■ J1の開幕戦J1の開幕戦。ベストアメニティスタジアムでサガン鳥栖とアルビレックス新潟が対戦した。新潟は2013年シーズンは7位と躍進したが、2014年シーズンは12位。エースのMF川又がシーズン途中にJ1の名古屋に移籍した影響もあって総得点はJ1でワースト3位となる30得点。16得点の徳島、27得点の甲府に次ぐ少なさだった。1試合平均で1得点に満たなかった得点力をアップさせることができるかが注目ポイントと言える。
ホームの鳥栖は「4-2-3-1」。GK林彰。DF丹羽竜、菊地直、キム・ミンヒョク、崔誠根。MF谷口博、藤田直、ペク・ソンドン、池田圭、金民友。FW豊田。
対するアウェイの新潟は「4-2-2-2」。GK守田。DF小泉慶、舞行龍ジェームズ、大井、コルテース。MF小林裕、レオ・シルバ、平松、山本康。FWラファエル・シルバ、田中達。新潟ユース出身で国士舘大卒の大卒ルーキーのMF平松が右サイドハーフでスタメンに抜擢された。右SBは五輪代表のレギュラーのDF松原健はベンチスタートで高卒2年目のDF小泉慶がスタメンで起用された。FW鈴木武蔵はベンチ外となった。
■ 新潟は1対2で逆転負け・・・試合は前半13分にアウェイの新潟が先制する。中盤でボールを持ったMF山本康が絶妙のスルーパスをFWラファエル・シルバに通すと、巧みなボールコントロールからキーパーとの1対1のチャンスを得たFWラファエル・シルバが冷静にゴール隅に流し込んで新潟が先制する。昨シーズンは怪我の影響もあって7試合で1ゴールという成績にとどまったFWラファエル・シルバはこれがJリーグで通算2ゴール目となった。
いい形で先制ゴールを奪った新潟だったが、前半22分にCBのDF舞行龍ジェームズが怪我で途中交代となるアクシデントが発生。左利きのDF大野が急遽投入されるが、入ったばかりのDF大野がペナルティエリア内でFW豊田を倒して鳥栖にPKが与えられる。これをFW豊田が決めて前半27分に鳥栖が1対1の同点に追いつく。PKかどうかは微妙なシーンではあったが、完全に後手に回っていたのは印象が悪かった。
1対1で迎えた後半5分に鳥栖がゴールから少し距離のある位置でFKを獲得すると、MF藤田直がゴール前に上げたボールをトップ下のMF池田圭が合わせて2対1と逆転に成功する。新潟は磐田から加入のMF山崎亮や195センチの大型フォワードのFW指宿を投入。同点ゴールを目指したが、なかなか決定機を作れない。結局、試合は2対1でホームの鳥栖が逆転で勝利して勝ち点「3」を獲得した。
■ 新たに10番を背負うことになったFWラファエル・シルバ先のとおり、新潟はとにかく得点力アップが不可欠である。上位を目指すためには少なくとも45ゴール程度は必要となるので、昨シーズンの1.5倍の数字が求められる。守備に関しては主力のほとんどがチームに残留したこともあって大きな不安は無い。むしろ、DF松原健やGK守田など若い選手にはさらなるレベルアップが期待できる。もっと良くなる可能性もあるが、攻撃は現段階では物足りない。
この日は五輪代表のFW鈴木武蔵は欠場で、FW指宿とMF山崎亮はベンチスタートで、ベテランのFW田中達と大卒ルーキーのMF平松をスタメンで起用してきた。スタメンに関してはちょっと意外な人選だったが、来日2年目となるブラジル人のFWラファエル・シルバは非常に良かった。ゴールシーンはもちろんのこと、その直後に見せた中央突破からのポスト直撃のミドルシュートも相当なインパクトがあった。
昨シーズンの途中にスイス2部のルガーノというクラブから加入したが、新潟では7試合で1ゴールに終わった。怪我もあって期待に応える活躍ができなかったが、今シーズンは10番を背負っている。フィンランドのHJKヘルシンキに移籍したMF田中亜が背負っていた番号で、空き番になってもおかしくない状況であるにもかかわらず、10番を与えられたということはクラブから相当に期待されていることが分かる。
179センチで73キロなのでアタッカーとしてはまずまずサイズもあるが、まず推進力が魅力的、ボールを受ける位置も非常に良かった。新潟の外国人選手というとアタリを引くことが多い。特にブラジル人を発掘する能力に関しては謎のスカウティング力があるJ2の群馬に匹敵するレベルであるが、攻撃の軸が不在になっている中で、「彼が軸になってくれるのではないか。」と思わせるプレーを見せた。
■ 開幕スタメンを飾った大卒ルーキーのMF平松宗FWラファエル・シルバと2トップを組んだのはベテランのFW田中達だったが、FW鈴木武蔵がいて、FW指宿がいて、FW山崎亮もいる。2列目もこの日はMF山本康とMF平松のコンビだったが、MF成岡もいて、MF加藤大もいて、FW鈴木武蔵とMF山崎亮の2人はサイドハーフでもプレーできる。駒自体はまずまず豊富と言えるが、「絶対的なレギュラー」と言える選手はおらず、柳下監督の悩みどころになっている。
そんな中でスタメンに抜擢された国士舘大出身のMF平松は後半32分までプレーしたが、可能性を感じさせるプレーは見せたと言える。ゴール前で良さを発揮するシーンはほぼ無かったが、183センチとサイズに恵まれており、ハードワークもできそうな選手である。FW登録になっているが、「バリバリの点取り屋」というよりは「チームメイトのために献身的に動き回って泥臭く貢献するタイプ」の選手だと思う。
MF平松のような選手はどのカテゴリーでも需要がある。こういうタイプの選手がいると戦い方の幅が広がるので、多くのチームが探し求めていると思うが、「意外とこういうタイプの選手が少ない。」というのが日本サッカー界の現状である。「大柄でハードワークもできる選手」は少ない。サッカー界の中では「すきま産業」と言えるので、プロの世界で経験を積むことが出来たら、貴重な戦力になるのではないか。
一方、注目を集める元ブラジル代表の左SBのDFコルテースはあまり目立たなかった。マッチアップした鳥栖のMFペク・ソンドンとの引っ張り合いに負けたところもあるが、高い位置でボールに絡むシーンは少なかった。ブラジル代表は国内組オンリーで試合を行うこともあるので、「元ブラジル代表」の称号はあまり当てにならないが、彼も新潟のチーム力を大きく引き上げる可能性を持った選手の1人ではある。
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