■ 第39節J2の第39節。12勝13敗13分けで勝ち点「49」の横浜FC(13位)と、16勝13敗9分けで勝ち点「57」の松本山雅(7位)がニッパツ三ツ沢球技場で対戦した。J2は残り4試合となったが、横浜FCはこの試合で引き分け以下に終わると残り3試合を全勝したとしても、最大で勝ち点「59」止まりで、勝ち点「60」で6位の徳島に及ばないため、プレーオフ出場の可能性が消滅する。一方の松本山雅は6位の徳島との差が「3」なので、射程圏内に入っている。
ホームの横浜FCは「4-2-3-1」。GKシュナイダー潤之介。DF市村、ペ・スンジン、森本、中島。MF佐藤謙、高地、寺田、三浦知、野崎。FW黒津。46歳のMF三浦知は今シーズン13回目のスタメンで、ここまでは16試合で1ゴールを挙げている。また、累積警告で出場停止だった19節の千葉戦(A)を除くと全試合でフルタイム出場を続けていた大卒ルーキーのDF野上はコンディション不良もあってベンチスタートとなった。
対するアウェーの松本山雅は「3-4-2-1」。GK村山。DF飯田、多々良、犬飼。MFユン・ソンヨル、喜山、玉林、阿部、岩上、船山。FW塩沢。ボランチのMF岩沼が出場停止のため、韓国出身のMFユン・ソンヨルが24節の京都戦(H)以来のスタメンとなった。エースのMF船山は37試合で10ゴール、1トップのFW塩沢は38試合で8ゴールを挙げている。ボランチのMF喜山は38節の福岡戦の後半のロスタイムに劇的な逆転ゴールをマークしている。
■ 3対1で松本山雅が勝利試合は前半15分にアウェーの松本山雅が先制に成功する。左サイドでスローインを獲得すると、MF岩上が得意のロングスローを放り込むかと思われたが、近くに寄って来た味方選手に軽く投げてリターンを受けて中央にクロスを上げると、横浜FCの選手のクリアが十分ではなくて後ろに流れたボールをFW塩沢が頭でネットを揺らして松本山雅が先制に成功する。FW塩沢は今シーズン9ゴール目となった。
しかし、前半38分に横浜FCは高い位置でボールを奪って左SBのDF中島がファーサイドに鋭いボールを入れると、MF三浦知が頭で合わせて1対1の同点に追い付く。MF三浦知は7月3日(水)に行われた22節の栃木SC戦(H)以来となる今シーズン2ゴール目となった。DFペ・スンジンが負傷で治療中だったので、横浜FCは10人になっていたが、数的不利な状況にも拘らず同点ゴールを奪った。前半は1対1で終了する。
横浜FCはプレーオフ出場の可能性を残すためには勝ち点「3」が必須の試合だったが、後半は松本山雅が圧倒する。後半7分に中盤でMF岩上が巧みなコントロールから前を向いて3対2の状況を作ると、左サイドに流れたFW塩沢にラストパスを送って、FW塩沢が左足でねじ込んで2対1と松本山雅が勝ち越しに成功すると、後半24分にもセットプレーからDF犬飼が折り返したところを中央のDF飯田が豪快に頭で決めて3対1と突き放す。
結局、3ゴール全てに絡んだMF岩上と2ゴールを挙げたFW塩沢の活躍もあって3対1でアウェーの松本山雅が勝利した。37節の神戸戦(A)は0対7というショッキング敗戦を喫したが、これで2連勝となった。次節はホームのアルウィンで山形(H)と対戦する予定になっている。一方の横浜FCはリーグ戦は2連敗となって、プレーオフ出場の可能性が消滅した。次節はアウェーで富山と対戦する。
■ 泥臭いプレーが持ち味の塩沢勝吾この日のニッパツ三ツ沢球技場は9,095人のサポーターが集まったが、右半分は緑のサポーターで埋まっていた。横浜市と松本市というのは、メチャクチャ遠いわけではないが、すぐ近くで気軽に来ることができる距離というわけでもない。電車だと3時間半ほどかかる距離だと思うが、大勢の松本山雅のサポーターが駆け付けてホームのような雰囲気で試合が行われたので、選手には大きな力になっただろうと思われる。
前半は横浜FCの出来も悪くなかったので互角の攻防が繰り広げられたが、後半は松本山雅が圧倒した。後半7分に勝ち越しゴールを奪った後は、さらに勢いが出てきて、高い位置でボールを奪ってカウンターを仕掛けるシーンが何度も見られた。横浜FCのつなぎのまずさも目に付いたが、それ以上に松本山雅のボランチや最終ラインの選手の積極的なアプローチからのボール奪取が光った。
ヒーローになったのは2ゴールを挙げたFW塩沢だった。1点目は「らしいゴール」で、2点目は「らしくないゴール」だったが、2点目に関しては、気持ちで押し込んだゴールと言える。これで10ゴールに到達したが、ここ8試合で6ゴールと量産体制に入っている。2012年も11ゴールを記録しているが、「2年連続で二桁ゴールを記録する。」というのは、はフォワードの選手でもなかなか難しいことなので、価値のある記録と言える。
ここ最近は「得点」という部分でもチームに大きく貢献しているが、FW塩沢の武器は、何と言っても、泥臭いプレーである。非常に体の強い選手で、運動量も豊富であるが、フィールド上でサボっている姿というのは、ほとんど観たことが無い。相手との接触プレーをいとわない選手なので、怪我をしやすいプレースタイルと言えるが、今年も大きな怪我をすることなく、ここまで全試合に出場している。
地元の長野県出身ということもあって、松本山雅のサポーターには絶大な人気を誇るが、結局のところ、スマートな選手よりも、こういった泥臭さをウリにする選手の方がサポーターの共感を得やすくて、スタジアムでは人気者になる。ジュビロ磐田で活躍したFW中山が典型的と言えるが、こういう選手がいるというのは、松本山雅の強みで、31歳のFW塩沢が常に全力でプレーしているので、他の選手も見習うしかない。今の松本山雅を象徴する選手と言えるだろう。
■ プレーオフの可能性が消滅・・・一方の横浜FCは残り3試合で全勝しても勝ち点「58」止まりなので、「6位以内」の可能性が消滅した。試合前の時点でも、数字上の可能性が残っていただけで、おそらく4連勝したとしてもプレーオフに進むのは難しかったと思う。ただ、それでも、最後まで諦めることなく勝ち点「3」を狙って前に出て行ったが、1対2リードされた後は、つなぎのところでミスが多発した。MF武岡とMFナ・ソンスを投入した効果もほとんどなくて、後半は後手に回った。
2012年は4位と好成績を残したので、今シーズンは「J1昇格候補の1つ」と言われていたが、大きく期待を裏切るシーズンとなった。主力の流出はほとんどなくて、DF西嶋、DF市村、DF森下、MF松下など、実力者をたくさん補強したので、オフの補強は悪くなかったと思うが、とにかく怪我人が多くて、最終ラインが固定できなかった。中盤も駒は豊富なのでポジション争いは激しかったが、絶対的な選手は最後まで見つからなかった。
今シーズンは怪我人がたくさん出てしまったので、山口監督にとっては難しいシーズンとなったが、選手層という点では、J2の中では有数と言えるので、うまくやり繰りできてもおかしくはないメンバーは揃っていたと思うが、なかなかうまくいかなかった。2012年の途中に古巣の横浜FCの監督に就任して、降格圏から4位にジャンプアップさせたので、監督としての評価を高めたが、今シーズンは思い通りのシーズンにはならなかった。
そんな中で、MF三浦知が前半38分に同点ゴールを決めた。38節の千葉戦は運動量が少なくて、残念ながら前半だけで交代となった。ゴール前に入っていくときの鋭さが感じられなかったので、「衰えたかな・・・。」という印象もあったが、この日は、序盤から動きの量が多くて、調子自体が良さそうだった。ゴールシーンは166センチのMF阿部とのマッチアップになったので、高さのミスマッチをうまく利用して頭で叩き込んだ。
46歳になって、まだまだ一線級でプレーできるというのは、脅威以外の何物でもないが、そうは言っても46歳なので、調子の波もある。来シーズンも現役でプレーできると思うが、ベンチスタートになっているMF武岡、MFナ・ソンス、MF小野瀬などは、奮起しないとダメである。MF三浦知のゴールというのは喜ばしいニュースであることは間違いないが、横浜FCの若手あるいは中堅の選手の不甲斐なさも感じる。
関連エントリー 2008/05/02
みんなKAZUが好きだった。 2009/02/24
フランスW杯 直前でカズを外した岡田監督の選択は正しかったと思いますか? 2009/12/22
前サガン鳥栖監督 岸野靖之の乱 2011/03/29
【日本代表×Jリーグ選抜】 スーパースター・三浦知良 2013/09/03
【松本山雅×鳥取】 アルウィンはなぜ人を惹きつけるのか? (生観戦記) (上) 2013/09/03
【松本山雅×鳥取】 アルウィンはなぜ人を惹きつけるのか? (生観戦記) (中) 2013/09/04
【松本山雅×鳥取】 アルウィンはなぜ人を惹きつけるのか? (生観戦記) (下) 2013/10/13
クラシコ(DVD)を観て ~信州ダービーに期待したいこと~ 2013/11/04
クラブ別エントリー(横浜FC) 2013/11/04
クラブ別エントリー (松本山雅) 2013/11/04
J3+(アンテナ) 2013/11/04
全記事一覧(2005年-2013年)
- 関連記事
-