■ 監督として大成できそうな人は誰?「名波氏がC大阪の監督に就任か?」というニュースを聞いて、じゃあ、『今のザックジャパンのメンバーの中で、将来、監督あるいは指導者として大成できそうな人は誰だろうか?』と思って考えてみたが、なかなかの難問である。25歳以下の若手になるとまだまだ先の話になるので監督をしている姿はイメージしにくいが、FW柿谷、MF香川などは、「監督をしている姿」をイメージすることはできない。
比較的、イメージしやすいのは、MF遠藤とMF長谷部の2人だろうか。MF長谷部の経験とリーダーシップは魅力で、長い間、海外リーグでプレーして来た人が監督になるケースというのは、これまでほとんど無かったので、指導者としても成功することが期待されるが、MF長谷部の場合は、生真面目なところがプラスに働くのか、マイナスに働くのか。「指導者として必ず成功するだろう。」という確信は、現段階では持つことはできない。
一方のMF遠藤は、著書(=「眼・術・戦 ヤット流ゲームメイクの極意」)の中で、「もし、監督だったらどんなサッカーをしますか?」という質問に対して、『基本はパスサッカーですね。GKにもフィード力を求めます。アタッキングエリアではドリブルを使ってもいいですけど、それ以外はスピーディーにパスを回していきます。』と答えている。また、「守り方」についても話をしているので、すでに監督になった自分の姿もイメージできているようだ。
■ 意外とイケるかもボランチの2人以外で「意外とイケるかも」と思うのは、右サイドバックのDF内田である。国際経験が豊富で、高い戦術眼を持っていて、洞察力があって、周囲への気配りもできるが、その一方で、図太さも持っている。「腹をくくること」もプロの監督に求められる重要な要素の1つと言えるので、(現段階では、内田監督をイメージするのは難しいが、)指導者としての資質は高いように感じる。
MF本田圭はどうだろうか。カリスマ性は抜群で、国際経験も豊富で、リーダー的な資質にも恵まれている。強気なコメントを残すことがほどんどであるが、日本にいた頃から「天才型」の選手というよりは、「努力」で道を切り開いてきた選手なので、感性だけで勝負して来た選手ではないところも指導者の道に進んだとき、プラスに働くだろう。ただ、監督という職業に興味があるのか、無いのか。監督という職業に興味を持たなさそうな気もする。
DF長友はどうかというと、どちらかというと、ダメ監督になる可能性の方が高いような気がする。もちろん、インテルという世界でも有数のメガクラブでプレーした経験はプラスに働くと思うが、「頑張り屋」タイプの選手が指導者としてあまり成功していない点が監督として成功する姿をイメージしにくい理由の1つになっている。また、性格的にも、チームリーダーや監督向きではないような気はする。
一方、前述のとおり、MF香川、MF清武、FW柿谷などが、監督をしている姿は全くイメージできない。年齢的に若いことも関係していると思うが、初代のミスターセレッソは41歳になっても監督として成功するところをあまりイメージできない人なので、「C大阪の8番」に共通するイメージなのかもしれない。ただ、こういう「監督向きではないだろう。」と思われていた人が指導者として大成することもあるので、「絶対に無理。」とは言えない。
■ 3年前のアンケートレギュラー組以外で成功しそうな選手というと、MF中村憲(川崎F)である。最近は日本代表から外れているが、MF名波と同様で、解説者としても成功できると思うし、指導者としても成功できると思う。本人にその気さえあれば、(何年後になるか分からないが、)川崎Fで監督を務めるのは、確実と言えるだろう。他には、MF高橋秀(FC東京)などが「知将」と呼ばれるような指導者になりそうな予感はある。
ただ、繰り返しになるが、現役時代の姿から指導者として成功できるか、否かを予想するのは、非常に難しい。1回目あるいは2回目のどちらかの挑戦である程度の結果を残さないと、有名人であったとしても、3度目のチャンスは巡って来ない。オファーを受けるタイミングというのも大事で、安易に飛びついてしまうと失敗する確率が高くなるが、そうは言っても、なかなか監督のオファーというのは届かないので、「選び放題」というわけでもない。
ちなみに、当サイトでは、3年前に『
フランス組の中でもっとも指導者としての活躍を期待するのは誰?』というアンケートを実施している。秋田監督がJ1の京都サンガの監督にシーズン途中で就任したタイミングであり、フランスW杯のメンバーがJリーグのチームを率いるのはこのときの秋田監督が初めてだったので大きな注目を集めたが、今の時点で133票の内訳は次のようになっている。
1位:名波浩 25票 (18.7%)
2位:相馬直樹 23票 (17.2%)
3位:井原正巳 21票 (15.7%)
4位:山口素弘 19票 (14.2%)
5位:中田英寿 12票 (9.0%)
5位:森島寛晃 12票 (9.0%)
7位:小野伸二 05票 (3.7%)
8位:服部年宏 04票 (3.0%)
この中で、相馬監督はすでにJFLの町田ゼルビアの監督に就任しており、J2昇格を目指して戦っていた。(結局、J2参入条件を満たす3位という好成績を残したが、スタジアム等の問題でJ2には昇格できなかった。)MF名波、DF相馬、DF井原、MF山口といったところが上位に来ており、MF中田英やMF森島にもかなりの票が投じられているが、少数派で「呂比須」という意見もある。これだけを見ても予想が難しいことがよく分かる。
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