(福岡)やMF渡辺皓(東京Vユース)も含めて「この選手は将来的には必ずフル代表に絡んでくるだろう。」と思えるほどのポテンシャルを持った選手はいないので「ボランチで1枠」というのも現実的なプランである。
CFはすでに名前を挙げたFW小川航(磐田)が将来を嘱望されており、エースになることが期待されるが、彼に続く選手がなかなかいないのが現状である。オーバーエイジ候補は「五輪に対して強い思いを持っている選手」が選ばれるべきだと思うのでそういう意味では今回のリオ五輪は大会直前になって所属クラブの事情から代表から外れることになったFW久保裕(ヤングボーイズ)というのは1つの選択肢になるだろう。
さらにはFW浅野拓(アーセナル)という選択肢もある。やはり前線に独力でフィニッシュまで持ち込める選手がいると期待感は膨らむ。ロンドン五輪のときはFW永井謙が活躍。リオ五輪ではFW浅野拓というスピードスターが本大会で大きな存在感を発揮しているが東京世代には彼らほどの突出したスピードを持つ「スピードスター」がいないことを考えるとFW浅野拓も有力候補に挙がってくるのではないか。
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