■ カズが起用されるいくつかの理由今年の2月26日で48歳になったFW三浦知が今シーズンは好調。6節の磐田戦(H)で初ゴールをマークしたが、7節の熊本戦(A)でも決勝ゴールに絡んだ。一時は「FW三浦知のゴール」とアナウンスされたほど。残念ながらオウンゴールと記録されたので、「9年ぶりとなる2試合連続ゴール」はならなかったが、ここまでの7試合のうち5試合でスタメン出場するなど、近年にはなかったペースで出場機会を得ている。
昨シーズンはわずか2試合の出場にとどまったFW三浦知の出場機会が増えている理由はいくつか考えられる。まず1つは監督が代わったことで、またゼロからの競争が始まった。「4-2-2-2」を採用しているので、FW三浦知がもっとも生きる『2トップの一角』というポジションが用意されているのも出場機会が増えている理由の1つで、最大のライバルとなるFW黒津が怪我がちであることも大いに関係している。
フォワードの軸は栃木SCから戻ってきた190センチのFW大久保哲哉である。J2で屈指のターゲットマンで、かなりの確率で空中戦は競り勝つ選手なので、パートナーとなるFW三浦知の役割はかなり限定される。FW大久保哲哉が競ってこぼれたボールに反応して次のチャンスにつなげることが大きな仕事になるが、FW三浦知はゴール前のポジションに優れているので、この2人の2トップはまずまず機能している。
さらに言うと、スロベニア出身のミロシュ・ルス新監督はスタメンを固定するタイプの指導者なので、一度、信頼を勝ち取ると引き続いてスタメンで起用されやすい。また、「できるだけ同じメンバーで戦いたい。」と考えるミロシュ・ルス監督の中で怪我がちで計算しにくいFW黒津に対する評価が下がってしまうのも必然なこと。いくつかの理由があって48歳を迎えたFW三浦知の出番が今シーズンは増えている。
■ アウェイ動員力が極めて優秀な横浜FC横浜FCというクラブに対して、「人気クラブだ。」という印象を抱いている人は少ないと思う。なので、ちょっと意外な気もするが、横浜FCというクラブはJ2の中で「アウェイ動員力」が極めて高いチームである。アウェー戦の平均動員数は2010年は3位で、2011年は2位で、2012年は1位で、2013年は2位で、2014年も3位だった。ホーム戦の動員はそこまで多くないが、アウェイ戦の動員力はJ2屈指である。
→ 2014/12/17
J2のアウェー動員についてまとめてみた。 (前編) ~異次元だった2013年のガンバノミクス~ → 2014/12/17
J2のアウェー動員についてまとめてみた。 (後編) ~絶大なるキングカズ効果~当然、大都市にあるクラブで、「横浜FCのサポーターが遠征しやすい。」という点も関係していると思うが、やはり、FW三浦知のネームバリューによるところが大きいと推測できる。なかなか見ることができないFW三浦知のプレーを楽しみにしている人は日本全国にたくさんいる。「今度、地元に横浜FCが来るので、(試合に出場するかどうか分からないが、)FW三浦知を観に行こう。」と考える人は多い。
その影響力は横浜FCという1クラブにとどまらないが、話題になっているのはTBS系列の「サンデーモーニング」のスポーツコーナーに出演している野球評論家の張本勲さんのコメントである。「カズファンには悪いけども、もうお辞めなさい」、「J2は野球でいうと2軍だから話題性がない」、「若い選手に席を譲ってやらないと。しがみつく必要はないでしょ、これほどの選手なんだから。指導者に」と発言した。
ご意見番の1人で、元プロ野球監督の大沢さんが健在だった頃はたびたび視聴していたので、番組の雰囲気はある程度は把握している。張本さんに対して『良く言った。』と称賛する人もいると聞くが、その大半は否定的な声で、サッカーファンを中心にかなりの騒動に発展している。(※ 張本さんに関しては、前に下のコラムの中で取り上げているので、こちらを参照していただけたら・・・と思う。)
→ 2013/10/17
「辛口評論家」はなぜ好まれないか?
■ 現役選手に対するリスペクトを欠く発言これだけ注目度の高い番組に出演していて、かつ、本職の野球以外のスポーツに関してもあれこれと言及する人である。何も情報を得ずに発言しているとは考えにくい。『張本さんってサッカーの試合も観ているんだ。』、『カズの状態に触れることができるほど横浜FCの試合をチェックしているのか・・・。』とも感じたが、そうであったとしても、現役選手に対するリスペクトを欠く発言だということは明らかである。
もちろん、40代後半になっても現役を続けているFW三浦知に対して賛否両論あるのは間違いない。「FW三浦知だから契約してもらえるんだ。」、「客寄せパンダになっている。」という意見は一理ある。「クラブが斬るのは無理なので進退は自分で判断しなければならない。」と言える状況になっているのも間違いないが、近年の中では一番いい状態の今のFW三浦知に対する発言としてはいささかピント外れである。
「最近の横浜FCの試合を観ると、FW三浦知が効いているのは間違いないので、試合を観た上でこの発言をしているのであれば、張本さんのサッカーを観る目は低すぎないか・・・。」、「人のことをとやかく言う前にスポーツ番組に出演するコメンテーターとしてのレベルが低すぎないか。」とも感じるが、(正しいかどうかは関係なくて、)過激なことを言うことを持ち上げる人は世の中にはたくさんいる。
■ 1人の野球ファンとしてコメントすると・・・。サッカーファンの1人として、そして、カズの熱烈なファンの1人としてコメントすると、『何を言ってんだ、この人は。』となるが、その一方で、野球ファンの1人という立場からコメントすると、「サッカーファンを敵に回すようなことを言うな。」、「百害あって一利なし。」となる。もっとも迷惑を被っているのは純粋な野球ファンであり、「野球ファンの1人」としてこの発言には憤りを感じる。
長い間、日本のスポーツ界を牛耳ってきたのはプロ野球だった。サッカーが人気スポーツになったのはここ20年の話である。張本さんくらいの世代の人になると「何でサッカーがこんなに人気なのか分からない。」という人が多いと思う。(※ JリーグとNPBを比べると注目度の差は歴然としているが、サッカー日本代表とNPBであれば「サッカー日本代表」に対する注目度のほうがはるかに上である。)
比較的、短期間で時代は大きく変わった。時代の流れに乗り遅れた野球関係者がサッカーファンの反発を買うような発言を繰り返すことは(サッカー界にとって)デメリットはほぼ無い。プロ野球を「(サッカーの)競合相手」とシンプルに考えるのであれば、競合相手が勝手に自滅してくれるのはむしろ好ましいことと言えるが、プロ野球でこれだけ活躍したスター選手がこういう発言をすることに対しては悲しくも感じる。
関連するツイート 関連エントリー 2008/05/02
みんなKAZUが好きだった。 2008/05/04
カリスマ:山本浩アナの名フレーズを堪能する。 2008/08/13
ラモス瑠偉と日の丸への思い 2011/01/13
キングKAZUを超える選手 2011/03/29
【日本代表×Jリーグ選抜】 スーパースター・三浦知良 2011/04/01
独断と偏見で選んだ KING KAZU ベスト10ゴール 2013/10/17
「辛口評論家」はなぜ好まれないか? 2015/02/26
「Jリーガーが対戦して凄いと思った選手」 ~ 5位は中村憲剛、4位は家長昭博、3位は宇佐美貴史、1位と2位は・・・。~ 2015/02/27
「Jリーガーが一緒にプレーしてみたい選手(日本人編)」 ~ 5位は本田圭佑、4位は中村憲剛、3位は中村俊輔、2位は遠藤保仁、1位に輝いたのは・・・。
- 関連記事
-