■ 第26節J2の第26節。9勝9敗7分けで勝ち点「34」のコンサドーレ札幌(11位)と、9勝8敗8分けで勝ち点「35」の京都サンガ(7位)が札幌ドームで対戦した。25節を終えた時点でPO圏内で6位の千葉の勝ち点が「38」なので、7位の京都とは3差で、11位の札幌とは4差となるが、4位の岡山や5位の北九州が順調に勝ち点を積み上げているので、ともに勝ち点「3」の欲しい試合と言える。
ホームの札幌は「4-2-3-1」。GK金山。DF石井謙、パウロン、奈良、上原慎。MF深井一、上里、荒野、宮澤、小野。FW内村。ワンダラーズから加入の元日本代表のMF小野は5試合連続スタメンとなった。MF小野が加入してからは4試合で1勝2敗1分けとあまり結果は出ていない。昨シーズンの終盤に負った怪我の影響で長期離脱していたMF深井一は2試合連続スタメンとなった。
対するアウェーの京都は「4-2-3-1」。GKオ・スンフン。DF石櫃、酒井隆、内野、駒井。MF田森、田中英、石田、中山博、山瀬功。FW大黒。CBのDFバヤリッツァ、新加入のFWドウグラスはベンチスタートで、J1の神戸から加入のMF田中英は2試合連続スタメンとなった。古巣対決となるFW大黒はここまで25試合で16ゴールを挙げており、J2の得点ランキングでトップを走っている。
■ 1対0でアウェーの京都が勝利試合は立ち上がりから札幌ペースで進んでいく。1トップのFW内村、2列目のMF小野、MF宮澤、MF荒野の4人の関係は良好で次々にチャンスを作っていく。一方の京都は前半9分に左サイドを突破したFW大黒の折り返しからMF山瀬功がネットを揺らすが、キーパーの前にいたMF石田が「プレーに関与した。」と判断されてオフサイド。先制ゴールかと思われたが、ノーゴールとなった。
0対0で迎えた後半開始から札幌はMF小野を下げてMF菊岡を投入。試合を優位に進める札幌は後半5分にFW内村がポスト直撃のシュートを放つと、後半11分にはトップ下のMF宮澤がキーパーと1対1のシーンを迎える。しかし、シュートを決めることができない。逆に後半25分に京都は高卒ルーキーのMF石田のパスからFW大黒がネットを揺らして劣勢だった京都が先制に成功する。
結局、エースのFW大黒の今シーズン17ゴール目が決勝点となって1対0でアウェーの京都が勝利した。シュート数は札幌が16本で、京都は5本だけ。決定機の数やチャンスの数も札幌の方が多かったが、後半に訪れたワンチャンスをものにした京都がアウェーで大きな勝ち点「3」を獲得した。一方の札幌は3連敗で、3試合連続で完封負けということで、苦しい時期を迎えている。
■ さすがの決定力と勝負強さシーズン前はともに昇格候補と言われたが、札幌も、京都も、ここまでほぼイーブンの成績である。自動昇格となる2位以内は難しくなっているので、何とかプレーオフに進出して、昇格プレーオフを勝ち抜きたい立場になっている。そして、また、プレーオフ進出を考えたとき、大きな障害となることが確実と言えるチームとの直接対戦なので、非常に大事な試合だったが、京都が勝利した。
京都は前半9分にいい形で相手の守備を崩してMF山瀬功がネットを揺らしたがオフサイドの判定でゴールは認められず。ゴール前に入ってきた選手がプレーに関与したかどうかの判断というのは難しくて、キーパーの障害になっているのではないか?と思われるケースでもオフサイドを取らないシーンは多いので、京都にとってはやや不運な判定だったが、エースの一発で勝利をもぎ取った。
後半25分のFW大黒のゴールはスーパーだった。後半の京都はほとんどチャンスを作れなくて、決定機と言えたのはこのシーンくらいである。ホームの札幌が試合の主導権を握っており、ベンチにも優秀な選手を抱えている札幌が圧力をかけてさらに攻め込もうとしていた時間帯に生まれたゴールだった。シュートテクニックはもちろんのこと、FW大黒の並外れた勝負強さが光った。
これで今シーズン17ゴール目となったが、チームの総得点が36なので、ほぼ半分である。FW大黒に数字が偏っているのは気になるが、これだけハイペースでゴールを決めてくれる選手を擁しているというのは京都の強みである。この試合に限らず、今シーズンのFW大黒は試合の大事な局面でゴールを決めるシーンが多いので、本当に頼りになるエースストライカーである。
守備陣も奮闘した。今シーズン2回目のスタメンのDF内野も奮闘したが、やはり、GKオ・スンフンの存在は大きい。札幌は非常に高さのあるチームなので、終盤のパワープレーがド迫力である。パワープレーにやられるチームは多いが、GKオ・スンフンがいると大丈夫である。この試合はFW大黒とGKオ・スンフンの活躍が光ったが、キーパーとフォワードの大事さを感じる試合になった。
■ 内容は良かったが・・・。一方の札幌は3連敗となった。「内容は悪くなかった。」というよりは、「内容は良かった。」と表現する方が適当で、実力的には同じくらいだと思われる京都を相手に90分を通してほぼ試合を支配したが、決定機に決められないとこういう結果になってしまう。札幌にとっては最大のチャンスと言えた後半11分のMF宮澤がキーパーと1対1になったシーンで先制できなかったことが大きく響いた。
最後の時間帯のパワープレーは中途半端だった。192センチのDFパウロンを最前線に上げて、FW都倉とのツインタワーになったが、2人のポジションが重なるシーンが多くて、パワープレーからチャンスを作ることはできなかった。DFパウロンは7試合ぶりのスタメンで、体力的にきつかったことも関係していると思うが、終盤に全く見せ場を作ることはできなかったのは残念だった。
札幌はこれで3連敗。プレーオフ圏内のチームとの差は広がってきているが、怪我で長期離脱していたMF深井一が戻ってきたのは大きい。昨年の11月15日の練習中に左膝前十字靭帯断裂の重傷を負って全治8ヶ月と診断されたが、25節の北九州戦(A)で初出場を飾って2試合連続スタメンとなったが、ボールの裁き方やボールの奪い方というのは19歳とは思えないレベルである。
また、五輪代表のMF荒野とDF奈良の2人も随所に好プレーを見せた。勝利にはつながらなかったが、個人としてのパフォーマンスは非常に良かった。後半のチャンスのほとんどにMF荒野が絡んでおり、DF奈良の1対1の強さと守備に回ったときの落ち着きは見事である。苦しい時期を迎えているが、年代別代表クラスの若手の頑張りで乗り切ることができると希望が見えてくる。
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