■ 伝統のルール・ダービーブンデスリーガの第12節。8勝1敗2分けで勝ち点「26」のボルシア・ドルトムントはホームのシグナル・イドゥナ・パークでライバルのシャルケと対戦した。シャルケは6勝3敗2分けで勝ち点「20」。まずまずのスタートを切っている。ドルトムントは8節で首位のバイエルン・ミュンヘンに1対5で大敗した後は公式戦6連勝中。6試合で計24ゴールと爆発力が戻ってきた。ELのFKガバラ戦(H)から中2日での試合となった。
ホームのドルトムントは「4-1-4-1」。GKブルキ。DFギンター、パパスタソプーロス、フンメルス、シュメルツァー。MFヴァイグル、カストロ、ギュンドガン、香川真司、ムヒタリアン。FWオーバメヤン。ミッドウイークに行われたELの4節のFKガバラ戦は休養もあってベンチスタート。試合に出場しなかったMF香川はリーグ戦では12試合連続スタメンとなった。ここまでの11試合で2ゴール6アシストを記録している。
対するアウェイのシャルケは「4-2-2-2」。GKフェーマン。DFジュニオール・カイカラ、ノイステッター 、マティプ、アオゴ。MFゴレツカ、コラシニク、ディ・サント、メイヤー。FWサネ、フンテラール。 DF内田篤は6月上旬に受けた右膝膝蓋靱帯の手術の影響で長期離脱中。「順調に行けば12月上旬には復帰できるだろう。」と言われている。19歳のFWサネは先日発表されたドイツ代表に初召集された。
■ 3対2でドルトムントが逃げ切ってダービーを制する。試合は立ち上がりからドルトムントがボールを保持したが、シャルケの守備が堅くてなかなかチャンスを作れない。序盤はやや膠着した展開になったが、前半30分に右サイドをDFギンターとMFカストロのコンビで崩して右SBのDFギンターが中央にクロスを入れるとゴール前で待っていたMF香川が頭で豪快に合わせてドルトムントが先制に成功する。MF香川はリーグ戦では今シーズン3ゴール目となった。
しかし直後の前半33分にDFフンメルスの不用意な縦パスをカットしたシャルケがカウンター。右サイドの裏を取ったFWサネの折り返しをオランダ代表のFWフンテラールが決めて1対1の同点に追いつく。あっさりと追いつかれたドルトムントだったが、前半43分にMFムヒタリアンのCKからDFギンターが頭で合わせて2対1と勝ち越しに成功する。評価が急上昇中のDFギンターは1ゴール1アシストの大活躍だった。
2対1とリードして前半を折り返したドルトムントはさらに後半3分にもショートカウンターからMFカストロのパスを受けたFWオーバメヤンが決めて3点目。FWオーバメヤンは今シーズン14ゴール目となった。ドルトムントが3対1とリードを広げたが、後半26分にシャルケはDFパパスタソプーロスのクリアミスからFWフンテラールが決めて1点差に迫る。エースのFWフンテラールはこの日は2ゴールの活躍だった。
その後、シャルケに同点のチャンスがあったがシュートがポストに当たる不運もあって同点ゴールは奪えず。ドルトムントもたくさんあった4点目のチャンスを生かせなかったが、3対2で逃げ切って公式戦は7連勝となった。MF香川は伝統のダービーで印象的なプレーを見せた。この後はW杯予選が待っているので日本代表に合流することになるが、まずは11月12日(木)にアウェイでシンガポールと対戦する。
■ 内田篤人の復帰も間近か!?基本的にはドルトムントのペースだったがこの日のドルトムントは両CBがやや不安定だった。失点シーンはともにCB陣のミスが原因だったので勿体ない失点の仕方ではあったが、3対2で宿敵のシャルケを下した。バイエルンに1対5で大敗した試合の前後の数試合はチームとしての歯車が狂っていたが、再び、連勝街道を突っ走っている。首位のバイエルンとの差は「5」。何とか食らいついている。
ドルトムントにはMF香川がいて、シャルケにはDF内田篤がいるので、ルール・ダービーはドイツ国内のみならず、日本国内でも注目度の高い試合であるが、両者が揃っていい状態でスタメン出場するケースはほとんどない。どちらかが怪我をしていて肩透かしに終わるケースがほとんどなので、来年の4月9日(土)にシャルケのホームで行われる2戦目はともにスタメンで出場してマッチアップすることを期待したい。
長期離脱中のDF内田篤は「ようやくボールを使ったトレーニングを始めた。」という話なので復帰時期がそろそろ近づいてきた。この日はブラジル出身のDFジュニオール・カイカラが右SBでスタメン出場したが攻守ともにあまり見せ場は無かった。戻ってきたらポジション争いが待っているが、ドイツで早くも6年目。経験値は高くなっているのでDF内田篤の復帰を待ち望んでいる人はたくさんいるだろうと思われる。
■ 苦手な(?)ヘディングでのゴールこの日も「4-1-4-1」のインサイドハーフでプレーしたMF香川は前半30分に先制ゴールをマークした。その少し前にMF香川が左サイドの裏に飛び出して行って中央にグラウンダーのクロスを入れてFWオーバメヤンのシュートシーンを引き出した場面がこの試合におけるドルトムントの最初のチャンスと言えたのでボールを保持している割には決定機を作れていなかったが、良い時間帯で先制ゴールを奪うことが出来た。
「MF香川はヘディングが苦手」というイメージは完全に定着している。日本代表に初招集されて間もない時期の2008年6月に日本代表の岡田監督から「プロ選手なのにヘディングができないヤツがいるんだ。教えていたわけじゃないよ。バカにしていただけ。」とからかわれて「居残り練習」を命じられたことが大きな記事になったことが原因の1つだと思われる。一度、付いたイメージというのは簡単には消えない。
ただ、ヘディングでのゴールが珍しいかというと決してそういうわけではない。むしろ、C大阪時代から年に1・2回程度はヘディングでネットを揺らしている。中盤の繋ぎのところでヘディングを用いることもあるが、ヘディングの精度自体は中盤のアタッカータイプとしてはむしろ高い方である。(※ 「プロ入り後、公式戦でヘディングシュートを決めたことはほとんど無い。」という中盤の選手は少なくない。)
■ 好調なままで日本代表に合流する香川真司ヘディングの技術はこの手のタイプの中ではむしろ高い方だと思うが、そうは言っても、そもそもとして身長が低くて、公式戦において空中戦を競る機会自体があまり多くない。なので「ヘディングは苦手」というイメージになるのは仕方がないが、フリーに近い状態になっていたらある程度は思い通りにコントロールできている。(※ 中盤でほぼイーブンになった空中のボールに競り勝つシーンも決して珍しくはない。)
前半30分の先制ゴールのシーンは最近では観たことが無いほど喜びを爆発していたが、それだけルール・ダービーに賭けていたものがあったのだろう。3対1とリードした後はかなり低めのポジションを取ったのでシュートチャンスはほぼ無かったが、この日は守備面での貢献度が高かった。不安定だった両CBをサポートするシーンが非常に多くて大人なプレーを見せた。攻守に渡って貢献度は非常に高かった。
前回、日本代表に合流した時は初戦のシリア戦(N)で2点目のゴールをアシストしたが、2試合目のイラン戦(A)は散々な出来だった。前半のみで交代となったが、この時期はチームとしても個人としてもあまり良くない流れだったが、今度はかなりいい状態で日本代表に合流することができる。FW武藤嘉とMF清武も好パフォーマンスを続けているので、この3人が同時に出場するようなことがあると面白くなるだろう。
会見の席でハリルホジッチ監督は「MF香川とMF清武はポジション争いのライバル」という趣旨の話をしていたが、今度の2試合はともに日本代表がボールを保持して攻め込む展開になるのは確実。MF長谷部あるいはMF山口蛍あるいはMF遠藤航をアンカーにおいて、MF香川とMF清武の2人をインサイドハーフに並べるのは非常に面白いと思う。日本代表も少し余裕が出てきたのでいろいろなことを試してもらいたい。
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