■ J2の開幕戦J2の開幕戦。昇格1年目のJ3で36試合で96得点と驚異的な得点力を見せて2代目のJ3王者に輝いたレノファ山口がホームの維新百年記念公園陸上競技場でファジアーノ岡山と対戦した。両チームは中国リーグでしのぎを削った時期がある。山口にとってはJ2のデビュー戦となる。長澤徹監督が就任して2年目となる岡山はオフにFW赤嶺とMF豊川を獲得。「プレーオフ進出」が今シーズンのクラブの目標となる。
ホームの山口は「4-2-3-1」。GK一森。DF小池、北谷、宮城、香川勇。MF庄司、望月、鳥養、福満、島屋。FW岸田。主力のほとんどがチームに残った山口は名古屋から期限付き移籍のMF望月がボランチの一角でスタメン出場。新潟に復帰したMF小塚の後釜として大きな期待がかかっている。エースのFW岸田は2015年はJ3で34試合で32ゴールと大活躍した。FW岸田は大分トリニータの下部組織出身となる。
対するアウェイの岡山は「3-4-2-1」。GK中林。DF澤口、岩政、竹田忠。MF島田譲、矢島慎、田中奏、片山瑛、豊川、伊藤大。FW赤嶺。注目の新戦力のFW赤嶺が1トップの位置でスタメン出場。1月に行われたU-23アジア選手権で大活躍して注目度が劇的に高まったMF矢島慎とMF豊川の五輪代表コンビが揃ってスタメン出場。エースのMF押谷はベンチスタートとなった。右ストッパーにはDF澤口が起用された。
■ レノファ山口の初陣は1対1のドロー試合は開始5分にホームの山口が先制する。中盤でボールをインターセプトしたMF福満が相手2人をドリブルでかわして右前方のFW岸田にボールが渡るとエースのFW岸田にはシュートを打てるチャンスがあったが横にいたMF島屋にパス。フリーのMF島屋が決めて山口が先制に成功する。山口は記念すべきJ2初ゴールとなった。このゴールでスタジアムは大いに盛り上がった。前半は1対0と山口がリードして折り返す。
迎えた後半7分に岡山は左サイドのCKを獲得すると相手のクリアボールを五輪代表のMF矢島慎が思い切って右足でシュート。強烈なシュートがあっという間にネットに突き刺さって岡山が1対1の同点に追いつく。山口のキーパーのGK一森は一歩も動けなかった。その後は追いついた岡山がペースを握る。後半26分にはMF伊藤大のCKからDF岩政がヘディングで狙うが惜しくもポスト直撃で逆転ゴールとはならず。
やや劣勢の展開になった山口は後半32分にカウンターから3対1に近い大チャンスを迎えるがパスを選択することはなかったMF福満のシュートは勢いがなくてキーパーに止められてしまう。さらに後半45分にはMF福満のスルーパスから新加入のMF星雄次がキーパーと1対1のチャンスを迎えるが判断良く飛び出してきたGK中林が防いで逆転ゴールとはならず。結局、試合は1対1のドロー。ともに勝ち点「1」を獲得した。
■ 「力を出し切れた。」とはいえず。J2デビュー戦となった昇格1年目の山口はドロー発進となった。悪くない出だしと言えるが持ち味を出せたとは言い難い。昨シーズンはカウンターからも結構な数のゴールを奪っているが一番ウリは中盤でボールを回しながらテンポアップできる瞬間を探しながら複数人が連動したコンビネーションで崩すサッカーである。遅攻になったときに山口らしいパスワークで決定機を作るシーンはほぼ無かったと言える。
2015年は失点数がリーグで3番目に少なかった岡山の守備は非常に良かった。ボールを受けた山口の選手が困るシーンは少なくなかった。当然のことながらJ2とJ3では対戦相手のレベルが異なる。J1とJ2の差は年々縮まってきているがアマチュアの選手も含まれるJ3とJ2の差はまだ大きい。「何だかんだでJ2はかなりレベルが高い。」と感じた選手あるいはサポーターが多かったのではないかと思われる。
ただ、先制ゴールはらしかった。中盤でMF福満がボールをカットしてドリブルで攻め込むと2人目の相手をかわそうとしたボールがちょうどFW岸田のところにこぼれた。FW岸田にはシュートを打てるチャンスがあったが横でフリーになっていたMF島屋にパスを送ってゴールイン。完全に相手の守備陣を崩し切った。ショートカウンター気味の攻撃だったがこういう崩しきった末のゴールは昨シーズンは多くみられた。
ポジティブ要素は1トップのFW岸田のところによくボールが収まっていたこと。孤立する場面は少なくなかったが確実にボールをキープして前線で起点になった。シュート技術や嗅覚など「得点」に関する部分ではJ2でも問題なく通用すると思うが1トップの選手なので起点になる仕事も期待される。「それ以外の部分」でどこまでやれるのか?は未知数な部分はあったが高確率でボールをおさめることができていた。
■ 違いを見せた新しい10番のMF矢島慎也岡山はJ2に昇格してきたばかりの近隣クラブとの対戦となった。勢いに乗る後発クラブの山口との試合は大きなプレッシャーがかかったと思うが内容的には岡山の方が少し良かった。立ち上がりに山口らしい攻撃から失点を喫したのでマズい展開になったかに思えたが、その後、岡山は五輪代表のMF豊川を中心に持ち直した。MF豊川は後半12分にMF押谷と交代でベンチに下がったが出来としてはまずまず良かった。
J2に昇格して早くも8年目となる岡山は一昨年のオフにDF岩政、MF加地、MF矢島慎が加入して、昨オフはFW赤嶺とMF豊川が加入。(五輪代表の2人は期限付き移籍ではあるが)徐々にタレントが揃いつつある。GK中林、MF押谷、MF片山瑛なども健在なので、今シーズンは「チャンスのシーズン」と言えるだろう。センターラインに経験豊富な選手が多くてチームの軸が固まってきたのは大きなストロングポイントと言える。
U-23アジア選手権の決勝の韓国戦で1ゴール1アシストの大活躍でヒーローの1人になったMF矢島慎が同点ゴールを記録した。手倉森JAPANでは2列目で起用されているが岡山ではボランチでプレーする。今シーズンは10番を背負っているが、当然のことながら、注目度が上がると周囲の見る側の要求は厳しくなる。いいプレーができなかったときはもちろんのこと、チームとして結果ができなかったときも10番は批判される。
少なくともリオ五輪の本番まではタフな環境でプレーすることになるが、逆にそういう中でいいプレーができると評価は急激に高まる。山口の選手もMF矢島慎のことを最も警戒していたと思うが「違い」を感じさせるプレーが多かった。後半7分の同点ゴールは圧巻。キーパーのGK一森がまったく反応できない弾丸シュートだった。昨シーズンと比べても落ち着いてプレーできており風格も感じられるようになってきた。
言うまでもなく18人枠を巡る争いは激しい。2列目に関しては特に競争が激しくて「現時点で当確」と言える選手はゼロ。エースのMF中島翔でさえ、今シーズンも所属のFC東京で十分なプレー時間を得られなかったら本大会のメンバーから外れる可能性がある。MF矢島慎も同様。レギュラーは確保しつつあるので岡山でレギュラー落ちする可能性は低いがMF関根貴、MF金森、MF鎌田などもライバルになる。安泰ではない。
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