■ 第40節J2の第40節。5勝20敗14分けで勝ち点「29」のガイナーレ鳥取(22位)と、9勝20敗10分けで勝ち点「37」のザスパクサツ群馬(20位)がとりぎんバードスタジアムで対戦した。J2の残留争いは勝ち点「37」で20位の群馬、勝ち点「33」で21位のFC岐阜、勝ち点「29」で22位の鳥取の3チームに絞られたが、群馬は「引き分け以上」で21位以内が確定して「J2残留」が決定する。一方の鳥取は21位のFC岐阜との差が「4」となって苦しくなってきた。
ホームの鳥取は「4-2-2-2」。GK小針。DF柳楽、林堂、横竹、森。MF実信、武田、奥山、永里。FW廣田、久保。なでしこジャパンのエースのFW大儀見の兄のMF永里はチームトップの9ゴールを挙げている。また、千葉からレンタル移籍中のFW久保は30試合で8ゴールを挙げている。スタメン組の中では、DF林堂(甲府)、DF横竹(広島)、MF武田(横浜FM)、MF廣田(神戸)、FW久保(千葉)の5人が期限付き移籍の選手となる。
対するアウェーの群馬は「3-3-2-2」。GK北。DF小柳、クォン・ハンジン、乾。MF坂井、夛田、瀬川、青木孝、小林竜。FW平繁、ダニエル・ロビーニョ。エースのFW平繁は38試合で12ゴールを挙げている。先日、今シーズン限りで現役を引退することを表明したMF櫻田はベンチスタートとなった。2005年にチームに加入してザスパ一筋でJ2で通算221試合に出場している。助っ人のFWエデルは怪我のため欠場となった。
■ 熱戦は1対1のドロー試合は開始3分にアウェーの群馬が先制する。FWダニエル・ロビーニョがドリブルでカットインして、近くにいたMF夛田に丁寧に落とすと、MF夛田が素晴らしいコントロールから左足の強烈なシュートを決めて群馬が先制する。C大阪からレンタル移籍中のMF夛田はプロ初ゴールとなった。その後も、FWダニエル・ロビーニョを中心に鋭い攻撃を見せた群馬が試合を優位に進めるが、前半のロスタイムにホームの鳥取がセットプレーから同点に追い付く。
右サイドでFKを獲得すると、レフティのMF武田がインスイングで蹴ったボールをDF小柳が頭でクリアしようとするが、体が伸びきった状態でクリアしようとしたのでコントロールできずにゴール方向に飛んでいってオウンゴール。前半48分に鳥取が1対1の同点に追いついてハーフタイムに突入する。後半はホームの鳥取ペースとなる。セットプレーを中心に何度も群馬のゴールを脅かす。しかし、群馬の守備陣も奮闘してなかなか逆転のゴールを奪うことはできない。
同じ時刻に行われていたFC岐阜と愛媛FCの試合も同じように1対1のスコアで推移していたので、絶対に勝ち点「3」が必要な鳥取は試合終了のホイッスルが鳴るまで猛攻を仕掛けたが、結局、2点目のゴールを奪うことはできない。結局、1対1の引き分けで終了。これで群馬は21位以内が確定して「J2残留」が決定した。一方の鳥取はまたしても前田監督の初勝利はお預け。小村監督時代を含めると18試合勝ちなしとなった。
■ ザスパの残留が確定幸運にもJFLでは「J2ラインセンス」を持たない長野パルセイロが優勝を決めて、「J2ライセンス」を持っているカマタマーレ讃岐の2位が確定したので、J2で最下位になったとしても、自動降格ではなくて、讃岐との入替戦が待っている。残留争いをしているチームにとっては、これ以上ないほどの朗報と言えるが、もちろん、入替戦に進むことは避けたいので、どちらのチームも力を出し尽くした好勝負となったが、1対1の引き分けに終わった。
先のとおり、これで群馬は「J2残留」が決定した。昨オフ、長年チームを引っ張ってきたMF松下とMF熊林がチームを離れるなど、大幅なメンバー変更があった中、序盤から非常に厳しいシーズンとなって、一時は、FC岐阜に抜かれて最下位に転落したこともあった。しかしながら、終盤はホームの正田醤油スタジアムで力を発揮して、2試合を残した段階で残留を確定させることができた。不本意なシーズンになったことは否めないが、最低限の目標はクリアできた。
群馬は「引き分けでも残留が決定する」という立場だったので、どういう戦い方を選択するのか注目されたが、立ち上がりからエンジン全開だった。キックオフの直後、いきなりFW平繁がドリブルで仕掛けて相手の守備網を混乱させたプレーに如実に表れているが、とにかく、アグレッシブだった。立ち上がりから仕掛ける姿勢を見せたことが前半3分という早い段階でのMF夛田の先制ゴールにつながったのは間違いない。
プロ3年目のMF夛田にとっては、嬉しいプロ初ゴールとなった。昨年は大分でプレーして、今シーズンは群馬でプレーしているが、群馬では「ほぼレギュラー」として欠かせない戦力となった。サイズには恵まれていないが、攻守両面で積極的なプレーができるところが魅力で、基本的な技術もSBとしては高いレベルにある。レンタル元のC大阪のSBというと高い攻撃力が要求されるのでハードルは高いが、群馬で貴重な経験を積んでいると言える。
その他では、ボランチのMF坂井とアタッカーのFWダニエル・ロビーニョのプレーも目に付いた。「失点しなければ大丈夫」という立場だったので、もっも守備的なサッカーになるかと思われたが、群馬は1ボランチ気味の布陣を採用。横浜FMの下部組織出身のMF坂井がアンカーの位置でプレーしたが、落ち着いたボールさばきを見せた。左足のキックの精度は高くて、判断も正確なので、群馬ペースだった前半はアンカーのMF坂井の活躍が大いに目立っていた。
FWダニエル・ロビーニョも前半は躍動した。今夏、チームに加入して10試合目の出場だったが、試合を重ねるごとに日本サッカーに慣れてきた印象で、柔らかいドリブルとスピードは相手にとって厄介極まりない。FWラフィーニャを筆頭にザスパが連れてくるブラジル人の攻撃的な選手は優秀な選手が多くて、しかも「ハズレ」が少ない。「ザスパのブラジル人アタッカー」というだけで活躍しそうな予感がプンプン漂ってくるが、この選手もレベルの高い選手である。
■ 苦しくなった鳥取一方の鳥取は痛恨のドローとなった。前述のとおり、J2で最下位になっても「自動降格」ではないが、FC岐阜と愛媛FCの試合も引き分けに終わったので、岐阜との差「4」は変わらなかった。残り2試合となったが、1つの負けも許されない状況で、さらには、FC岐阜が1つでも勝利したら最下位が確定する。1勝1分けでも、FC岐阜が2連敗しない限り逆転はできないので、残り2試合で「4」差というのは、逆転するのはかなり難しい勝ち点差である。
サッカーの内容自体は悪くないが、フィニッシュのところが決まらない。この試合に関しては、前半3分という早い段階で先制ゴールを許したことが悔やまれるところで、得点力の高くないチームが逆転で勝利することは、相当に難しいことである。鳥取の試合の入り方がまずかったというよりは、群馬の試合の入り方が良すぎたと言えるが、FWダニエル・ロビーニョのドリブルに複数の選手が釣られてしまって、MF夛田がちょっとフリーになっていた。
MF夛田は右WBの選手なので、あの位置にポジションを取ることは普通では考えにくいので、意表を突かれたところもあったと思うが、勝利が必要な鳥取は出鼻をくじかれてしまった。ただ、ラッキーな形で前半ロスタイムに同点に追い付くと、後半は完全に鳥取のペースとなった。群馬のキーパーのGK北を脅かすシーンは何度もあったが、あと少しのところでゴールにならないことに関しては、7月3日の山形戦(A)を最後に勝利の無いチームの流れの悪さを感じる。
残り2試合となったが、41節は北九州(A)、42節は千葉(H)と対戦する。最低でも1勝1分け以上が求められるが、千葉戦は攻撃の要のFW久保が契約上の問題で試合に出場できない。アタッカータイプは何人もいるので、比較的、層の厚いポジションと言えるが、中央で頑張れる選手は、FW久保しかいないので、大きな戦力ダウンである。しかも、千葉も熾烈な4位争いを繰り広げているので相手も必死である。瀬戸際に追い込まれてしまったと言える。
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