■ 天皇杯の4回戦天皇杯の4回戦。2日前の9月8日(月)に成績不振が原因でイタリア人のペッツァイオリ監督が解任されて、下部組織の監督などを務めていた大熊裕司監督の就任を発表したセレッソ大阪と、降格1年目のJ2で3位と自動昇格圏外に位置するジュビロ磐田がヤンマースタジアム長居で対戦した。この試合に勝ったチームがベスト8進出となる。
ホームのC大阪は「4-2-2-2」。GKキム・ジンヒョン。DF酒本、小谷、山下、丸橋。MF扇原、キム・ソンジュン、南野、楠神。FW杉本健、永井龍。ここに来て怪我人が続出しており、FWカカウ、MF山口蛍、MF長谷川アーリアジャスール、DF藤本康、DF安藤らが怪我で欠場となったが、FWフォルランが戦列に復帰してベンチ入りを果たした。
対するアウェーの磐田は「3-4-2-1」。GK八田。DF菅沼、藤田義、伊野波。MF岡田隆、小林祐、駒野、宮崎智、チンガ、山崎亮。FWポポ。J2で14ゴールを挙げているエースのFW前田遼はベンチ外となったが、ここ最近、ベンチスタートが続いている元日本代表のDF伊野波とMF駒野がスタメンで起用された。1トップにはベテランのFWポポが入った。
■ C大阪が2対0で勝利試合の序盤は互角の展開だったが、徐々にホームのC大阪ペースになっていく。すると、前半30分にハーフウェーライン付近でボールを受けたMF楠神が得意のドリブルを開始して、相手1人をかわしてゴール前に入ってくる。相手DFの注意をひきつけてからMF南野にパスを送るとMF南野が右足でミドルシュートを決めてC大阪が先制に成功する。
磐田は相手のビルドアップのミスから何度かチャンスをつかむが決められず。1対0で迎えた後半19分にC大阪は攻撃参加したCBのDF小谷のグラウンダーのクロスからボックス内でボールを受けたFW永井龍が持ち前の体の強さを生かしてうまく相手をブロックしてシュートコースを作ると、右足で豪快に決めて貴重な2点目のゴールを挙げる。
その後は完全にC大阪ペースとなって何度か決定機を作るが3点目は奪えず。一方の磐田も途中出場で元日本代表のMF松井大に決定機が訪れたが、左足のシュートは枠をとらえることができない。結局、2対0でホームのC大阪が勝利してベスト8進出を決めた。ベスト8進出は2年ぶりのことで、悲願の初タイトルまでとりあえずとしてあと3勝に迫った。
■ 大熊新監督は白星スタート大熊監督を迎え入れたC大阪はリーグ戦は22節を終えた時点で16位と降格圏に位置する。なので、天皇杯やナビスコカップといったカップ戦に力を注いでいる余裕はないが、リーグ戦はここ最近は全く勝てておらず、勝利から見放されている。先日のナビスコカップの準々決勝の2試合目の川崎F戦に続いて勝利してことで流れは変わるのではないか。
相手の磐田のチーム状態も最近はイマイチで、しかも、この日の磐田はリーグ戦でレギュラーを張っている選手の何人かがお休みとなった。サブ組中心のメンバー構成となったので、このことを割り引いて考える必要はあるが、それにしてもC大阪の内容は良かった。磐田の倍となる14本のシュートを放ったが、内容と結果の伴った勝利と言える。
もちろん、天皇杯を勝ち進むと過密日程になる。リーグ戦だけに集中することができなくなるが、今のC大阪はとにかく勝って自信を回復させる必要がある。そして、大熊監督の初戦でこけて雰囲気が悪くなることは避けたかった。なので、大きな勝利であり、厳しい戦いになることが予想されるJ1のリーグ戦に向けて弾みのつく勝利となった。
■ 新エースの働きを見せたMF南野C大阪は中堅どころの選手に怪我人が相次いでいるが、この日はユース出身の若手が躍動した。まずはMF南野である。今シーズンの前半戦のMF南野はコンディションの問題はなかったが、なかなか結果を出すことができなくて、精神的にも安定しなかった。攻撃においては完全にブレーキになっていたが、ここに来てゴール感覚を取り戻している。
リーグ戦の神戸戦(H)→ナビスコの川崎F戦(H)→ナビスコの川崎F戦(A)→天皇杯の磐田(H)と4戦連発となったが、全くゴールできなくて苦しんでいた前半戦が嘘のように量産体制に入っている。大黒柱のFW柿谷がバーゼルに移籍して「やるしかない。」という状況になったが、8月の下旬からようやくエースの働きができるようになってきた。
同じくユース出身で後半から登場したボランチのMF秋山の出来も非常に良かった。日本代表のMF山口蛍と同系統の選手で、球際の強さであったり、運動量であったり、飛び出しでチームに貢献するタイプであるが、とにかくハードな守備が目立った。ようやく巡ってきた初出場の機会だったが、着実に力を蓄えていることをピッチ上で証明できたといえる。
■ ようやく生まれた長居スタジアムでのゴール2点目を奪ったのはFW永井龍だったが、やっとホームの長居スタジアムでゴールを決めることができた。C大阪のユース出身でMF扇原とは同級生となる。若年層の日本代表で活躍して「即戦力」に近い形でプロの世界でも活躍できる選手だと思ったが、なかなかチャンスを生かせなくて、2012年の途中からオーストラリアに武者修行に出ることになった。
高校生のFW永井龍のプレーを見たときは、ここまでプロの世界で苦労するとは予想できなかったが、ようやくスタートラインに立つことができた。「点取り屋」として評判だったが、オーストラリアに渡って泥臭いプレーを高レベルでこなせるようになった。この日も前線からの守備やポストワークなど数字に表れない部分でチームに大きく貢献した。
これだけ前線でハードワークできる選手というのは貴重である。FW杉本健もそれなりにダーティーな仕事をこなすが、その部分に関してはFW永井龍のほうが上である。今後、コンスタントにゴールを決めるようになると大きく道が開けてくると思うが、「簡単なシュートを外して、難しいシュートを決める。」というFW永井龍らしいゴールだった。
■ 3位の座を死守しなければならない磐田一方の磐田も相手のC大阪と同様であまりカップ戦に力を注ぐことができるほどの余裕はないが、同じようにチーム状態があまり良くない。ここでJ1のC大阪に勝利して勢いを付けたかったが、あまりいい試合にはならなかった。もちろん、ここ最近の主力を温存したのでフルメンバーではなかったが、雰囲気が一層重くなるような敗戦となった。
J2も残り12試合となったが、2位の松本山雅との差は「10」。J1で降格圏に位置するC大阪の立場も厳しいが、磐田はそれ以上に追い込まれている。2位の松本山雅がほとんど負けないので差は広がる一方であり、「3位を死守する。」というのが現実的な目標になってきた。しかしながら、4位以下のチームとの差もほとんどないので、見通しは明るくない。
この日はここに来て出場機会が減っているFWポポ、MF山崎亮、MF駒野、DF伊野波、DF菅沼などにチャンスが与えられたが、いいアピールができた選手はいなかった。C大阪はユース組の活躍もあって浮上のきっかけをつかむことができたが、磐田の方は浮上のきっかけになりそうものを手にすることはできなかったと言わざる得ない。
関連エントリー 2007/08/11
【U-16日本×U-16米国】 君は宇佐美貴史を見たか? (生観戦記#14) 2008/12/23
【JYC準決勝:C大阪×FC東京】 ユース年代の熱き闘い (生観戦記#21) 2009/01/10
【G大阪Y×C大阪U-18】 逸材たちの競演 2014/02/25
生・フォルランを観に行って来た。 2014/04/19
FW柿谷曜一朗とFWフォルランの微妙な関係 2014/07/22
柿谷曜一朗に対する悲しい内容の横断幕 2014/09/11
本当に香川真司はドイツ国内ではスター選手なのか? 2014/09/12
クラブ別エントリー (セレッソ大阪) 2014/09/12
クラブ別エントリー(ジュビロ磐田)
- 関連記事
-