■ J2の第7節J2の第7節。1勝2敗3分けで勝ち点「6」の愛媛FCと、0勝1敗5分けで勝ち点「1」のカターレ富山がニンジニアスタジアムで対戦した。愛媛FCは開幕して6試合で3ゴールと今年も得点力不足に苦しんでいる。一方の富山はオフに五輪代表のエースのFW中島を獲得するなど、「J2のダークホーク的な存在」と期待されていたが、開幕戦で引き分けた後、5連敗と全く結果が出ていない。
ホームの愛媛FCは「3-4-2-1」。GK児玉。DF村上佑、林堂、浦田。MF村上巧、吉村圭、ハン・ヒフン、三原、表原、原川。FW西田。福岡から加入のFW西田は4節の東京V戦(H)以来のスタメンとなった。昨シーズンは33試合で5ゴールを挙げている。神戸U-18出身で期待の高卒ルーキーのMF表原は今シーズン4回目のスタメンとなった。4節の東京V戦(H)でプロ初ゴールを記録している。
対するアウェーの富山は「4-1-2-3」。GK水谷。DF木村勝、御厨、吉川拓、内田健。MF大西、ソ・ヨンドク、キム・ヨングン。FW苔口、白崎、中島。これまでは「4-4-2」で、FW白崎はトップ下でプレーすることが多かったが、この試合はFW白崎が3トップの頂点で、右にFW苔口、左にFW中島という並びになった。左SBのDF内田健は2009年の途中から2012年まで愛媛FCでプレーしたので古巣対決となる。
■ 4対0で愛媛FCが大勝試合の序盤は5連敗中の富山がペースを握る。愛媛FCは攻撃の中心である五輪代表のMF原川にボールが渡らずに苦労するが、前半34分に相手の中途半端なクリアボールを高い位置で拾った右ストッパーのDF村上佑の高精度のクロスをFW西田がヘディングで合わせてホームの愛媛FCが先制に成功する。FW西田は今シーズン初ゴールとなった。前半は1対0と愛媛FCがリードして折り返す。
5連敗中の富山は先に失点したことで意気消沈したのか、後半は完全に愛媛FCペースとなる。まず、後半11分に右サイドを突破した右ストッパーのDF村上佑のグラウンダーの折り返しをゴール前に入ってきたベテランのMF吉村圭が合わせて2点目を挙げると、後半14分にはCKからMF原川のボールをFW西田が豪快に頭で決めて3対0と突き放す。FW西田はこの試合は2ゴールを挙げる大活躍だった。
勢いの止まらない愛媛FCは後半25分にもCKからDF村上佑が決めて4点目を挙げる。新潟から加入のDF村上佑は1ゴール2アシストと素晴らしい活躍を見せて勝利に貢献した。結局、試合は4対0で愛媛FCが大勝して、勝ち点「3」を獲得した。これで愛媛FCは2勝2敗3分け。開幕7試合で勝ち点「9」なので、出だしとしてはまずまずである。一方の富山は開幕で岡山(A)と引き分けた後、6連敗となった。
■ DF村上佑が1ゴール2アシスト4対0という大差が付くほどの大きな差は無かったが、愛媛FCが大勝した。先のとおり、ここまでの6試合で3ゴールだけ。無得点試合が4試合もあって、今シーズンも得点力不足で苦しんでいたので、苦しみから脱出するきっかけになりそうなゴールラッシュだった。0対0のときはどちらかというと富山がペースを握ってチャンスを作っていたので、前半34分にFW西田のゴールで先制できたのは大きかった。
愛媛FCは今シーズンも1トップのところで苦労している。FW西田とFW渡辺亮とFW河原の争いになっているが、大卒2年目で190センチのFW渡辺亮が非常に良くなっているので、「彼をフォワードに据える。」というのもアリだと思うが、得点力という点ではFW西田が一歩リードしている。ニアへのクロスをダイビングヘッドのような形で決めたが、彼の得意とする形で、らしさ満開のファインゴールだった。
ここまではなかなか得点が獲れていないこともあって、1トップ以外も固定されていない。キーマンであるMF原川も、ボランチで起用されたり、2列目で起用されたり、まだポジションが定まっておらず、両WBもいろいろな選手を試している最中である。ただ、オフの選手の入れ替わりが激しくて、チーム作りは非常に難しかったと思うので、その割には、石丸監督はうまい具合にそれなりの形に仕上げて来たと言える。
2列目の争いも熾烈であるが、WBの争いも熾烈である。MF三原がファーストチョイスになっているが、彼は左右両サイドを同じレベルでこなすことができるので、その分、選択肢は多くなる。この日はMF三原が左WBに入って、右WBはMFハン・ヒフンが起用された。183センチの長身で、本職はCBだと思うので、サイドでのプレーが機能したとは言い難いが、高さがあるので、セットプレーでは武器となる。
今シーズンはMF原川が加入したこともあって、セットプレーの迫力が増している。この日はCKから2ゴールを奪ったが、もう1つ、右ストッパーのDF村上佑の攻撃参加も武器になっている。この日は1ゴール2アシストと大活躍を見せたが、ストッパーの位置からガンガン攻撃に参加してくるので、彼のところから決定機を作るシーンは非常に多くて、相手にとってはもっとも警戒しなければならないポイントである。
DF村上佑はもともとは右SBの選手で、柏や新潟で活躍したが、3バックの一角でありながら、SBのような動きで攻め上がってくる。ここを最大限に生かそうとするならば、CBタイプのMFハン・ヒフンを右WBのポジションで起用するというのもアリである。運動量が多くてドリブルが武器となるMF三原を逆の左WBを起用すれば、左右両サイドからバランス良く攻撃できるようになるだろう。
■ 6連敗となったカターレ富山一方の富山は6連敗となった。2節はアウェーでFC岐阜に0対3で敗れて、6節は東京Vにホームで0対3で敗れて、7節はアウェーで愛媛FCに0対4で敗れているが、上位候補とは言えないチームに大差で敗れており、精神的にキツイ試合が続いている。オフにFW中島を獲得して、FW白崎がレンタル延長でチームに残るなど、かつてないほど注目と期待を集めてシーズンに入ったので、非常に残念な序盤戦になっている。
大型連敗中なので仕方がない面もあるが、前半34分に先制された後、ガクッとパフォーマンスが落ちてしまった。そこまでの時間帯は悪くない内容だったので、気持ちを切らすことなく戦うことが出来たならば、同点に追い付く可能性は十分に考えられたが、先制された後は、攻守ともにバラバラになった。0対4になったあとは吹っ切れていくつか決定機を作ったが、シュートがバーに当たるなど運も無かった。
ここまでの7試合でわずか2得点と得点力不足に陥っているが、チャンスは作っている。リオ五輪代表チームのエース格となったFW中島は6節を終えた時点でJ2の中でドリブル数が1位で、シュート数が3位。なので、個人としてはそれなりに見せ場を作っているが、チーム状態が良くないので、今はFW中島の積極性がマイナスに作用している感はある。周りにいる味方選手をうまく使えないシーンがたくさんある。
こうなってくると、FW中島も、プレーに迷いが出てくる。ドリブルで仕掛けていいのか?シュートを打っていいのか?など、マイナス思考になって、余計なことを考えて、自分の良さが出なくなることが考えられる。東京Vのときは周りに経験豊富なベテランがたくさんいたので、自由にプレーしていれば良かったと思うが、富山ではそういうわけにはいかない。この苦境からどうやって抜け出すのか、注目したい。
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