■ 2戦目の相手はギリシャグループCの日本とギリシャの試合はナタスで行われた。同じ日の13:00にキックオフされたコロンビアとコートジボワールの試合は2対1でコロンビアが勝利したので、コロンビアが勝ち点「6」となって、コートジボワールは勝ち点「3」のまま。勝ち点「0」の日本とギリシャは敗れるとGL敗退が決定する。現地時間の19:00キックオフのナイトマッチとなった。
日本は「4-2-3-1」。GK川島。DF内田、吉田、今野、長友。MF長谷部、山口蛍、大久保、本田圭、岡崎。FW大迫。初戦のコートジボワール戦でスタメンだった選手の中ではDF森重とMF香川がベンチスタートになって、DF今野とMF大久保がスタメンで起用された。MF大久保が右サイドハーフに入って、MF岡崎が左サイドハーフに回って、FW大迫が1トップでスタメンとなった。
対するギリシャは「4-1-2-3」。GKカルネジス。DFトロシディス、マノラス、パパスタソプーロス、ホレバス。MFカツラニス、マニアティス、コネ。FWフェトファツィディス、ミトログル、サマラス。FWサルピンギディスとFWゲカスはベンチスタートで、FWフェトファツィディスとFWミトログルの2人がスタメンに抜擢された。FWミトログルはフルハムでプレーしている。
■ 最後までゴールを割ることはできず・・・試合は立ち上がりから日本ペースで進んでいく。圧倒的にボールを保持してFW大迫やMF本田圭を中心に攻め込んでいく。前半21分にFW大迫が放ったミドルシュートなどいくつか際どいシーンを作ると、前半38分に相手のキーマンであるMFカツラニスが日本のカウンターを阻止したプレーで2枚目のイエローカードを受けて退場。前半のうちにギリシャは10人になってしまう。
0対0で迎えた後半開始から日本はMF長谷部に代えてMF遠藤を投入し、さらにスタメンから外れていたMF香川を投入。後半20分あたりから立て続けにチャンスシーンを迎えるが、後半23分のMF大久保、後半26分のDF内田の決定的なシュートは枠を捉えることができない。一方のギリシャは得意としているセットプレーからチャンスを作るが先制ゴールを奪うことはできない。
結局、試合は0対0で終了。日本とギリシャもともに勝ち点「1」を獲得して最終節に突破の可能性を残したが、勝ち点「6」を稼いでいるコロンビアのGL突破が決定して、最後のイスを3チームで争うことになった。日本はGLを突破するためには「2連勝中のコロンビアに勝つこと」が絶対条件となる非常に厳しいシチュエーションでGLの最終戦を迎えることになった。
■ いくつかあった決定機を生かせず。全く自分たちのサッカーができなくて、かつ、試合にも敗れたコートジボワール戦と比べるとポジティブな要素の多い試合だったが、必要としていた勝ち点「3」を獲得することはできなかった。GLの最終戦となるコロンビア戦で勝ち点「3」を獲得したとしても、コートジボワールが勝つと勝ち点「6」となってGL突破が決まるので、日本は自力でのGL突破の可能性は無くなった。
一言で言うと「非常に勿体無い試合だった。」と言える。試合の立ち上がりから日本が圧倒的にボールを支配して、支配率は70%ほどだった。しかも、前半に相手に退場者が出て、55分間ほど数的優位で戦うことができた。そして、後半に大チャンスが何度かあったので、コートジボワール戦とは全く違った種類の悔しさを感じる試合であり、悔いの残る試合となった。
特に惜しかったのは後半23分に訪れたDF内田のクロスからMF大久保が左足でシュートを放ったシーンと、後半26分に混戦からDF内田がシュートを放ったシーンと、後半40分のDF長友のシュート性のクロスからゴール前のDF吉田が頭で合わせたシーンの3つである。いずれのシュートも枠に飛んでいたらキーパーはどうすることもできなかったと思うので、惜しいシーンだった。
多くの場合、1試合の中で決定機は3回~5回程度である。この日の日本は少なくとも3回は決定機を作っているので攻撃はまずまず機能したと言えるが、何回かやってくる決定機が「決定力の高い選手」のところに訪れるのか、DF内田やDF吉田のように守備的なポジションの選手に訪れるかは運次第のところもある。そういう意味では「あまり運が無かった。」とも言える。
■ 日本らしいサッカーはできたが・・・「最終節に突破の可能性を残した。」とは言っても非常に残念な結果になったが、初戦のコートジボワール戦とは違って自分たちのやりたいサッカーはある程度できた。その点はきちんと評価しなければならない。結果は芳しいものではなかったが、初戦で露わになった問題点を修正して、日本らしいサッカーができた時間帯が長かった点はポジティブな要素である。
もちろん、「勝ち点「3」という結果に繋がらなかったら何も意味は無い。」と考える人もいるとは思うが、多くの場合、自分たちのサッカーができた場合は望んでいる結果が得られる可能性も高くなる。したがって、結果だけを見て、「Yes」か、「No」かを決めるのは、サッカーの見方としてはあまり面白いものではないし、はっきり言うと、非常につまらない見方である。
日本はW杯は5大会連続出場となる。W杯はギリシャ戦が通算で16試合目になるが、この日のギリシャ戦ほど相手をポゼッションで上回って、自分たちのペースで試合を進めることができた試合はなかった。そういう意味では1つの成果であり、世界中のサッカーファンにポジティブな印象を与えることができたと思う。「日本のサッカーとはどんなものか?」を示すことができた。
ただ、相手があることなので、自分たちのサッカーができたとしても、望み通りの結果が得られるとは限らない。この試合に関しては、日本も相手ゴールをこじ開けようと頑張ったが、ギリシャは10人になった後も集中力を切らすことがなかった。スコアレスドローに終わった要因の1つは相手のギリシャの頑張りも大きく関係しているので、素直に称えなければならない。
■ 不足していたゴール前での創造性何度か入ってもおかしくない決定機を作っているので、先のとおり、攻撃は悪くはなかったが、強固なギリシャの守備陣を崩すためには、もう少し変化のある攻撃が必要だった。ザッケローニ監督のスタメン選びと試合中の選手交代に関しては別の機会に詳しく触れたいと思うが、個人的にはMF香川をスタメンから外したことは失敗とは言えないが、成功はしなかったと思う。
もちろん、初戦のコートジボワール戦のMF香川の出来は散々なものだったので、調子等を考慮してMF岡崎やFW大久保やFW大迫が優先されたと思う。選手起用に関してはザッケローニ監督の考えが何よりも尊重されるべき領域ではあるが、バイタルエリアに好パスが何本も入っていた割には大チャンスに拡大しなかった。ゴール前での意外性はやや不足していたように感じる。
ということで悔しいドローゲームとなったが、次のコロンビア戦は、今度こそ、勝つしかない試合となる。2連勝となったコロンビアはすでに「2位以内」を決めているので、軽度の怪我をしている選手であったり、イエローカードを貰っている選手は温存される可能性が高いので、相手はフルメンバーにはならないだろう。その点が日本にとって有利に働く可能性はある。
勝っても突破できるとは限らないが、何が起こるか分からないのがサッカーである。特に早い段階で先制することができると、同時刻開催となるコートジボワールに大きなプレッシャーがかかってくる。ザックジャパンの最終戦となる可能性もあるので、本当の意味での集大成となる試合である。まずは最高の準備をしてほしいところである。
関連エントリー 2014/05/13
本気(マジ)で落選ジャパン23名を考える。(ブラジルW杯編) 2014/06/09
日本代表のFIFAランキング(46位)はなぜ低いのか? (前編) 2014/06/09
日本代表のFIFAランキング(46位)はなぜ低いのか? (後編) 2014/06/11
コートジボワール戦とギリシャ戦の予想は難しい。 2014/06/15
【W杯】 コートジボワール戦でもっとも良かったと思うのは誰ですか? (投票数:1793票) 2014/06/15
【W杯:JPN×CIV】 この内容で勝つのは難しい。 2014/06/16
コートジボワール戦の問題点は攻撃陣か?守備陣か? 2014/06/20
【W杯】 ギリシャ戦でもっとも良かったと思うのは誰ですか? (投票数:253票) 2014/06/21
全記事一覧(2005年-2014年)
- 関連記事
-