■ 鳥栖スタジアムある筋からの情報によると、西日本最高のスタジアムという評判の佐賀県の鳥栖スタジアム。鳥栖駅についてびっくり。ある程度の規模の大きさのJRの駅の目の前に、サッカースタジアムがあるのは、ここだけだろう。
J2第29節。ホームのサガン鳥栖は、13位の徳島ヴォルティスと対戦。J1昇格争いの仲間から外されないためにも、どうしても「勝ち点3」が欲しい試合である。


■ 新加入のふたり鳥栖は、C大阪からFW金信泳をレンタルで獲得。今シーズン、韓国の漢陽大学からC大阪に加入した新外国人フォワードで、いきなり背番号10を与えられるなど大きな期待を受けていたが、FW小松やFWデカモリシの台頭で、出番は限られており、心機一転の移籍となった。
対する徳島も、実質、FW羽地との交換トレードの形でFW長谷川太郎をヴァンフォーレ甲府から獲得。2005年にJ2で17得点を挙げたストライカーに、得点力不足打開を託す。
ともに、新天地でのデビュー戦となったこの試合で、金信泳は、エース藤田と2トップを組み、長谷川は小林と2トップを組んで先発出場した。
■ ひやひやの勝利試合は、序盤から、予想に反して、徳島がボールを支配する。MFダシルバを中心とした、パスワークが鳥栖のプレッシャーをかいくぐっていく。対する鳥栖は、2トップの藤田と金のところで、まったくボールがおさまらず、苦戦を強いられる。しかしながら、前半27分にコーナーキックからPKを獲得すると、FW藤田が落ち着いて決めて先制。藤田は、今シーズン、13得点目となった。
後半も、徳島が優勢だったが、徳島もなかなかシュートまではつなぐことができない。すると、鳥栖は、後半19分に、負傷交代したFW金に代わって、途中投入されたMF広瀬のドリブルの仕掛けから、MF高地が左足でファインミドルを決めて追加点を挙げる。
試合終了間際に、徳島のFW片岡がループシュートを決めて1点差に迫り、さらに、ロスタイムには、FW長谷川が決定的なシュートを放つなど、最後は、ひやひやの展開となった鳥栖だったが、なんとか、2対1で逃げ切って、勝利をおさめた。

■ 注目の鳥栖の2トップ注目された2トップ。鳥栖は、185cmの藤田と186cmの金という大型の2トップとなったが、役割分担が明確でなく、出来はいまひとつだった。2トップにくさびのパスが入っても、サポートが少なくボールを失うケースが目立ち、全体が押し上げられない要因になっていた。
特に、金のプレーは、散々だった。セットプレーからPKを獲得したものの、プレーが雑で、チームのリズムを崩した。
とはいっても、まだ、チームに加入して数日しかたっておらず、金も、ところどころでは、高いポテンシャルを秘めていることを想像されるだけのものは見せた。時間をかけて育てていければ、元韓国代表のFW黄善洪のような大型選手に育つ可能性は秘めている。前線の層の薄い鳥栖としては、金が戦力として計算できるようになると大きい。
一方の藤田も、PKで1得点を挙げたが、シュートはわずかに2本で、相手の脅威にはなれなかった。185cmの体格で、あれだけ動き回って献身的な仕事の出来るフォワードは、それだけで希少価値がある。同じ長身の金との2トップになって、ゴール前以外での藤田の仕事量が減って、より得点を挙げることに専念できるようになれば、日本人得点王も見えてくる。
■ サイドハーフの弱さ鳥栖のシステムは、<4-2-2-2>。2トップに長身の選手がいるので、サイドアタックを仕掛けて、サイドからクロスボールをたくさんあげたいところだが、右の清水、左の野崎がなかなかサイドを突破できず、サイドバックの攻撃参加を促すようなキープを見せられずに、不完全燃焼に終わった。
このポジションには、サイドアタッカータイプではないが、MF山口貴之、MFユン・ジョンファンがいるが、ベテランの彼らに多くを望むことが出来ないので、若手選手の躍進に期待したいところだが、現状では、苦しい状況である。
■ 高地のテクニックこの試合のMOMは、高地だろう。前半のボールがつながらないときにも、高地の技巧がチャンスを演出し、後半も、苦しい状況で、追加点となるミドルシュートを決めた。
出来れば、そのテクニックを、もっと攻撃的な位置(左サイドハーフ)で起用したいところだが、高地の代わりにボランチがこなせる選手がなかなかいないので、仕方がないか。
■ パスワークのさえた徳島対する徳島の出来は、鳥栖よりも良かった。中盤の核となったMFダ・シルバに加えて、MF熊林とMF塩川の技巧がさえて、見事な連携でパスを回していった。
ただ、鳥栖に比べるとアタッキングエリアでのアイディアと精度に欠けて、なかなか得点チャンスを奪えなかった。結局、最後の段階では、個人の技術が必要となるので、個々のレベルアップを図って欲しい。
新加入のFW長谷川は、スピードを生かした裏への飛び出しから、後半に2度、決定機をつかんだ。いずれも、決まっていれば、同点となるゴールだったので、逸機は痛恨だったが、今後、間違いなく戦力になるだろう。
■ 徳島の歩むべき道徳島は、現在13位だが、この試合で見せたサッカーの質は、その順位を感じさせないものだった。
数年前は、J2で下位争いをしていたヴァンフォーレ甲府や横浜FCが、現在、J1で戦っており、サガン鳥栖もJ1昇格をうかがう位置につけている。現戦力では、徳島ヴォルティスのJ1昇格の可能性はほとんどなく、来シーズンや再来シーズン終了後のJ1昇格の可能性も乏しいといわざる得ない。
だが、この試合のよう、内容のある試合を続けていければ、いつか、J1に昇格するチャンスが訪れるだろう。それまでは、地道に、チーム力をあげていくしかない。

■ 鳥栖での夜に感じたことこの試合の観衆は、4533人。これを多いと取るか、少ないと取るかは、人それぞれだが、裏で、アジアカップの日本代表の試合(オーストラリア戦)が行われているにもかかわらず、鳥栖のスタジアムに駆けつけた人は、それだけ、サガン鳥栖、あるいは、徳島ヴォルティスを愛しているのだろう。
鳥栖スタジアムは、噂どおり、いやいや、噂以上に、すばらしいスタジアムだった。観客席とピッチの近さは尋常ではなく、アクセスも抜群。この試合では、鳥栖のU18の選手たちがボールボーイをつとめていて、試合前には、小学生がピッチ上で前試合を行っていたが、子供のころから、これだけのサッカー専用スタジアムで、プロの試合を見られる子供たちは、幸せである。いつか、きっと、鳥栖からも、世界に名をとどろかせるだけのサッカープレーヤーが誕生することだろう。
この日、かつて、瀕死の状況にまで陥ったサガン鳥栖が、これだけの熱いサポートを受けて勝利をおさめた。
今、サガン鳥栖に代表されるように、地元のサポーターに支えられた数多くのサッカークラブが誕生し、発展を続けている。東京や大阪や名古屋のような大都市圏だけでなく、日本全国の至るところで、「サッカー」が浸透してきていることを感じる。
この現象って、もしかしたら、日本代表がアジアカップの準々決勝でオーストラリアを撃破したことと同等か、もしくは、それ以上の価値をもつのではないだろうか。

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ありがとうございます、参考になりました!鳥栖は残念な女社長の頃、暗黒時代があり、応援やサッカー観に影響あるかもしれません。あまりにも合わせられんので外人選手はCKから殆ど直で狙ってたものです。(ちなみにJ創世紀マリノスにいたビスコンティです)ぜひまた鳥栖へ来てください。九州は熊本、沖縄、長崎からJの芽が出てきてますよ。(長崎は国見の小嶺監督選挙出馬がきな臭いんですが・・)
>>> ワッキーリグさん
鳥栖は、非常にいいところでした。また、おじゃまします。
ご質問の件ですが、箇条書きで書かせていただきます。
・売店のホットドックのウインナーが長すぎ。持ち運びにくい。でも、おいしかった。冷めていたのは残念。
・カキ氷の蜜が少なくて、味がほとんどしなくて残念。
・鳥栖のCKでの、盛り上がり方が異常。(そんなに得点率が高いのかな?)
・後ろに座っていたおじさんが、うるさかった。鳥栖の選手がボールをキープしていると、いつも、「はやくボールを離せ。バカモノ。」と叫んでいた。そんなんじゃ、鳥栖から、ドリブラーは生まれないよ・・・。
・メインスタンドもいいけど、バックスタンドも見やすそう。
・場内放送が聞こえにくかった。また、試合後の、岸野監督のインタビューも、スタジアム内には流れていなかったのが残念。
・MF野崎選手陽介選手のご親族が、三重県から来られていました。前列の左側に座っていて、彼のプロデビュー戦を見守っていました。野崎選手のプロサッカー人生に幸あれ!!!(ドリブルに光るものはあるヨ。)
こんな感じでしょうか。他のスタジアムの印象を挙げると・・・。
フクアリ → 綺麗で幻想的。見やすい。
味スタ → U自由席の方が、チケット代が高いのが謎。
豊スタ → 傾斜が急すぎて、転げ落ちそう。
ヤマハ → 逆サイドのタッチラインが見えない!
さいスタ → スタジアムまでの屋台が連なる通りが楽しい。
横国 → でかい。ハーフタイムでもトイレが混まないのはすごい。
日本平 → 普通に、民家の庭にみかんがなっているのが驚き。
瑞穂 → グランパスの応援は、好きだな。
小瀬 → 一体感がすごい。でも、駅から遠い。
等々力 → ジュニーニョを見たいのに・・・。
国立 → 聖地。食べ物がいまひとつ。
長居 → メチャメチャきれい。
平塚 → 観客のレベルが高い!!!
ビッグアイ → 開放感あり。
エコパ → 見やすかった。
西京極 → 西京極のSバックが、一番落ち着く。
一つ目の名前文字バケしてますが私が書きました。もし良かったら教えてください。サガン鳥栖のサポがどう映ったかと、他のスタジアムやサポで特に印象深い感想があったら教えてください。J2の試合がTV視聴、アウェー観戦共に難しい環境なもので、じじさんを通した雰囲気を知りたいです。
私も同日観戦してました。鳥栖スタまで来られるバイタリティ、尊敬します。代表戦の日にスタジアムへ足を運ぶ各Jサポの皆さんが今後の代表を育てる礎となっていくのでしょう。鳥栖スタは私達の財産、大事にしていきます。
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