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【J3:金沢×町田】 基本的なことに気付かせてくれた有意義な旅 (上) (生観戦記) の続き。
■ S席は2,000円、A席は1,500円西部緑地公園の収容人数は20,261人とされている。ここまでのホーム戦6試合の平均は17,88人で、最高は5月11日(日)に行われたU-22選抜チームとの試合で33,09人。ということもあって、バックスタンドは開放されておらず、チケットが販売されているのはメインスタンドとゴール裏のみ。TV映りを気にする必要はないので、「バックスタンドを開放しない。」というのは賢明な選択である。
S席とA席があってメインスタンドの中央部のS席が「大人:2,000円(当日)」で、(両ゴール裏を含む)それ以外のA席が「大人:1,5000円(当日)」となる。価格自体は標準的であるが、A席のチケットを持っている人は、ゴール裏でも、メインスタンドでもどちらでも観戦できる。その利点を生かして金沢のコアなサポーターは「ゴール裏で一緒に応援しましょう。」と懸命に呼びかけていた。
新設されたJ3リーグに参戦している12クラブの中でJ2を経験しているのは町田ゼルビアとガイナーレ鳥取の2チームである。(上)で述べたとおり、北陸新幹線が開通するのは2015年3月である。現行はJRを利用すると東京から金沢までは4時間ほどかかるので、結構な時間がかかるし、結構なお金が必要になってくるが、町田のサポーターもたくさん来ていた。さすがは元J2クラブである。
#11 町田のサポーター

#12 金沢のサポーター
■ 町田が首位をキープする注目の首位攻防戦は1対0でアウェーの町田が勝利した。前半36分にストライカーのFW鈴木孝が決めたゴールが決勝点となったが、中盤から前のポジションのタレント力では町田が上回っている。FW鈴木孝は早くも今シーズン11ゴール目となったが、J3リーグの得点ランキングの首位を走っている。どのカテゴリーであっても「点が獲れる選手」というのは貴重であり、価値がある。
違いを見せたのは、MF鈴木崇である。アルディレス監督の下、2012年の町田はJ2で最下位(=22位)に終わったが、MF鈴木崇の活躍は目立った。2013年は岡山でプレーしたがほとんど活躍できなくて、古巣である町田にレンタル移籍で戻ってきたが、技術やアイディアは頭一つ抜けている。近くで観ていた金沢の少年(高校生かな???)も、MF鈴木崇の巧さには驚いていた。
一方の金沢もチャンスは作った。試合前のアップ中に怪我をした10番のMF佐藤が出場できなかったのは誤算だったが、特に試合の終盤はいくつも決定機を作った。終盤は町田にも決定機があったので、2対0で町田が勝利してもおかしくない展開だったが、1対1の引き分けでもおかしくない展開だった。同点ゴールが決まっていたら、スタジアムは大いに盛り上がっただろう。
#13 試合前の整列

#14 ツエーゲン焼き
■ いい雰囲気のスタジアム初のJ3リーグの観戦で、しかも、今シーズンからJクラブの一員となった金沢の試合を観ることになったが、なかなか面白い試合だった。スタジアムの盛り上がりもなかなかだったが、「ゴール裏のコアサポーターが主導で応援している。」というよりは、「どこからということもなく自発的に拍手や歓声が起こっている」という感じである。想像していた以上にスタジアムの雰囲気は良かった。
創生期からJリーグに所属しているクラブでさえ、ゴール裏のサポーターの声ばかりが目立って、メインスタンドやバックスタンドにいる一般のファンをうまく応援に取り込めていないチームはある。なので、現段階でこういう感じになっているのは恵まれたことである。「一体感を感じることができる。」というのは、リピーターを増やすためには非常に大事な要素で、金沢はすでにそれを持っている。
前半はメインスタンドの金沢寄りの席で試合を観て、後半は町田寄りの席で試合を観たが、先のとおり、町田のサポーターも非常に多かった。ゴール裏の町田サポーターの数はそれほど多くなかったが、メインスタンドにいる町田サポーターは非常に多くて、ここまでアウェーチームのサポーターが来てくれたことはなかったのではないかと思う。町田のサポーターには感謝しなければならない。
#15 1対0で町田が逃げ切る

#16 試合終了後
■ もっとも印象に残ったところ13節を終えた段階で、首位の町田が勝ち点「28」で、2位の長野が勝ち点「26」で、3位の金沢が勝ち点「24」で、4位の鳥取が勝ち点「22」で、5位の相模原が勝ち点「20」となったが、町田はいい位置にいる。J2に所属していた2012年は「いいサッカーをしよう。」という意識が高いところに好感が持てたが、土地柄も相まって、Jリーグに深みをもたらすことができるチームの1つである。
街の規模であったり、資金力の問題であったり、バックアップ体制であったり、なかなか難しい面がいくつかある。同じ東京都のクラブであるFC東京などと比べると、Jリーグのトップ・オブ・トップに登りつめる可能性は高くないが、カラーとポリシーを持った味のあるクラブとして、今後、Jリーグの中で存在感を発揮していくことが期待される。ここまでの道のりはまずまずと言えるだろう。
今回の遠征では、金沢のサポーターも、町田のサポーターも、楽しそうだった点がもっとも印象に残った。J3リーグの大事な首位攻防戦なので、勝ち負けは重要である。金沢は勝てば首位に浮上する可能性もあったので、もっともこだわるべきポイントと言えたが、純粋にサッカーという競技、プロの選手たちのプレー、金沢vs町田という試合を楽しんでいる人が非常に多かった。
どうしても、義務的な思いで試合を観ているときもあるし、応援している選手やチームが結果をなかなか出せないときやいいプレーができていないときは、イライラしながら試合を観てしまうこともある。肯定的な見方ではなくて、否定的な見方で試合を観てしまうケースもあるが、「どうせなら楽しまないとね・・・。」という基本的なことに気付かせてくれた有意義な旅だった。
#17 新疋田(しんひきだ)駅

#18 鉄道ファンの聖地 (写真でいっぱい)

#19 ホームからの撮影

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