■ 約10年ぶりとなるイランとの試合親善試合のイランと日本の試合がイランの首都のテヘランにあるアザディ・スタジアムで行われた。イランのFIFAランキングは39位で日本は55位。アジアカップの予選はFIFAランキングのポイントを稼ぐ絶好の機会となるが、日韓豪の3か国はアジアカップ2015の予選が免除されたのでポイントを稼ぐことが出来なかった。それもあって日韓豪の3か国よりもイランのFIFAランキングが上。アジアでは最上位となっている。
日本は「4-2-3-1」。GK西川。DF酒井高、吉田、森重、米倉。MF長谷部、柴崎岳、本田圭、香川、宇佐美。FW武藤嘉。直近のシリア戦(N)からDF槙野とDF長友とMF山口蛍とMF原口とFW岡崎慎が外れてDF森重とDF米倉とMF柴崎岳とMF宇佐美とFW武藤嘉の5人がスタメンで起用された。連続スタメンはGK西川とDF酒井高とDF吉田とMF長谷部とMF本田圭とMF香川の6人だけ。かなりメンバーを入れ替えてきた。
ベンチスタートになったのはGK東口、GK六反、DF丹羽大、DF槙野、DF長友、DF塩谷、MF柏木、MF清武、MF山口蛍、MF原口、MF南野、FW岡崎慎の12人。親善試合なので6人まで交代が認められている。オーストリアのザルツブルクで活躍中のMF南野は出場すればフル代表のデビュー戦となる。他には仙台のGK六反もAマッチの出場経験は無い。浦和のMF柏木と広島のDF塩谷は久々の日本代表選出となった。
■ 武藤嘉紀のゴールで追いついてドロー試合の前半はどちらかというとホームのイランのペースとなる。日本は要となるMF本田圭やMF香川のところで全くボールがおさまらず。この日も思うようにボールが走らないピッチコンディションに苦戦してパスワークから決定機を作ることが出来ない。すると前半終了間際にエリア内でDF吉田が不用意なファールでPKを献上。最初のシュートはGK西川がセーブしたが、こぼれ球を押し込まれてイランが先制する。
後半開始から日本は精彩を欠いたトップ下のMF香川に代えてMF清武を投入。すると後半3分に右サイドのMF本田圭のクロスを相手キーパーがパンチングでクリアしようとしたボールがゴール前に飛び込んできたFW武藤嘉の体に当たってゴールイン。ラッキーな形で日本が1対1の同点に追いつく。FW武藤嘉は約1年前となるアギーレジャパン時代のベネズエラ戦(H)以来で代表通算2ゴール目となった。
後半13分にはカウンターからFW武藤嘉が抜け出してキーパーと1対1のチャンスを得るが、FW武藤嘉のドリブルが少し長くなったところをキーパーにつつかれてゴールに結びつけることが出来ない。終盤になると途中出場のMF柏木を起点にいい形を作りかけたが決定的なチャンスは作れず。結局、1対1のドローに終わった。イランとの対戦成績はトータルで5勝6敗5分け。アウェイでは0勝1敗2分けとなった。
■ 収穫は武藤嘉紀の1トップに目途がついた点ロシアW杯の二次予選のヤマ場と言えたシリア戦で3対0と勝利した日本代表。精神的に余裕が出てきたのでどういうスタメンになるのか?が注目されたが、結構、メンバーを入れ替えてきた。軸の選手はそのままで、枝葉の部分をほぼ代えてきたが、1トップで起用されたFW武藤嘉がゴールという結果を出したことが最大の収穫と言える。ゴール自体はラッキーなゴールだったが、久々となる代表戦でのゴールだった。
ハリルホジッチ監督は「1トップの候補はFW岡崎慎とFW武藤嘉の2人である。」と事前に語っていたが、FW武藤嘉の方が高さがあってスピードもある。アウェイでのイラン戦のように五分以下の展開になることが予想されるときは単独でも突破が出来て、かつ、ロングボールを蹴り込んだとしてもある程度はマイボールにできる可能性があるFW武藤嘉を1トップの位置で起用した方がベターであるとも考えられる。
幸いにも移籍先のマインツでは最前線でプレーする機会が多くなっているが、FC東京時代と比べると競り合いにかなり強くなった印象で、アバウトなボールに対して競り勝って味方につなげるシーンが増えている。もちろん、まだまだ不慣れなところはあると思うが、「強豪のイランを相手にFW武藤嘉の1トップがある程度は機能したこと」はハリルジャパンと日本代表のこれからを考えるとかなり大きなことである。
当然、FW岡崎慎の得点力は魅力的である。「これだけ国際試合で結果を残してきたFW岡崎慎をスタメンから外すのは勿体ない。」というのも間違いないが、カウンター中心の攻撃にならざる得ないときはFW岡崎慎の1トップだと苦しいのはこれまでの数試合でなんとなく分かってきたことである。FW武藤嘉の1トップがオプションの1つになり得ることが分かったことに関してはハリルホジッチ監督も満足しているだろう。
■ 代表デビューの南野拓実には見せ場なしメンバー交代が6人まで認められていることもあってMF清武、MF原口、FW岡崎慎、MF柏木、DF丹羽大、MF南野の6人が途中出場でピッチに立ったが、この中ではMF清武とMF柏木はまずまずだった。MF香川の出来が非常に悪かったのでMF清武は後半の頭から登場したが、MF清武が良い所でボールを受けたとき日本代表はチャンスになりかけた。0対1という難しい状況で投入されたが役割はしっかりとこなした。
MF柏木は後半27分にMF柴崎岳に代わってピッチに送り出されたが、積極的にミドルパスを出してリズムを作った。ハリルホジッチ監督はダイナミックに展開することを期待しているのでミドルパスの精度が高くてアイディアもあるMF柏木というのはハリルホジッチ監督のサッカーに合った選手と言えるのかもしれない。左利きのプレイスキッカーとしても魅力があるMF柏木はまずまずのアピールが出来たと言える。
右SBで起用されたDF丹羽大もなかなか良かった。DF酒井高の代わりでそのまま右SBに入ったが、DF丹羽大が入ってから右サイドの守備が安定するようになった。イランの選手が疲れてきて単調な攻撃になりつつあった時間帯だったことも関係しているが、DF丹羽大の投入は効果的だった。いろいろなポジションでプレーできて、かつ、戦える選手なので、ハリルホジッチ監督のお気に入りになっている。
注目のMF南野は後半43分にFW武藤嘉に代わって投入されたがほとんど見せ場は無かった。FW岡崎慎が入った後はFW武藤嘉は右サイドに回っていたのでMF南野はそのまま右サイドに入ったが、FW武藤嘉はかなり効いていたので下げにくい状況だった。それ故にMF南野の出場時間は短くなってしまったが、ツータイミングほど早く使ってどの程度のプレーができるのか?を見たかったというのが正直なところである。
次は11月12日にアウェイでシンガポールと対戦して、11月17日にも同じアウェイでカンボジアと対戦するが、言うまでもなく、シンガポールとは6月に埼玉スタジアム2002で対戦した時はスコアレスドローに終わっている。日本の選手のモチベーションは非常に高いはずで、同じ失敗を繰り返すことは考えにくいが、シンガポールはここまで3勝1敗1分けと好成績を残している。当然のことながら、油断は禁物である。
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