■ 最終節で勝てば2位通過が決定4月15日(火)と4月16日(水)にACLの第5節が行われたが、2011年以来で2度目のACL出場となるセレッソ大阪はホームで浦項に0対2で敗れた。これで3勝2分けで勝ち点「11」となった浦項のGL突破が決定したが、もう1試合はタイのブリーラムが日本人のMF平野の決勝弾で1対0で勝利した。ということで、ブリーラムとセレッソ大阪と山東魯能の3チームが1勝2敗2分けの勝ち点「5」で並ぶという大混戦となった。
ACLは同じ勝ち点で並んだときは、得失点差よりも、当該チームの直接対決の結果が優先される。C大阪は最終節の山東魯能戦(A)で勝つと2勝2敗2分けとなって山東魯能を上回ることができるが、ブリーラムが最終節で勝利して2勝2敗2分けでC大阪と並んだ場合でも、ブリーラムには直接対決で1勝1分けと勝ち越しているので、上回ることができる。よって、「山東魯能に勝てば2位が決まる。」という状況になった。
もちろん、長居スタジアムで行われた第2節の試合は山東魯能に完敗と表現するしかないほどボコボコにされている。アウェーで山東魯能に勝つのは大変なので、GL突破の確率は高いとは言えないが、山東魯能もここ最近はACLで勝てておらず、調子がいいとは思えない。5節でブリーラムが勝利したことで、「山東魯能に勝てば突破できる。」という状況になったことはラッキーというしかない。
■ なかなか合わない2トップただ、浦項にホームで敗れたことで、ACLは1勝2敗2分けで、J1は7節を終了した時点で3勝2敗2分け。合計すると12試合で4勝4敗4分けなので、まだエンジンがかかっていない。J1の3節の清水戦(H)は4対1で勝利して、ACLの3節のブリーラム戦(H)は4対0で勝利して、J1の第4節の鹿島戦(A)は2対0で勝利して3連勝。チーム状態が上向きになった時期もあったが、その後は5試合勝利なし。なかなか安定しない。
もちろん、ACLのGLが佳境に入る4月中旬から下旬の時期というのは、毎年、ACL組は過密日程に悩まされて、結果が出なくなる。今回はタイのチームと同じグループになったが、ACLで遠征をして、日本に戻ってきて、すぐにリーグ戦を戦うとなると、チーム全体に疲労感が出てくる。辛抱のしどころであり、7節を終えた時点で「J1で8位」というのは悪くは無いが、楽観視できないチーム状態であることは確かである。
気になるのは、攻撃陣である。エースのFW柿谷はACLでは3ゴールを挙げているが、J1では7試合を終えてゴールなし。日本代表候補のMF南野もACLでは2ゴールを挙げているが、J1ではゴールなし。J1の試合では満遍なくいろいろな選手がゴールを決めているが、FW柿谷であったり、MF南野であったり、中心となる選手にゴールが生まれないと、チームとして乗っていくことはできない。
J1の7節の大阪ダービーで2ゴールを挙げるなど、初ゴールが生まれるまで時間がかかったFWフォルランにゴールが生まれるようになった点はポジティブな話であるが、今シーズンのJ1の中で「注目度は1位と2位」であることは間違いないFW柿谷とFWフォルランの関係がしっくりきていない点もモヤモヤ感を生み出している。「(感覚は)合いそう。だけども、全然、合っていない。」というのが、実情である。
(息が)合うか、合わないかというのは、デリケートな話である。いきなり最初の試合から阿吽の呼吸でプレーできてしまう場合もあるし、時間が経つにつれて、徐々に呼吸が合うようになるときもある。また、何か1つのプレーがきっかけとなって、劇的に関係が良くなることもあるが、その一方で、ずっと一緒にプレーしているのに、全然、関係が良くならないこともある。本当に微妙な話である。
■ 2人の位置関係は?FWフォルランはJ1では7試合に出場して3ゴールを記録しているが、合計で522分プレーしている。2節の徳島戦(A)でスタメンから外れるなど、休む時間も少なくないが、ここまで26本のシュートを放っている。これはJ1の中では最多となる。必ずしも本調子でないにも関わらず、これだけたくさんシュートを打っているので、「シュート意識の高さはさすが。」である。何だかんだでシュートチャンスに絡んでいる。
ただ、積極的にミドルシュートを打つタイプなので弊害もある。左右両足で精度の高いシュートを打つことができる点が彼の大きな武器であるが、FW柿谷が動き出しをして、ボールを欲しがっているときもシュートを打ってしまうことが多くて、このあたりに関しては、FW柿谷は相当にストレスを溜めていると想像できる。FWフォルランはいいパサーでもあるので、余計に「何で???」という気持ちになるだろう。
2人の位置関係も微妙である。2トップで横並びの形になるときと、1トップ+トップ下という形になるときがあって、後者もFW柿谷が最前線に入るパターンと、FWフォルランが最前線に入るパターンの2パターンある。したがって、合計すると3つのパターンがあって、理想はFW柿谷が最前線に入って、FWフォルランが下がり目に位置する形だと思うが、残念ながら、その形というのがなかなか機能しない。
今シーズン、もっともチーム状態が良かったのは、3連勝を果たした3月中旬から下旬の時期であるが、このときは、FWフォルランが最前線で、FW柿谷が下がり目だった。J1の3節の清水戦(H)からこのやり方を採用して、ここから公式戦は3連勝と波に乗りかけたが、J1の第6節の柏戦(A)からFW柿谷が最前線でプレーするようになって、FWフォルランは下がり目となった。元の形に戻ったが、結果は出なくなった。
■ 元に戻したことが失敗???それなりに機能していたやり方を止めて、あまり機能していなかった(開幕当初の)やり方に戻したポポヴィッチ監督の判断はどうだったのか?と思うところもあるが、そうは言っても、シーズンは長い。1つのやり方にこだわるのではなくて、いろいろと策を練って、より良い布陣やより良い配置を見つけようとする試み自体は悪く無い。「長い目で見守るべきだ。」という意見も一理あるだろう。
結局、FWフォルランは運動量が多くないので、彼が下がり目に入ると、主に守備面できつくなる。(2トップで横並びになるときも、前からのプラスはうまくかからない。)なので、FWフォルランが最前線で、FW柿谷が下がり目でプレーして、FW柿谷は(自分を犠牲にしながら)守備面で頑張って、かつ、攻撃のときも周りの選手の良さを引き出すプレーを心掛けないとうまく回転しないのが今シーズンのC大阪である。
DFラインの裏に抜け出すプレーがFW柿谷の最大の武器なので、下がり目になると、シュートチャンスに絡む機会は少なくなる。当然、FW柿谷もW杯メンバーに選ばれるために「自分自身のゴール」という分かりやすい形でザッケローニ監督にアピールしたいと考えていると思うので、FWフォルランとの位置関係を元に戻したのは、FW柿谷から要望があったのではないか?と思うが、なかなか結果につながらない。
FW柿谷については「W杯メンバー入りは確実」と言われているが、そうは言ってもデリケートな時期である。「(チームのために)数字に現れない部分で貢献する。」という意識でプレーするのベターだと思うが、そこまで割り切ることはできずにいる。ストレスが溜っていることが分かる振る舞いが目立ってきたが、きちんと試合を観ていれば、数字が出ていない理由はすぐに分かるので、ナーバスになる必要は無い。
(MF杉本に関しては微妙なところもあるが、)FW柿谷、FWフォルラン、MF南野、MF長谷川アーリアジャスール、MF山口蛍らは、サッカーIQの高い選手である。ここまで攻撃陣はあまり機能していないが、このままシーズンの終盤までギクシャクしたままで進んでいくかというと、そういう感じもしない。どこかでターニングポイントがやって来ると思うので、そこを見逃さないように注意したいと思う。
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