①全体の底上げが見られた浦和やG大阪という強豪クラブでも、楽に勝てるチームはひとつもなかった。リーグの全体的なレベルアップが見られた。
当然、選手個々のタレント力では各チームごとに差はあるが、タレント不足を戦術で補うクレバーな戦いを見せて、試合が壊れることはほとんどなかった。
②日本人ストライカー 頑張れワシントン(26得点)・ジュニーニョ(20得点)・マグノ(26得点)がゴールを量産し、得点王争いを繰り広げた。佐藤寿人(18得点)、我那覇(18得点)、播戸(17得点)ら、日本代表フォワードも健闘したが、食らいつくことは出来なかった。
気になるのは、日本人フォワードのシュート数の少なさ。シュート数ランキングは、マグノ(162)・バレー(114)・マルキーニョス(114)・ジュニーニョ(108)・ワシントン(106)・ウェズレイ(98)・パウリーニョ(97)・チョジェジン(95)・ルーカス(95)・エジミウソン(85)と続いて、ようやく11位に日本人トップの佐藤寿人(78)が登場する状況である。もっと積極的にシュートを狙って欲しい。
③力をつける日本人監督J1では、関塚(川崎)、長谷川(清水)、大木(甲府)という3人の日本人監督が、内容の伴ったサッカーで好成績をおさめて、リーグを盛り上げた。実績のある、岡田(元横浜)、山本(元磐田)の両氏がシーズン途中で辞任に追い込まれる中、監督業界でも世代交代の機運が高まりつつあることを印象付けた。
近年は、平凡なチームだった千葉や大分が、オシムやシャムスカを招聘しチーム改革に取り組んで成功をおさめたように、監督の手腕がチームの運命を大きく左右するようになってきた。選手と同様に、フロントにもプロフェッショナルな仕事が求められる。
④海外からの帰還組の苦戦小野・柳沢・大久保・平山と、海外リーグからJリーグに復帰した選手が、軒並み苦戦を強いられた。いずれの選手もクラブでレギュラーポジションをつかめず苦しんだ。
特に、W杯を前にJリーグに復帰した、柳沢と小野は日本代表でも活躍が期待されたものの期待外れに終わり、W杯以後もコンディション不良に悩まされた。
⑤ホームで浦和を倒すことがステータスにホームスタジアムが赤に占領されてしまう危険性はあるが、浦和レッズをホームに迎えて試合を行うことは、ビッグイベントになりつつある。観客数は、横浜M(50572人)、名古屋(32109人)、FC東京(41528人)、京都(16492人)、鹿島(34236人)、福岡(21545人)で、ほとんどのクラブが浦和戦で、今シーズン最高の観客動員を記録した。
リーグの終盤戦は、横綱相撲を行う浦和をどのチームが、どうやって倒すのか、一番の興味の対象となった。
⑥ 目覚しい若手の躍進今シーズンは、内田・枝村・本田・藤本・梅崎・梶山・水本・青山・野沢・太田・柏木ら若手の躍進が目覚しかった。W杯が終わって、オシム監督が積極的に若手を抜擢させたことも、リーグの活性化につながった。
各チームに優秀な若手が続々と出現したことで、各チームとも、将来への明るい希望が見えた。
⑦ ACLに対する期待浦和レッズがリーグ優勝したことで、2007年度のACLに出場するチームは、浦和レッズ(2005年度天皇杯覇者)と川崎フロンターレ(浦和レッズのリーグ優勝による繰上げでリーグ2位)の2チームとなった。
ACLになってからJリーグのチームは結果を残せていないが、その大きな理由は、ACLとJリーグを比べると、はるかにJリーグの方が重要で収入源となるものであったから、ACLは軽視せざる得ない状況であったからである。ただでさえ過密日程なのに、ACLまでベストメンバーで臨んでいれば、選手がパンクする可能性が高かった。注目度も低く、予選敗退しても仕方がないと思っている。
ただ、来シーズンの浦和レッズには、大きな期待をしたい。このチームには、リーグ戦と平行してアジアに遠征して、勝利するだけのパワーをもっている。負の歴史を変えるのは、浦和レッズ以外にない。
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