■ 今シーズン初アシスト 3月29日(土)に行われたマンチェスターUとアストン・ヴィラの試合は4対1でホームのマンチェスターUが勝利した。日本代表のMF香川は2試合ぶりに先発出場を果たすと、前半20分にFWルーニーの同点ゴールをアシストして、前半終了間際には絶妙のスルーパスでPK獲得をお膳立てした。同点ゴールと逆転ゴールに絡んで4月1日(火)に行われるCLの準々決勝のバイエルン戦に向けて弾みの付く試合となった。
今年1月にスペイン代表クラスのMFマタが加入した影響を受けて出場機会が激減していたMF香川だったが、ここに来て、再び、出場機会が増えてきた。FWファン・ペルシーが怪我で離脱していることも関係しているが、トップ下やサイドハーフとしての序列が上がってきており、心配されていた「試合勘不足の状態で日本代表に合流する。」という事態は避けられそうな情勢となっている。
アストン・ヴィラ戦はプレミアリーグでは今シーズン9回目のスタメンで、ようやく、今シーズン1つ目のアシストが記録されたが、MF香川がスタメンで出場したときはマンチェスターUも結果が出ている。プレミアでは9試合で6勝2敗1分けで、CLの5試合を含めると10勝2敗2分け。1試合平均の勝ち点は「2.29」で、マンチェスターUのシーズントータルの「1.78」を大きく上回っている。
もちろん、1人の選手の力だけで勝ち点を獲れるわけではなくて、いろいろな巡り合わせも関係してくるが、「スタメンで出場しているときにチームがいい結果を残している。」というのは、選手にとっては重要なことであり、ポジティブに考えられる要素である。スタメン時とそうではない試合の差が「+0.79」というのは、結構、大きな差であり、誇れるポイントの1つである。
■ 驚異的な勝ち点/試合 MF香川は2010年の南アフリカW杯の直後にドイツに旅立ったので、今シーズンが欧州で4年目のシーズンになるが、1年目と2年目はドルトムントでリーグ優勝を果たして、3年目もマンチェスターUでリーグ優勝を果たした。残念ながら、今シーズンはチームが低迷しているので、4連覇の可能性はほぼゼロになってしまったが、リーグ優勝をするようなチームでプレーできているというのは幸せなことである。
チーム自体が強かったことも大いに関係しているが、リーグ戦において、MF香川がスタメンで出場した試合で負けた記憶というのはあまり無い。試しにリーグ戦でMF香川が先発した試合のチーム成績を調べてまとめてみると表1のようになる。 また、リーグ戦でベンチスタートだった試合ならびにベンチ外だった試合のチーム成績を同じようにまとめると表2のようになる。
今シーズンは、チームも、自身も苦しんでいるが、それでも「2.11/試合」という好アベレージを残している。現在、プレミアリーグで首位を走っているリバプールが「2.22/試合」で、リーガ・エスパニョーラの首位を走っている「2.45/試合」で、セリエAの首位を走っているユベントスは「2.61/試合」で、2013年のJ1を制した広島になると「1.85/試合」なので、「2.11/試合」というのは相当に高い数値である。
表1. リーグ戦でスタメン出場した試合の成績
| 勝 | 負 | 引分け | 平均勝ち点 |
1年目 | 14 | 2 | 1 | 2.53 |
2年目 | 20 | 3 | 6 | 2.28 |
3年目 | 12 | 2 | 3 | 2.29 |
4年目 | 6 | 2 | 1 | 2.11 |
通算 | 52 | 9 | 11 | 2.32 |
表2.リーグ戦でベンチスタートあるいはベンチ外だった試合の成績
| 勝 | 負 | 引分け | 平均勝ち点 |
1年目 | 9 | 3 | 5 | 1.88 |
2年目 | 5 | 0 | 0 | 3.00 |
3年目 | 16 | 3 | 2 | 2.38 |
4年目 | 10 | 8 | 5 | 1.52 |
通算 | 40 | 14 | 12 | 2.00 |
■ 驚異的な勝ち点率 1年だけの数字であれば、そこまで驚くべきことではないが、4年間のトータルでは52勝9敗11分けで、「2.32/試合」となるが、これは物凄い数字である。7試合で5勝1敗1分けのペースで、「MF香川がスタメンで出場した試合はほとんど勝っている。」という印象になっても不思議はない。これを上回るのは、4年間、ずっとバルセロナやレアル・マドリーやバイエルンでプレーしてきた選手くらいではないか。
3大リーグと言われるブンデスリーガやプレミアリーグでこれだけの数値を残しているので、MF香川は、この4年間、欧州のトップクラスに近いところでプレーしてきたと言えるが、「勝ち癖」を付けている。W杯になると、全く別のプレッシャーがかかってくると思うが、(初のW杯と言っても、)ちょっと余裕を持ってプレーできるのは間違いない。最高峰のステージでプレーしてきたことが生きてくるだろう。
GKやCBなど守備的なポジションの選手は必ずしもメガクラブでプレーすることが自身の(効率的な)成長につながるとは言えない。下位相手のリーグ戦になると、圧倒的にボールを保持してずっと攻め込む展開になることは珍しくないので、守備力を鍛えることができる機会が少なくなるが、攻撃的なポジションの選手は、強いチームに所属して、攻める回数が多いチームの方が効率的に成長することができると思う。
その点でも、MF香川は恵まれている。C大阪では4年半プレーして、1年目の2006年がJ1で、2年目と3年目と4年目がJ2で、5年目の2010年の途中までJ1でプレーした。プロ1年目は全く出場機会が無かったので参考外と言えるが、J2での3年間は常に「昇格候補」と言われて、戦力的に優位な中で試合を行うことが多かった。なので、日本時代を含めて、プロ生活のほとんどで戦力優位のチームでプレーしてきた。
ただ、言うまでもなく、3大リーグの上位クラブというのは入団するだけでも大変で、その中で出場機会を得るのはもっと大変である。いきなりバイエルンに移籍したMF宇佐美はほとんど出場機会を得ることができずに苦しんだが、MF香川の場合は、クロップ監督やファーガソン監督に出会うことができたのが大きかった。4年トータルで52勝9敗11分けで、「2.32/試合」というのは、異常な数字である。
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