■ 樽募金入場ゲートをくぐってスタジアムの中に入ると、まず、大きな樽が見えてきた。「樽募金」と書かれていて、覗いてみると、千円札もちらほら入っていたが、創生期の広島カープの話を思い出した。(※ 1951年、深刻な球団経営状態から役員会で球団解散の決定がなされたが、石本監督らの説得で存続が決定。球団の資金難を救うべく広島市民が酒樽に募金を募った「樽募金」で球団存続に必要な400万円を集めて、チーム解散を免れた。)
チケットは「A自由席」だった。メインスタンドの中央部分が「指定席」で、バックスタンドの右寄りが「アウェーA自由席」になっているが、残りの全エリア(=スタンドの6割程度)が「A自由席」になるので、かなり自由度は高い。価格も前売りになると「1,300円」なので、J1のクラブと比較すると御手頃感はあるが、チケット代の「安すぎる感」は否めない。チケット収入はクラブの大きな収入源なので、もう少し高くしてもいいのではないか?と思う。
#12 樽募金
■ 晴れの国・岡山結局、メインスタンドのアウェー寄りの席で試合を観ることに決めたが、暑さが1つの理由で、屋根があって日陰になっているエリアでないと持たないと思ったので、この場所にした。岡山県は「降水量1mm以上の日数が全国で最小」だということで、『晴れの国・岡山』と言われているが、空も青々としている。現地で撮った写真を見ても、「フォトショップで細工をした。」と思われてもおかしくないほどの鮮やか過ぎるほどの「青い空」である。
プレーオフ出場を争う2チームの大一番ということもあって、対戦相手の千葉のサポーターも大挙押し寄せていたが、岡山→東京間はのぞみで約3時間20分なので、15:40発の「のぞみ176号」に乗車できれば、19:03に東京駅に着くことができる。なので、日帰りでも観戦することができる。13:00キックオフの試合になるとプレーする選手は大変であるが、千葉のサポーターにとっては、非常にありがたい時間帯と言える。
#13 ジェフ千葉のサポーター

#14 青い空
■ 勝つしかない試合プレーオフ圏内で6位のジェフ千葉は15勝9敗10分けで勝ち点「55」。一方、10位のファジアーノ岡山は11勝8敗15分けで勝ち点「48」。J2は残り8試合となったが、勝ち点差は「7」。ということで、岡山はホームで千葉に敗れると残り7試合で「10」差になるので、プレーオフ出場は絶望的となる。また、引き分けの場合も、残り7試合で「7」差を逆転するのは、かなり難しいので、生き残るためには、勝つしかない試合と言える。
ホームの岡山は「3-4-2-1」。GK中林。DF篠原、後藤圭、近藤。MF島田譲、千明、田中奏、田所、清水、金民均。FW押谷。34節の北九州戦(A)で同点ゴールを決めたMF清水がスタメンに抜擢されて、3年目のMF石原はベンチスタートになった。1トップに入るのは7ゴールを挙げているFW押谷であるが、怪我で長期離脱していたエースのFW荒田が戦列に復帰して久々にベンチ入りを果たした。古巣対決となるFW荒田は23試合で8ゴールを挙げている。
対するアウェーの千葉は「4-2-3-1」。GK岡本。DF竹内、キム・ヒョヌン、山口智、大岩。MF佐藤勇、佐藤健、米倉、大塚、谷澤。FW森本。右SBでプレーすることが多かったMF米倉が中盤に上がって、DF竹内が右SBに回って、DFキム・ヒョヌンがCBでスタメンとなった。30試合で17ゴールを挙げているFWケンペスはベンチスタートで、元日本代表のFW森本は2試合連続スタメンとなった。千葉に移籍してからは5試合目の出場となる。
#15 ファジアーノのサポーター席
■ 3対0で岡山が勝利試合は3対0でホームの岡山が勝利した。前半は0対0で終了したが、後半4分に相手のクリアミスを拾ったMF清水がGKとの1対1を冷静に決めて岡山が先制すると、さらに後半18分にもMF金民均の絶妙のスルーパスを受けたMF清水が決めて2対0とリードを広げる。今夏、J1の大宮からレンタル移籍のMF清水は6試合目の出場で計4ゴールとなったが、短い出場時間にも関わらず、ここまでは十分過ぎるほどの結果を残している。
2点リードの岡山は後半22分に怪我で離脱していたエースのFW荒田を投入。すると後半36分にまたしてもMF金民均のスルーパスからFW荒田がGKと1対1のチャンスを得ると、これを確実に決めてダメ押しの3点目を挙げる。7月7日(日)の横浜FC戦以来の出場となったFW荒田は15節の徳島戦(H)以来となる今シーズン9ゴール目となった。結局、試合は3対0でホームの岡山が強敵の千葉を下して、プレーオフ出場争いに踏みとどまる貴重な勝ち点「3」を獲得した。
#16 3対0で岡山が勝利
■ 最高の結果プレーオフ出場を目指す岡山にとっては、これ以上ないほど、最高の結果となった。勝たなければならない試合だったが、相手がジェフ千葉なので、闇雲に攻めに出ることはできない。FW荒田が戻ってきて、MF石原もベンチスタートになったので、「0対0で折り返して、勝負どころで2人を投入して決勝ゴールを奪う。」というシナリオがあったと思うが、後半4分と後半18分にスタメン抜擢のMF清水が2ゴールを決めて勝利の立役者となった。
34節を終えた段階で37失点というのは、J2では神戸と長崎とG大阪に次ぐ4番目の少なさとなるが、「ゴール前の厚みが足りない。」というのが、昨シーズンから続く課題になっている。それを解消する目的もあって、ストライカー色の強いMF清水をスタメンで起用してきたと思うが、これが見事にヒットした。6試合目の出場で4ゴールとなったが、184分のプレイングタイムで4ゴールを挙げているので、超ハイペースでゴールを量産している。
FW荒田が戻ってきて、さっそく、古巣の千葉を相手にゴールを決めたのも大きい。夏に差し掛かる大事な時期に怪我をして、2ヶ月半ほど試合に出場することができなくて、「FW荒田がいれば・・・。」と思う試合は何度もあったが、最終段階にしてエースが戻ってきたことは、大きなプラス材料である。チームメイトが頑張ってプレーオフが狙える位置で踏みとどまってくれたので、モチベーションはマックスまで高まっていると思うので、爆発に期待がかかる。
#17 高校生によるチアダンス
■ 3連敗となったジェフ千葉一方の千葉は3連敗となった。最近の8試合では32節の福岡戦(A)で4対3の乱戦を制しただけで、1勝5敗2分け。J2で4年目となるが、今シーズンも夏の終わり頃から結果が出なくなっており、2位以内の自動昇格は絶望的となった。この時期の千葉の失速は「風物詩」のようになっているが、チームとしての戦い方に問題があるというよりは、精神的な問題が大きいと思うので、J1昇格を決めて、嫌な流れを断ち切るしか道は無いだろう。
この試合では、MF米倉を右サイドハーフで起用して、DF竹内を右SBに回して、DFキム・ヒョヌンをCBの一角で起用して来たが、後半4分の先制ゴールの場面は、DFキム・ヒョヌンのクリアミスが原因だった。右のDF竹内も、左のDF大岩もSBの経験はあるが本職はCBなので、CBタイプの選手を最終ラインに4人並べてきたが、鈴木監督の奇策は成功しなかった。高さでは圧倒的に有利なので、セットプレーからゴールできればよかったが、良いシーンはなかった。
結局、2失点目と3失点目はMF金民均のスルーパスからGKとの1対1を確実に決められてしまったが、岡山の前線には高さのある選手はいない。FW押谷も、MF金民均も、MF石原も、MF桑田も、テクニックあるいはスピードを武器とする選手なので、小回りの利く選手をSBで起用した方がうまくいったのではないかと思う。失点シーン以外でも、千葉の最終ラインの選手と岡山のアタッカーが1対1になりかけるシーンが何度もあったので、終始、危うさは感じられた。
0対2になった後、後半22分にFW森本を下げてFWケンペスを投入したが、2トップにすることは無かった。FW森本とFWケンペスの2トップがあまりしっくり来ていないというのが理由だと思うが、FW森本を下げたことで、岡山はかなり楽になった。何度かあったチャンスシーンで決められなかったが、67分間で6本のシュートを放っており、嫌なところに顔を出すことはできていたので、FW森本がベンチに下がったことで「助かった。」と感じた岡山の関係者は多かったと思う。
#18 ピッチレポーター
■ 岡山というクラブの強みkurabuということで、試合は3対0でホームの岡山が勝利したが、最高の結果を得ることができたので、ホームの岡山のサポーターは大いに盛り上がった。kankoスタジアムは「陸上トラック付きのスタジアム」というハンディはあるが、J2の中ではサポーターの数も多くて、雰囲気のあるスタジアムの1つと言える。バックスタンドに陣取っているコアなサポーターの声に呼応して、一緒になって拍手や声援を送るメインスタンドの人の割合も非常に高いと感じる。
良いと思ったのは、試合後にオープンする「ファジガーデン」で、試合前の「ファジフーズ」と大差はないと思うが、試合が終わった後、ゆっくりとくつろぐことのできる空間が用意されている。(※ ファジガーデン限定のメニューもある。)19:00キックオフのナイトマッチになると、試合後、余韻に浸っている時間はほとんど無いと思うが、デイマッチであれば、それほど急いで家に帰る必要もないので、非常にいい試みだと思う。
試合が終わった後も店が開いているスタジアムはいくつかあるが、やはり、後片づけに入っているところの方が圧倒的に多い。もちろん、全ての商品が売り切れてしまったならば、店を閉めるしかないが、「試合後に何か食べたいな・・・。」、「店が開いていたらなあ・・・。」と思うときはよくあるので、「ファジガーデン」のようなものが用意されていると、試合前と試合中だけでなく、試合後も楽しむことができる。
「ファジガーデン」もそうであるが、岡山というクラブのいいところは、試合を観に来る人が何を望んでいるのか、何をすれば喜んでもらえるのか、しっかりと把握できていて、かつ、実行できているところではないかと思う。また、岡山という街の規模の「いい具合」なのかもしれない。「大きすぎず、小さすぎず」というところは、今後、クラブとして発展していく上で、強みになるかもしれない。
#19 ファジガーデン
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