■ J1の第6節J1の第6節。2勝3分けで勝ち点「9」。4位と好スタートを切ったベガルタ仙台(4位)がホームのユアテックスタジアム仙台で川崎フロンターレと対戦した。川崎Fは2勝1敗2分けで勝ち点「8」。6位とまずまずの位置に付けている。3節は昇格チームの山形にアウェイで0対1で敗れたが、負けたのはこの1試合のみ。G大阪と並んでリーグ最多となる10ゴールを記録するなど今シーズンも攻撃陣は期待通りの結果を残している。
ホームの仙台は「4-2-2-2」。GK六反。DF多々良、鎌田、渡部、石川直。MF梁勇基、富田、茂木駿、野沢。FW奥埜、ウイルソン。右SBはレギュラーのDF菅井が怪我で離脱しているので、松本山雅から加入したDF多々良が2試合連続スタメンとなった。本職はCBの選手なので仙台の最終ラインは「CBタイプの選手が4人並ぶ形」と言える。右SHはユース出身で1年目のMF茂木駿が開幕からスタメン起用されている。
対する川崎Fは「3-1-4-2」。GK西部。DF武岡、角田、谷口彰。MF中村憲、エウシーニョ、森谷、大島僚、車屋。FWレナト、大久保。試合前は「4-1-4-1」と予想されたが、ふたを開けてみると最終ラインは3枚で、「3-1-4-2」のような布陣だった。MF中村憲がアンカーの位置に入って、その前にMF森谷とMF大島僚が並ぶ形と言えるが、中盤から前は流動的。FW大久保はここまで5試合で4ゴールを挙げている。
■ 3対2でアウェイのフロンターレが勝利4位の仙台と6位の川崎Fの対決はエキサイティングな好ゲームとなる。前半に主導権を握ったのはホームの仙台で前半28分に連続攻撃から最後は川崎FのDF谷口彰がクリアしようとしたボールがゴール前にいたFWウイルソンの体に当たってゴールイン。ややラッキーな形でホームの仙台が先制する。FWウイルソンは今シーズン4ゴール目。2014年は24試合で4ゴールだったので、早くも昨シーズンのゴール数に並んだ。
0対1で迎えた後半開始から川崎Fは右ストッパーのDF武岡を下げてJ1初出場となるFW船山貴を投入。「4-2-2-2」にシステムを変更する。何度かチャンスを逃した後の後半18分にMF森谷に代えて怪我から戻って来たFW小林悠を投入。すると、後半25分にFW大久保のパスを受けたFW小林悠が切り返してから左足で確実に決めて1対1の同点に追いつく。FW小林悠は今シーズン2ゴール目となった。
さらに直後の後半27分にもFW大久保の絶妙のスルーパスからMFレナトが決めて2対1とあっという間に逆転に成功する。ここまで負けなしの仙台は後半35分に左サイドに流れたFWウイルソンのクロスをゴール前に入ってきた右SBのDF多々良が決めて2対2の同点に追いつく。今オフに松本山雅から移籍してきたDF多々良は記念すべきJ1での初ゴールとなった。これで試合は2対2のふりだしに戻る。
試合は白熱した展開になったが、後半41分に川崎Fは左サイドを突破したMFレナトのグラウンダーのクロスをFW大久保が合わせて3対2と勝ち越しに成功する。結局、エースのFW大久保が1ゴール2アシストと大活躍した川崎Fが3対2で競り勝った。川崎Fはこれで3勝1敗2分け。苦手にしていたユアテックスタジアムでようやく勝利をつかむことができた。一方の仙台は今シーズン初黒星。2勝1敗3分けとなった。
■ 後半に3失点で今シーズン初黒星・・・。好調なチーム同士の対戦は好ゲームとなった。シュート数は仙台が20本で川崎Fは22本だったが、「シュート数が20本を超える試合」というのはかなり珍しい。J1では2012年が21回で、2013年が14回で、2014年は11回。相当に頑張らないと1試合の中で20本を超えるシュートを打つのは難しいことが分かるが、この日はどちらのチームも20本をオーバーした。(※ 前半はともに10本ずつだった。)
「両チームともシュートが20本を超える試合」というのはあまり記憶にないが、調べてみると2012年以降のJ1のリーグ戦では初めて。「数年に一度」レベルのかなり珍しい記録だったと言える。後半はかなり攻め込んでいた川崎Fのシュート数が伸びたのは想定内と言えたが、後半はやや劣勢だった仙台も多くの場面でフィニッシュまで持ち込むことが出来た。両チームとも攻撃に関してはスムーズだった。
仙台は今シーズン初黒星となったが、内容的には悲観する必要はないだろう。後半の3失点に関しては「仙台の守備陣の出来が悪かった。」というよりは「川崎Fの攻撃が凄かった。」と言える。1対2と逆転された後、波状攻撃から右SBのDF多々良のファインゴールで同点に追いつくなど意地は見せた。結果にはつながらなかったが、ホームで落ち込む必要はない立派な試合を見せたと言える。
エースのFWウイルソンの調子が良いのは仙台にとっては心強い。この日も1ゴール1アシストと結果を出した。2トップの相方はチャンスメーカータイプのFW奥埜が起用されているが、FW奥埜がここまでのところ、非常にいい動きを見せている。キーマンになっているが得点力の高い選手ではない。得点源となるFWウイルソンがコンスタントにゴールを決めているからこそ、FW奥埜の存在価値も増すと言える。
1対0とリードしたまま後半の中盤まで時計は進んだが、後半は立ち上がりから攻め込まれた。特にMFレナトと対峙する形になる仙台の右サイドの守備がかなり苦しくなっていたので、早い段階で手を打っても良かったのかもしれない。「DF多々良を下げて他の選手を入れる。」という交代が現実的と言えたが、怪我人続出で苦しんでいるので、「この選手を入れたら立て直すことができた。」とまでは言えない。
仙台のベンチメンバーの顔触れを見ると、右SBとして投入される可能性があったのはDF蜂須賀か、MF武井のどちらかである。仙台の右SBのDF多々良は疲労もあって、MFレナトの高速ドリブルに付いていくことができなくなっていたのでここを修正しても良かったと思うが、DF多々良が同点ゴールを決めている。このあたりの渡邉監督の判断が正しかったのか否かをジャッジするのはなかなか難しいと言える。
■ 初タイトルの大きなチャンスと言える川崎フロンターレ一方の川崎Fは前半は仙台の堅い守備を崩し切ることができなかったが、後半は面白いようにチャンスを作った。ここまでの5試合でわずか3失点のみ。リーグ屈指の堅さを誇る仙台の守備を相手にして、これだけ連続して綺麗に崩してチャンスを作る様は圧巻だった。特に後半18分に怪我明けのFW小林悠を投入してからの攻撃はド迫力で、攻撃力に関しては「J1の中で川崎Fが1枚抜けている。」と言えるのは間違いない。
前半はMF中村憲をアンカーに置く「3-1-4-2」を採用した。この形もなかなか面白かったが、MF中村憲とMF大島康のWボランチになった後半の方が攻撃の怖さはあった。後半開始からJ1では初出場となるFW船山貴を投入したが、FW船山貴もまずまずのプレーを見せた。MF大島僚のスルーパスから大チャンスを迎えたのでこのシーンは決めておきたかったが、動きや周りの選手との関係性は良かった。
「J2時代の松本山雅でゴールを量産したFW船山貴でさえなかなか出場機会が与えられない。」ということからも攻撃陣の分厚さが分かる。(MF中村憲とMF大島僚の2人はボランチとしてカウントした場合でも、)攻撃的なポジションはFW大久保とFWレナトとFW小林悠がいて、FW杉本健がいて、MF森谷がいるので、現状のFW船山貴は6番手や7番手となる。攻撃的なポジションは質も量も申し分ないレベルと言える。
川崎Fはこれで3勝1敗2分けとなったが、これだけ攻撃陣が充実しているので、初タイトルというのは「今シーズンのノルマ」と言ってもいいくらいである。『ステージ優勝はタイトルに含まれるのか否か?』に関しては様々な意見があると思うが、特に優勝争いのライバルとなるG大阪・浦和・鹿島・柏の4チームにACLの負担がある1stステージは初優勝の大チャンスであり、自然とサポーターの期待は膨らむ。
今後の日程を見ていくと、14節が清水(A)で、15節が湘南(H)で、16節が松本山雅(H)で、ラストの17節が鹿島(A)なので、1stステージの終盤の14節→15節→16節は川崎Fにとっては勝ち点「3」を取りこぼしたくない相手との試合が続く。過密日程となるGWも最初の4試合のうち3試合はホーム戦で、唯一のアウェイ戦も近場のの味の素スタジアムでの試合となるので、日程面にもちょっと恵まれているような感じはする。
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