ボランチ→ 攻守の中心となる重要なポジションであるが現時点では突出した選手はいない印象。多くの選手に可能性とチャンスがある。これからの4年間、たくさんの選手がボランチのポジションで試されることになると思うが1997年生まれの選手が中心となるU-19日本代表でキャプテンを務めているのはMF坂井大(大分)。2014年のブラジルW杯のときはトレーニングパートナーとしてザックJAPANに帯同している。
1997年の早生まれなのでプロ2年目となるが所属の大分ではあまり出場機会は得られていない。今シーズンもここまで7試合の出場のみ。99分の出場時間にとどまっているのでクラブの大きな期待に応える活躍はできていないが技術が高くて運動量が多い選手である。「96ジャパン」のときは左右のSBのポジションでU-17W杯のベスト16入りに貢献しているのでボランチではなくてSBが主戦場となる可能性もある。
他にU-19日本代表に定期的に招集されているのはMF久保田(鹿島)とMF市丸(G大阪)。1997年1月1日生まれなのでギリギリで東京世代となるMF久保田は技術が高い。たくさんボールに触ってテンポよくパスを回して攻撃にリズムを作ることができるタイプの選手である。昨オフに同学年となるMF三竿健が加入したのでポジション争いはさらに熾烈になった。一日でも早く鹿島でメンバー争いに絡みたいところである。
G大阪でプレーするMF市丸は「ポスト・遠藤保仁」とも言われるプレーメーカー。ボールを持ったときの姿勢が良くて周りのことが良く見えている選手である。パスの精度が高くて守備力も標準以上。高卒1年目ながらG大阪U-23では主力の1人として結構な出場機会を得ているのは成長する上で非常に大きいことである。五輪代表の主力になるためには守備の部分を一段とレベルアップさせる必要があるだろう。
CBのレギュラー候補でもあるDF中山雄(柏)とDF冨安(福岡)はボランチで起用される可能性がある。J1の柏でレギュラーポジションを掴みかけているDF中山雄は所属クラブではCBでプレーする機会が多いが手倉森JAPANのときのDF遠藤航(浦和)のように「クラブではCB、代表ではボランチ」という起用法になることは十分に考えられる。一方のDF冨安は185センチのサイズが魅力。落ち着いてボールを回すこともできる。
同学年となるFW渡辺凌(前橋育英高→早稲田大→インゴルシュタットU-23)とともに前橋育英高の中心選手として2014年度の冬の高校選手権で準優勝に輝いた実績のあるMF鈴木徳(筑波大)は堅実なプレーがウリとなるボランチである。当時から年代別代表で活躍していた選手なのでJリーグ入りという選択肢もあったと思うが筑波大進学を選択した。ポジショニングが良くて味方に安心感を与えることが出来る。
早くもJリーグで存在感を発揮している東京世代の選手は何人かいるが「今年の高卒ルーキーの中でもっとも目立っている。」と言えるのはMF井上潮(東京V)。「姉・自分・弟・弟・弟・弟・」という6人兄弟の2番目。母親が海好きで6人全員が海(潮)にちなんだ名前だという。東京Vのユース出身らしく高度な技術を持っており、東京Vのトップチームでボランチのレギュラーを確保。ボール回しの中心になっている。
作陽高出身のMF伊藤涼(浦和)、青森山田高出身のMF神谷(湘南)の2人もすでにJ1デビューを済ませている。どちらの選手も攻撃に特徴があるので今後はボランチではなくてシャドーの位置で大成する可能性もある。同様のことはMF森島司(広島)にも言えるがこの年代の選手には無限の可能性がある。MF香川(ドルトムント)が典型例と言えるが「どのポジションで開花するのか?」は本人でさえ予想するのは難しい。