■ 2006年 ベスト11(1st Team)GK 山岸範宏(浦和)川口(磐田)や楢崎(名古屋)らも候補であったが、最も安定感のあった山岸を選出する。シーズン途中から、都築に代わってゴールを守るようになると、もともと安定感のあった浦和DFはさらに強固になった。
派手なセーブはそれほど多くなかったが、とにかく、単純なミスがなくて、DF陣に安心感を与える存在である。オシム監督によって、初めて日本代表に選出されたのも納得である。
DF 田中マルクス闘莉王(浦和)文句なしの選出。DFとしては、ペレイラ(V川崎)と中澤(横浜FM)に続く史上3人目のリーグMVPの可能性も十分。浦和DFを支えたのは、間違いなく闘莉王だった。攻撃面でも、得点を7得点をマークし、その中でも、貴重なゴールが多かった。
昨シーズンまでの闘莉王と決定的に違ったのは、精神面の充実である。無駄なファールやイエローがなくなって、非常にクリーンなDFに成長した。それでいて攻撃精神は健在。プレーヤーとして大きくステップアップした。もはや、日本最高のDFの地位は、中澤のものではなく闘莉王のものである、といっても言いすぎではない。
DF 阿部勇樹(千葉)MF登録ながらCBで起用されることも多かったので、DF部門で選出。チーム自体は、不本意な順位に終わったが、阿部のパフォーマンスは高みで安定していた。今シーズンも、二桁得点を挙げたが、セットプレーからのゴールが多かった。
阿部は、チームが逆境のときに、普段以上の力を発揮することの出来る稀有な才能を持っている。千葉が押し込まれているときは、阿部のプレーを注視する事をお勧めする。
MF 山田暢久(浦和)これほどの潜在能力を秘めていたとは思っていなかった。したがって、完全な認識ミスであった。浦和レッズ優勝の立役者は、キャプテンの山田暢久である。
右ウイングバックで長らくチームのレギュラーを務めたきたが、今シーズンは大型補強もあって、レギュラーの座が安泰ではなかった。事実、夏場は、ポジションを失ったこともあった。しかしながら、永井雄一郎、田中達也、そして、小野伸二という3人の優秀な選手を相手にしながら、シーズン終盤は、彼らをベンチに追いやって、トップ下でスタメン出場を続けた。
切れのあるドリブルと、意表を突くロングシュートは、浦和の攻撃にアクセントを加えただけではなく、数多くの重要なゴールを決めて見せた。終盤戦は、素晴らしいプレーの連続だった。
MF 鈴木啓太(浦和)終盤に入ると、ややパフォーマンスが落ちたものの、全体を通してみると、十分なパフォーマンスを見せた。課題だった展開力も向上のあとが見えて、日本代表でも欠かすことの出来ない存在となった。特に、闘莉王がオーバーラップをしたときの、リスクマネージメントは完璧で、闘莉王がゴールを量産できるのは、鈴木啓太がいるからこそである。
鈴木啓太のプレーを見ていると、10年ほど前に、浦和レッズにいた長身のドイツ人DFのことを思い出す。攻撃精神の旺盛なその選手が、オーバーラップしたときに、決まって、当時の浦和レッズは、その裏のスペースをつかれて失点を喫していた。鈴木啓太の重要性を一番感じているのは、おそらく、その人であろう。
MF 中村憲剛(川崎)大躍進を果たした、川崎の司令塔。日本代表にも選出されて、飛躍のシーズンとなった。得意のパスだけではなく、自己最高の10得点をマークし、得点力も光った。
類稀なボールコントロールでボールを保持し、計ったようなタイミングで繰り出すスルーパスが最大の魅力。ボランチの位置から攻撃的なパスを出すことはリスクを伴うが、中村憲剛はパスミスをしないので、全くピンチにはつながらない。
MF 伊東輝悦(清水)清水エスパルスの大黒柱。運動量が豊富で、テクニックがあって、クレバーで、自ら突破して局面を打開することも出来る。今シーズン、ボランチの相方の枝村がブレークしたのも、伊東の存在があってのものだった。
前園・城・小倉・中田といったアトランタ戦士が次々とピッチを去る中、いまなお、伊東がトッププレーヤーとしてJ1に君臨するのは、驚くべきことである。清水は、伊東の後継者探しという、難解な課題をかかえている。
MF 遠藤保仁(G大阪)遠藤がいなくなった後も、G大阪はチーム全員でよく戦ったが、やはり、遠藤の穴は埋めようがなかった。遠藤がいるガンバと、遠藤がいないガンバは、全く別物である。
精度の高いプレースキックはさらに威力を増して数多くのゴールをアシストし、さらには、崩しの段階でも、チームの攻撃のほとんどに絡んで攻撃に変化をつけた。昨シーズンまでも素晴らしかったが、今シーズンは、さらに進化を遂げたように思う。
繰り返しになるが、病気でのリタイアは残念である。過密日程の前に、さすがの遠藤も耐えられなくなったということだろうか。この離脱がなければ、2006年は「遠藤の年」として記憶されたかもしれない。
MF 太田吉影(磐田)前田遼一にするか、太田にするか迷ったが、今シーズンの成長度を考慮して、太田を選出。サイドアタッカーからトップ下(フォワード)へのコンバートが大成功し、超人的な活躍を見せた。
ドリブル突破は脅威的で、決定力の高さも魅力的。さらには、運動量も豊富と、非の打ち所のないアタッカーに成長した。新生ジュビロの象徴的な存在。
FW マグノ・アウベス(G大阪)精彩を欠いた時期もあったが、やはり、他の選手とは少しレベルが違った。彼がスピードに乗ったときは、誰にも止められなかった。移籍1年目ながら、26得点を挙げて、初の得点王に輝いた。
アラウージョの穴を埋めるのは困難と思われたが、見事に代わりを果たした。2トップを組んだ播戸とは、当初は呼吸が合わなかったが、徐々に呼吸が合い始めて、脅威のコンビとなった。文句なしの選出。
FW ワシントンマグノ・アウベスと並んで、得点王を獲得。移籍1年目ながら、チームになくてはならない存在となった。
圧巻なのは、ボディバランスの良さとペナルティエリア内での落ち着きである。ペナルティエリア内でワシントンがボールをもつと、無敵の状態になる。そして、例え、一度、決定機を外したとしても、決して折れない不屈の精神力。メンタル面も規格外だった。
■ 2006年 ベスト11(2nd Team)GK 川口能活(磐田)中盤以降、快進撃を続けたジュビロ磐田を支えた、日本代表の守護神。決して安定感があったとはいえない磐田のDF陣を、後方から鼓舞した。1対1に強く、安定感もあった。
DF 坪井慶介(浦和)快速を武器に、シーズンを通して、相手FWにほとんど仕事をさせなかった。シーズン終盤に怪我で離脱したが、それまでのパフォーマンスは高く評価されるべきである。
DF アレックス(福岡)福岡の入れ替え戦進出に大きく貢献した、超攻撃的左サイドバック。チーム事情で、フォワードで起用されたときもあった。強力な左サイドアタックの主役となった。
DF 山口智(G大阪)G大阪のDFを支えた、日本代表CB。チーム事情で左サイドバックで起用されたときも、高パフォーマンスを見せた。そして何よりも、セットプレーでのゴールシーンが印象的。遠藤とのコンビは、文字通りのホットライン。
MF 羽生直剛(千葉)オシムの申し子で、千葉の「走るサッカー」の象徴。オン・ザ・ボールの動きが格段にアップし、危険な存在になった。クレバーな選手。
MF 谷口博之(川崎)ボランチながら、脅威の13得点をマークした大型選手。勝負強さも目立った。得点力だけではなく、体を張った守備も光った。
MF 二川孝広(G大阪)高度なテクニックで、チャンスを演出する司令塔。6得点を挙げるなど、ゴールへの意欲が増した。13アシストは、リーグ2位。
MF 三都主アレサンドロ(浦和)高精度のクロスで、数多くの歓喜の瞬間を演出した日本最高のサイドアタッカー。守備能力の向上に著しく、オシムジャパンでも、不動のレギュラー。左足のクロスは、もはや芸術の域。
FW ヨンセン(名古屋)17試合で10得点を挙げて、チームの救世主となったノルウェー代表ストライカー。得点力だけではなく献身的なプレーも光る、本物のプロフェッショナル。
FW ジュニーニョ(川崎)20得点11アシストをマークした、褐色の弾丸。我那覇との2トップは、補完性もあって最高のコンビとなった。
FW 前田遼一(磐田)高度なテクニックが光る、磐田のストライカー。15得点を挙げて、日本代表にも選出された。勝負強く、試合終了間際の劇的なゴールが多かった。
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