■ J2の第6節J2の第6節。2勝1敗2分けで勝ち点「8」のコンサドーレ札幌(7位タイ)と、3勝1敗1分けで勝ち点「10」の松本山雅(3位)が札幌ドームで対戦した。J2は開幕5連勝の湘南が勝ち点「15」で首位を走っており、磐田(2位)と松本山雅(3位)と長崎(4位)の3チームが3勝1敗1分けで勝ち点「10」を稼いでいる。札幌も、松本山雅も、J1昇格を目標にしているが、ともにまずまずのスタートを切ったと言える。
ホームの札幌は「4-2-3-1」。GK李昊乗。DF日高、パウロン、奈良、上原慎。MF河合、宮澤、石井、前田俊、砂川。FW内村。エースのFW内村はここまで5試合で3ゴールと結果を残している。札幌は怪我人がたくさん出ているが、192センチの長身CBのDFパウロンが今シーズン初スタメンとなった。五輪代表入りを狙うDF奈良がパートナーとなった。新加入で187センチのFW都倉はベンチスタートとなった。
対するアウェーの松本山雅は「3-4-2-1」。GK村山。DF飯田、多々良、犬飼。MF岩間、喜山、田中隼、岩沼、岩上、船山。FW塩沢。左WBには元札幌のMF岩沼が入って、ボランチのポジションは長崎から加入のMF岩間が3試合連続スタメンとなった。エースのMF船山は開幕の東京V戦でハットトリックを記録するなど5試合で5ゴールとJ2の得点ランキングの首位を走っている。FWサビアはベンチ外となった。
■ 1対0で札幌が勝利試合の序盤はアウェーの松本山雅がセットプレーを中心にチャンスを作って試合を優位に進めるが、前半25分あたりを過ぎるとホームの札幌が主導権を握るようになる。愛媛FCから戻ってきた右サイドハーフのMF石井が持ち味であるゴール前に入っていく動きでチャンスに絡んでいく。前半は0対0で終了したが、前半の終盤は札幌がリズムをつかんでハーフタイムに突入する。
後半になると松本山雅はなかなか前線でボールをキープ出来なくなって、札幌ペースの時間帯が続く。札幌は前半終了間際にエースのFW内村が負傷して交代するアクシデントが発生するが、代わりに起用されたFW都倉が遜色ない働きを見せる。すると、後半15分にMF砂川の縦パスをおさめたFW都倉が振りむきざまに左足で豪快にネットを揺らしてホームの札幌が先制に成功する。FW都倉は移籍後初ゴールとなった。
劣勢の松本山雅は184センチのFW棗を投入するなど高さを生かした攻撃からチャンスを作ろうとするが、札幌のCBのDFパウロンとDF奈良が空中戦を制して後半はほとんとチャンスを作ることができない。結局、後半15分のFW都倉のゴールが決勝点となって1対0でホームの勝利して勝ち点「3」を獲得した。札幌は3勝1敗2分けとなって、松本山雅は3勝2敗1分けとなった。
■ 攻撃に工夫が無かった松本山雅ともに2013年はあと少しのところでPO出場を逃した。非常に悔しい思いをしたが、オフの補強に成功して、札幌も、松本山雅も、昇格候補に挙げられている。注目の上位候補対決だったが、札幌が勝ち点「3」を獲得した。松本山雅はセットプレーが得点源で、高さを前面に押し出した攻撃を仕掛けるチームであるが、DFパウロンとDF奈良がしっかりとハイボールを跳ね返して、怪我明けのGK李昊乗も安定していた。
札幌はボランチのMF河合も183センチと高さのある選手で、左SBのDF上原慎も186センチの長身で、途中出場のFW都倉も187センチで、もう1人のボランチのMF宮澤も182センチなので、非常に高さのあるチームである。松本山雅も185センチのDF飯田、182センチのFW塩沢を中心に高さのあるチームであるが、空中戦の勝負になると札幌の方に軍配が上がる。この試合の松本山雅は攻撃に工夫が無かった。
松本山雅は運動量の多さやハードワークを武器にしており、それが通用するときは、上位候補のチームを相手にしたときも試合を優位に進めることができるが、通用しないときに「二の手」や「三の手」を持っているかというと、そういうわけではない。MF岩間をスタメンで起用したり、MF岩沼を左WBに回したり、反町監督はいろいろと試しているが、今はチームとしての幅を広げることが何よりも重要である。
終盤に投入されたFW棗は高さと運動量を武器に戦うタイプなので、FW塩沢と同系統の選手である。もちろん、FW塩沢に何かアクシデントがあったときに備えて、FW棗が計算できる戦力として台頭してくれると有難いが、同系統の選手なので、劇的なプラスにはならない。2列目のMF船山、MF岩上は僅差の試合では外しにくいので、どこでプラスアルファを作りだすのか?というのは、結構、難しい話になってくる。
■ 大きな戦力と言えるFW都倉一方の札幌は前半の立ち上がりこそセットプレーからピンチを招いたが、それ以後は、試合を優勢に進めることができた。流れの中で崩されて決定機を作られるシーンはほとんど無くて、今シーズン初出場となるDFパウロンも安定していた。先のとおり、札幌は高さのあるチームであるが、さらに192センチのDFパウロンが加わるようなことになると、かなり空中戦では有利になる。
攻撃では、新加入のFW都倉が結果を出したのは大きい。元日本代表のMF小野の加入も決まっているが、個人的には、FW都倉の加入の方がチームにもたらすプラス効果は大きいのではないかと思う。もちろん、MF小野が加入することで、観客動員のアップやクラブのブランド力アップが期待できるが、2列目あるいはボランチはかなり層が厚いので、劇的な戦力アップになるかというと疑問なところもある。
対して、フォワード陣は、FW内村、FW前田俊、FW榊など小柄でテクニカルなアタッカーが多くて、FW都倉のように高さや強さで勝負できる選手はいなかった。昨シーズンの終盤は197センチのFWフェホがアクセントになったが、彼が抜けて大型ストライカーが全くいない状態だったので、非常に大きな補強と言える。FW内村、FW前田俊、FW都倉を相手に合わせてうまく使い分けたいところである。
FW都倉は2009年にJ2の草津で43試合に出場して23ゴールとブレークしたが、期待に応える働きができたのは、このシーズンくらいである。神戸では思うような結果を残すことはできなかったが、まだ27歳で、伸びシロもある。ナルシストタイプで、ストライカーらしい性格をした選手である。神戸では乗り切れなかったが、うまい具合に煽てながら起用できるとJ1昇格の立役者になれる力を持っている。
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