■ 大健闘した昇格1年目2015年のJ3で23勝4敗9分けという好成績を残した町田ゼルビアはJ2で21位になった大分トリニータとの入替戦に2連勝して2012年以来のJ2復帰を決めた。武器となったのは36試合でわずか18失点という堅守だったが、相馬監督が築き上げた組織的な守備はJ2の舞台でも十二分に通用した。開幕戦こそC大阪に0対1で惜敗したが、その後、ずっと負けなしが続いた。序盤戦のJ2の主役になったのは町田だった。
40節が終了した時点で16勝13敗11分けで勝ち点「59」。プレーオフ圏内となる6位の岡山との差はわずか「5」。6位の可能性を残しているが、残念ながら「J1ライセンス」を取得することが出来なかったので6位になったとしてもプレーオフに参加することが出来ない。9月28日(水)の時点でプレーオフ出場の可能性がなくなったのは残念だったが、その後もモチベーションを落とすことなく戦えている点は称賛に値する。
夏以降はやや勝ち点が伸び悩んだので「2015年の前半戦は素晴らしい結果を残しながら後半戦に大失速した金沢のようになってしまうのでは?」という心配もあったが、MF鈴木崇とDF三鬼の契約解除やエースのFW鈴木孝の大怪我での離脱といった不測のアクシデントも何とかチーム全体で乗り切ることが出来た。すでに10位以内が確定しているが、1つでも上の順位でシーズンを締めくくって2017年につなげたい。
■ 主力の流出を最小限にとどめることができるか?40試合を終えた時点で50得点/43失点。開幕前は「J3でこれほどの数字を残した守備力はある程度は通用すると思うが攻撃陣は未知数」という意見が主流だったが、結局、総得点は清水→札幌→C大阪→松本山雅→岡山→山口に次いでリーグ7位タイ。失点数もはリーグ8位なので決して悪い成績ではないが、これほど得点を奪えるとは全く予想できなかった。攻撃陣の頑張りが特に目立つシーズンになった。
スポーツの世界では「2年目のジンクス」という言葉が使われることが多いが、実際にジンクスにハマるチームは多い。2年連続で好成績を残すためにはオフの補強が大事になってくるが、今オフの町田のテーマを挙げていくと、
・結果を残した主力の流出を最小限にとどめること。
・長期離脱中のエースのFW鈴木孝の負担を減らすことが出来るフォワードを獲得すること。
・1.5列目や2列目の位置で攻撃の中心になれる選手を獲得すること。
の3点になる。守備に関しては「個人で守る。」というよりは「組織で守る。」というタイプのチームなので仮に個人能力の高いDFヨン・ア・ピンのような選手が抜けたとしてもある程度はカバーできるほどの組織力を持っている。「誰でも代わりが務まる。」と言うと言い過ぎだと思うが、ある程度以上のレベルの選手であれば何とかできるほどチーム全体で守るやり方が浸透しているので大きなダメージにはならない。
1番最初に挙げた「主力の流出を最小限にとどめること」に関しては当然のことながら町田に限った話ではないが、昇格初年度でこれだけの成績を残したチームなのでどうしても目立つ。J2で一定以上のパフォーマンスを見せた選手の価値は急激に上がるので他クラブのターゲットになりやすい。今シーズンは金沢が低迷しているが、MF清原とFW佐藤和弘とMF秋葉の3人が昨オフに退団した影響は非常に大きかった。