■ 日本代表メンバー25名が発表6月11日(木)に行われるキリンチャレンジカップ2015のイラク戦(H)と6月16日(火)に行われるロシアW杯の2次予選の初戦となるシンガポール戦(H)の日本代表メンバー25名が発表された。ハリルホジッチ監督が就任してからはイラク戦が3試合目となるが、G大阪のDF丹羽大、川崎FのMF谷口彰、ヘルタ・ベルリンのMF原口、ケルンのFW大迫あたりを召集している点が目に付くところである。
川崎FのMF谷口彰は3月末の代表戦のときはバックアップメンバー止まりで、5月の代表候補合宿のときに初の代表候補選出となったが、今回は「候補」という部分が取れて正真正銘の初代表となった。同じくG大阪のDF丹羽大も5月の代表候補合宿のときに初めて代表候補に選出されたが、このたび正真正銘の初代表となった。ということで、25名の中で「初代表」と言えるのはMF谷口彰とDF丹羽大の2人である。
DF丹羽大の選出はちょっとしたサプライズと言える。CBの選手では広島のDF水本とDF塩谷、神戸のDF岩波、鹿島のDF植田直も5月の候補合宿に召集されている。日本代表での実績等を考えるとDF水本やDF塩谷、高さと若さを考慮するとDF岩波やDF植田直の方が上となる。フィールドプレーヤーではMF長谷部に次ぐ2番目の年長者となるDF丹羽大を選んだことはハリルホジッチ監督の特徴的な選考の1つと言える。
■ 長きにわたった期限付き移籍初めて日本代表に選出されたG大阪のDF丹羽大は相当な苦労人である。「頭脳派のディフェンダー」と言われることが多いが、若い頃は同じG大阪ユース出身で先輩に当たる元日本代表のDF宮本と比較されることが多かった。キャプテンシーがあって、年代別代表の常連だったことも2人の共通項。「将来のG大阪の守備の要」と期待されたが、層の厚いG大阪のトップチームでチャンスをつかむことはできなかった。
2007年には当時はJ2の中でも弱小クラブだった徳島に移籍。ここではボランチのポジションでかなりの試合経験を積んで、2008年はJ1の大宮に期限付きで移籍したが、大宮でも出場機会を得られず。2008年途中に今度はJ2の福岡に移籍すると、以後、2011年まで福岡で守備の要として活躍した。2010年にはチームのJ1昇格に大きく貢献。ただ、この間、ずっとG大阪から福岡への期限付き移籍という形だった。
結局、徳島に移籍した2007年から福岡でプレーした最終年となる2011年までずっと期限付き移籍だった。都合、5年間。今シーズン、湘南から柏に復帰したMF武富は2011年から2014年まで4年間、期限付き移籍という形で熊本&湘南で修業を積んだが、おそらく、Jリーグが誕生してから5年間という長期間、期限付き移籍を続けた選手は他にいなかったと思う。非常にレアなキャリアを歩んできた選手と言える。
■ G大阪のフロントの先見性近年では期限付き移籍が「片道切符」になることが増えているので、「期限付き移籍先で活躍できなくてシーズン終了後に契約満了になる。」というケースも目立つ。したがって、シビアな環境になってきているが、「期限付き移籍先で活躍できなくても戻れるクラブがある。」という心理がマイナスに働くこともあるので、退路を断つために「完全移籍」を希望するクラブや選手が目立っている。
当然、レンタルで選手を貸し出しているときは元クラブ(=今回で言うとG大阪)にいくらかのレンタル料は入ってくるが、大した金額にはならないだろう。どこかのタイミングで期限付き移籍先の福岡であったり、その他のクラブに売ってしまうという手もあったと思うが、G大阪のフロントはDF丹羽大を保有し続けることを選択した。「当時のG大阪のフロントには先見性があった。」と評価されるべきだと思う。
日本代表に選ばれるような選手というと、MF香川のように飛び級で年代別代表に選ばれ続けて来た選手であったり、DF内田のようにエリート街道を突き進んできた選手であったり、FW原口やFW宇佐美のように小学生や中学生の頃から「天才サッカー少年」と呼ばれてきた選手が多くなるが、プロ入り後、なかなか自分の居場所を見つけることが出来ずに苦労してきたDF丹羽大のような選手にもチャンスはある。
■ なぜ、DF丹羽大輝を選んだのか?他にもいくつかの選択肢がある中、なぜ、ハリルホジッチ監督はDF丹羽大を選出したのか?いくつかの理由が考えられる。当然、昨シーズンならびに今シーズンのDF丹羽大のパフォーマンスが優れているというのも1つの理由で、空中戦の強さなど分かりやすい要素だけでなく、「クレバーさや球際の強さといった部分をCBの選手に特に期待している。」ということも1つの理由に挙げられる。
また、ACLの舞台で活躍して、「対外国人選手」でも十分にやれることを証明したことも今回の代表入りにつながっていると思うが、個人的にはDF丹羽大という選手の「類稀なリーダーシップ」をハリルホジッチ監督は高く評価しているのではないかと思う。若年層の日本代表で活躍していた時から仲間を引っ張っていく能力を高く評価されていたが、実際に候補合宿に選出してその点に惹かれたのではないかと思う。
もちろん、日本代表に呼ばれるような選手たちは1人1人が自覚を持って試合やトレーニングをこなさなければならないが、やはり、個人差はある。「毎度、全員が高い意識を持って取り組む。」というのはなかなか難しい。なので、DF丹羽大のように試合中にチームメイトを鼓舞することができたり、サブに回ったときもモチベーションを落とすことなく練習に取り組むことができる選手というのは貴重である。
ハリルホジッチ監督が浦和のDF槙野を重宝しているのも似たような理由があると思う。DF槙野という選手はお調子者なので、その言動を好ましく思っていないサッカーファンは少なくないが、真摯にサッカーに取り組むことができる選手で、かつ、天性のムードメーカーである。1つの集団としてベストのパフォーマンスを発揮するためにどういう選手を選べばいいのか?をよく考えている監督だと思う。
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