■ 2013年のリーグMVPは?J1は32節を終えた時点で、2位のチームに「4差」を付けていた横浜FMが2004年以来となるリーグ制覇にあと一歩に迫ったが、33節と34節はともに完封負け。逆に、33節で湘南(H)に1対0、34節で鹿島(A)に2対0で勝利した広島が大逆転で史上5チーム目となるリーグ戦の連覇を達成した。多くの人の記憶に残るリーグ終盤の優勝争いになったことは間違いないだろう。
12月10日(火)に「Jリーグアウォーズ」が開催されて、各賞が発表されるが、注目されるのは、やはり、リーグMVPである。
Wikipediaを見ると、各賞の選出方法に関しては、以下のように説明されている。
選考対象者 J1所属18クラブの監督、選手。なお、選手は、J1リーグ戦17試合以上出場が資格条件(出場時間は不問)。また、日本人選手、外国籍選手のいずれについても各国の代表(候補)、ユース代表(候補)として強化合宿や試合に参加した理由で出場不可だった場合はリーグ戦の試合数を実際に出場した試合数に加算するものとする。
最優秀選手賞 Jリーグ全試合終了後に発表される「優秀選手賞」受賞者から選出される「ベストイレブン」の投票結果を基に、各ポジションの最高得票者4名(優勝クラブ所属選手を除く)と優勝クラブ所属のベストイレブン選出者による2次投票を行ない、その上位2名による最終投票にて決定する。同年J1リーグ戦17試合以上に出場した者が対象。
■ 優勝チームから選出されることがほとんど2012年は「誰がどう考えても、FW佐藤寿がMVPである。」ということが分かるほどの圧倒的なプレーを見せたので、MVPもすんなり決まったが、今シーズンはどうだろうか。もし、横浜FMが優勝していたら、MF中村俊がリーグMVPに選ばれていたのは間違いないだろう。MF中村俊は2000年にMVPに選ばれているが、過去に複数回、MVPを受賞した選手はいないので、「史上初の複数回選出」となるところだった。
ただ、広島が大逆転でリーグ優勝を果たしたため、ちょっと風向きが変わってきた。もちろん、リーグ優勝できなかったチームからMVPが選ばれたケースはある。1995年のFWストイコビッチ(名古屋)、2003年のFWエメルソン(浦和)、2007年のMFポンテ(浦和)の3回であるが、やはり、優勝チーム以外からMVPが出るのは、かなり難しいことが分かる。それだけ、リーグ優勝には大きな価値があると認識されている。
前述の規定には、MVPを決める過程で行われる二次投票の候補にノミネートされる選手に関しては、「ベストイレブンの投票の各ポジションの最高得票者4名+優勝クラブ所属のベストイレブン選出者」と書かれているので、広島の選手以外では、MF部門で最高得票者になりそうなMF中村俊(横浜FM)と、FW部門で最高得票者になりそうなFW大久保(川崎F)も候補と考えられる。
そして、広島勢でベストイレブンに選ばれそうなGK西川、DF水本、MF青山敏あたりも候補になってくるが、結局、今シーズンに関しては、GK西川(広島)か、MF中村俊(横浜FM)のどちらかがリーグMVPに選出されると思う。34試合で17ゴールを挙げたFW佐藤寿をMVPに推す人もいるとは思うが、今シーズンは、日本人フォワードが軒並み好成績を残しており、ベストイレブンに選出されない可能性の方が高い。
■ 最有力候補はGK西川か?ということで、最後の決戦投票は、GK西川 vs MF中村俊の争いになると思うが、個人的に推したいのは、GK西川である。34試合で29失点という好成績で「リーグ最少失点」だった立役者の1人で、34試合で29失点というのは、1ステージ制になった2005年以降の9シーズンでは史上5番目の少なさだった。GK西川・DF塩谷・DF千葉・DF水本の4人を中心とした堅い守備の安定感は抜群だった。
しかも、フィードも素晴らしかった。キーパーへのバックパスを手で扱うことができなくなって20年ほどが経過して、フィードの上手な日本人キーパーも増えてきたが、その中でも、GK西川のフィード力というのは、群を抜いている。少々のプレッシャーをかけられても、ほぼ狙い通りのところにミドルパスやロングパスを蹴ることができる。彼以上にフィード能力の高い日本人キーパーは見たことが無い。
以前は、自信過剰になって、不用意にパスをつなごうとして失点や大ピンチにつながることも珍しくなかったが、ここ2年ほどで判断力にも磨きがかかった。もちろん、そういう軽率なプレーが「全く無い。」というわけではないが、ここ2年ほどで、その頻度が非常に低くなった。普通はキーパーへのバックパスが行われるとスタジアム中が不安な空気に包まれると、GK西川のいる広島ではそういうことは全く無い。
最近では、GK西川のところにプレッシャーをかけてもボールを奪い返すことは難しいので、Jリーグの各クラブのフォワードはGK西川のところにバックパスされても強いプレッシャーをかけなくなった。しかも、強いプレッシャーをかければかけるほど、その反動でできた裏のスペースを目掛けて決定機につながるような精度の高いロングパスが出てくるので、プレッシャーをかけない方がマシである。
ということで、守備だけでなく、攻撃でも光ったGK西川を2013年のMVPに推したいが、もちろん、MF中村俊がMVPに選出されても驚きはない。それくらい、今シーズンのMF中村俊のパフォーマンスは見事だった。いずれにしても、2011年のMFレアンドロ・ドミンゲス、2012年のFW佐藤寿のときと比べると混戦模様なので、どういう決定に至るのか、注目したいところである。
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